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メルマガ第24号 【APECの成果】

4年ぶりに対面で開催された第29回APEC首脳会議において、プラユット・チャンオチャ首相は、コロナウィルス感染拡大やウクライナ問題など様々な経済的困難な状況がある中で、各国の首脳陣とAPEC事務局長からの高い評価を受け、タイはAPEC開催国として最も成功した会議の一つとして、自国に良いイメージを与え、文明国として尊厳を生み出すという素晴らしい結果を残すことができました。
BCG経済モデルは、COVID-19の経済打撃から、持続可能でバランスのとれた包摂的な経済回復を達成し、将来のショックに対する強靭性を構築するのに役立つことで一致しました。首相は国際会議を推進するため、APEC開催を成功に導くために、協力してくれた官民のすべてのセクターに感謝しました。

【バンコクゴール】

APEC首脳陣は、2022年のAPEC首脳宣言及びBCG経済モデルに関するバンコクゴールという2つの重要な成果文書をコンセンサスにより採択した。APEC2022では、タイがホストエコノミーとして、様々な経済的困難な状況に満ちた1年間でAPECをナビゲートし、下記3つの主要な成果を達成した。

  1. COVID後の文脈でアジア太平洋地域の自由貿易地域(FTAAP)に関する新たな会話を前進させる。(次世代の貿易問題に備えるための経済能力構築支援に向けてFTAAPアジェンダ作業計画2023〜2026が含まれる。)
  2. 将来の混乱に対する地域の旅行インフラの強靭性を構築し続けるために、APEC圏内の安全航行作業をどのように進めるべきかについてのセーフ・パッセージ・タスクフォースを勧告
  3. 気候変動の緩和

そして、21の経済圏メンバーと力を合わせAPECの最初の包括的な目標として、BCG、持続可能な貿易と投資、環境保全、廃棄物管理という4つの分野に焦点を当て、長期的にバランスの取れた環境に優しい経済成長を生み出すと評価を得た。詳細についてはバンコクゴールのウェブサイトが立ち上げられ、www.bangkokgoals.apec.org でアクセスできるようになっている。

【エネルギー問題】

同時に、さまざまな経済圏の指導者が世界の経済状況について話し合い、ロシアとウクライナの問題がインフレや原材料不足などを含む経済状況に影響を与えていることに同意した。
COVID-19後の経済回復に重点を置き、今後ますます需要が増えるデジタル開発と環境に優しい産業という視点で、誰もが、特に零細・中小企業が回復していくためのプロセスが必要となる。
気候変動におけるエネルギーや農業について持続可能性を含めた問題解決、また、海洋廃棄物ソリューションをサポートし、グリーン経済への移行を促進するためにグリーン投資が経済を推進する役割を果たすことを奨励する。

【民間企業とAPEC】

民間セクターでは、並行してCEOサミット2022が開催され、600人の民間セクターのリーダーからの意見が結集された。ビジネス諮問委員会2022の議長は、コロナパンデミックへの対処の問題を提起した。また、戦争による食料安全保障の危機、エネルギー危機、インフレやその他の問題は、「急速かつ持続可能な回復の促進」と「持続可能で包摂的かつ強靭な成長への衝動を再活性化する」という2つの主要な目標の下で、69の勧告を含む形で11月19日にAPEC首脳にも引き渡された。

【民間企業とBCG】

  • チャルーンポーパカンフーズ(CPF)

    CPFの幹部は、政府の目標と世界的な目標に沿って、2050年までに生産チェーン全体の生産工程に革新的な技術を適用することによって、温室効果ガスゼロ排出量に向けたBCGの考え方に焦点を当てた方針を持っていると述べた。
    今年12月、CPFは国内の生産拠点で、すべての生産工程において100%石炭の使用を廃止するようにし、バイオガス、バイオマスエネルギー、太陽エネルギーからより多くの電力を生成することにより、再生可能エネルギーの使用を促進することを目指している。現在の総エネルギー消費量の27%をこれらのクリーンエネルギーで賄っており、今後拡大するための努力をしていく。
    今年度、太陽光発電は65メガワット生産すると予測されており、2025年には100メガワットを目標としている。また、EVを生産工程に取り入れる研究も進められている。IoTの技術を使用して生産データを記録し、生産効率を向上させることができる。
    肥料をガスに発酵させ、ガスを使用して発電する産卵鶏農場のバイオガスセグメントは、現在8つの養鶏場で試験運用されており、将来的には養豚場への拡大が検討されている。
    政府は様々な分野の民間企業がBCGモデルへの投資が行えるような支援策を明確に提示するべき。自動化や再生可能エネルギー発電などを導入し長期的な成果が挙げられるような投資支援が必要だ。
  • Bangchak Corporation PCL
    再生可能エネルギーの先駆者ともいえるバンチャック社では、バイオエネルギーに関する取り組みを以前から行っていると強調。バイオディーゼル、エタノール、ガソールといった燃料を再生可能エネルギーで賄っている。政府が提示したBCGモデルへのアップグレードするための投資計画もあり、来年は家庭から廃棄された廃油をつかった再生可能な航空燃料(SAF)の生産ユニットの建設を計画している。
  • バンチャック社の子会社BBGI
    ASEAN地域で初の合成生物学による医療品の受託製造(CDMO)工場をEEC内に建設する計画を立てている。この計画は森林局のため、黒い育苗袋に代わるインタニン社製の育苗カップの水リサイクル精製工場内で行われる
  • 電動バイクレンタル
    グリーンエコノミーの分野では電動バイクレンタルのサービス拡大について2023年初めは1,000台からスタートし、年末までには5,500台提供できる環境を整える計画があがっている。またBCPG社(バーンチャック社の子会社のひとつ)の電力事業でも2030年のカーボンニュートラル目標と2050年のネットゼロの達成のためクリーンエネルギー発電や、バッテリー生産の拡大を計画している。

【各省の二国間協議】

首脳会議の前には閣僚会議が開催された。ジュリン・ラックサナウィシット副首相兼商務大臣、ドン・プラマットウィマイ副首相兼外務大臣が議長を務めた。
オープン・コネクト・バランスという概念の中で

  1. 貿易、投資、サプライチェーンの開放性
  2. 世界最大の経済協定アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について次世代の貿易問題に備え、経済の能力構築を支援するための今後4年間(2023年~2026年)の計画
  3. 世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的システムの貿易を支援し、WTOにおける諸懸案の早期妥結を早める
  4. APEC圏内のサービス分野における競争力の構築
  5. デジタル経済の利点を生かして女性の社会進出や零細・中小企業の発展を支援する
  6. 商品とサービスの平等性、持続可能な貿易

という6つのテーマに注視しました

  • 日本
    5年間の日タイ経済戦略パートナーシップに関する共同行動計画に署名。
    日本はアジアにおける電気自動車の生産拠点についてタイを中心に検討しており、またASEANとの友好50周年を祝う計画を準備している。
  • 経済協定
    地域経済連携枠組み(RCEP)やインド太平洋経済協力枠組み(IPEF)の支援に加え、日本はJTEPAの枠組みの下でのタイ産バナナの輸出枠を年間5,000トン増の8,000トンに拡大する。
    またチュリン副首相がキャサリン・米国通商代表とタイ-米国の二国間協定も拡大したいと協議した。
  • オーストラリア
    豪州との経済協力戦略に関する覚書(MOU)を締結し、相互の経済関係を強化していく。
  • ニュージーランド
    ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、タイとの友好関係に感謝し、気候変動やニュージーランドにとって主要な産業の一つである観光業について、今後ますますの協力関係構築ができると期待していると、プラユット首相との二国間会談で語った。
    プラユット首相は、両国を結ぶ直行便の開設することにより、両国の交流が増えるのではないかという提案に対し、ニュージーランド国民はタイが魅力的な旅行先の一つとして関心をもっており、直行便の開設は双方の観光産業発展にとって大変役立つと双方前向きな姿勢を見せた。
    また、エーヤワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)といったタイ周辺のメコン地域の発展についても、ニュージーランドは、災害対策や治水管理、農業の自動化など喜んで支援したいと述べた。
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