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メルマガ第16号 【ロシア侵攻EEC カーボンニュートラル】

新型コロナウィルス感染拡大の影響から経済復興に向かう兆しが見えてきている一方で、日に日に激しさを増す戦闘のニュースを目の当たりにし、安息な日を願わずにはいられません。ロシアでは友好国ではない国の知的財産は無許可でコピーすることができるといった法令が可決されるなど、人々の暮らしだけでなく、経済界にも大きな影響を及ぼしています。タイでは、積極的に国内の経済発展に官民一丸となって取り組んでいる姿がみられ、未来のより良い人々の暮らしを展望する前向きな姿が印象的です。

【ロシアとウクライナの戦闘によるタイ経済への影響】

プラユット首相の発言

特に影響はなく、空港を結ぶ高速鉄道など主要インフラの建設は設定された目標通りに進んでいる。ただし、戦闘や各国のロシアに対する経済制裁が比較的大きな世界規模の経済不況につながることは避けられない。
また、タイ商工会議所大学によれば、戦闘が長く続いた場合には、景気成長が予測よりも低く、物価の上昇により消費者にとって厳しい経済状況となることが予想される。

その他EEC内の動き

  • EECのコミュニティ企業と小規模トレーダーによるOTOP開発支援

    マーケティング・販路開拓を支援するEEC Enterprise、また商品開発を支援するEEC Incubation Center という二方向で地域資源を生かした商品を生み出す仕組みを構築する。例えば、ラヨン県にはドリアン、銀製宝飾品といった資源があり、チョンブリ県にはヤングココナッツ、玄米といった特産品があるが、これらを使って商品の開発、高品質な梱包など共同投資を行う民間企業と協力して地域製品の開発を行っていく。この取り組みは2022年10月から開始される予定。
  • EECパイロットプロジェクト「サンドボックス」

    分野ごとに7つの特別恩典区域を設定し、税制などの特別恩典に加え、各投資家と交渉を行いフレキシブルな恩典の付与を行うことにより、双方のニーズを満たす利益を設定することに焦点をあてている。恩典の詳細については近日中に公表される予定。
    当該プロジェクトは、5年以内にGDP5%の上昇と2.2兆バーツの投資価値を生み出すためのパイロットプランであり、将来的にエリアを拡大し、EECにおける投資家のインセンティブを高めていき、周辺国の中でも魅力的な投資国であるということを周知していきたい狙いがある。
    <EEC内にある7つの特別推奨地区>
    1. EEC航空都市【EECa】

      パタヤからラヨンの間30Kmに渡り観光と物流と航空を結ぶタイ東部エリアの航空事業を総括するEECの中で最も重要なエリア。様々な用途において陸海空の交通網を発展させる。
    2. EECイノベーション【EECi】

      官民学が協力して産業技術の研究開発事業を行い、タイ既存産業の品質向上とイノベーション創出を目的としたエリア ラヨン県のワンチャンバレーに位置する。
    3. EEC最先端デジタル【EECd】

      チョンブリ県のシーラチャーに80万㎢の敷地に広がる。タイランド4.0政策を促進するためのデジタル技術を用いた産業を集積する。
    4. EECタイ高速鉄道【EECh】

      タイの3つの空港を結ぶ高速鉄道で都市と東部経済回廊の交通の利便性を高めるEECの主要プロジェクト。
    5. EEC医療センター【EECmd】

      タマサート大学のパタヤキャンパス付近で約90万㎢の敷地の中でAIやロボティクスなどを活用した医療や健康サービスを提供するデジタルホスピタルの構築を目指している。
    6. ゲノム医療推進エリア

      国民が将来、より良い暮らしを送るためのゲノム医療の発展が注目されており、タイ国民のDNAデータベース構築の皮切りとなることも期待されている。
    7. 【イノベーション・テクノロジーパーク】

      テクノロジーの発展という国家政策に従って、国民がより良い暮らしをしていくための住みやすい街作りをサポートしていくプロジェクト。タイの科学技術と知識を高め、最先端テクノロジーを使って官民学協力のもと環境にやさしい未来へと導いていく。その地域に投資するロボティクス、バイオテクノロジー、バイオケミカルといった新しい分野の事業やSMEを支援し、その知識を伝達していくことにより付加価値を拡大していく。

【ロシアとウクライナの戦闘によるタイ経済への影響】

EV政策を支援するための電気自動車基準を固める

タイ政府は本格的なEV政策に向けて基準の制定をすすめている。
将来的に電気自動車や部品製造において世界拠点になることを目標に、プラユット首相を委員長とする国家電気自動車政策委員会(EV理事会)では、電気自動車(EV)の推進に関するガイドラインを定めている。すでに制定されている116の基準に加え工業製品基準企画局(TISI) が建設中の国立自動車・タイヤ試験センター(ATTRIC)などの認証インフラを奨励し、ゼロ・エミッション車(ZEV)の生産と使用に関する政府の方針を支援している。
すでに工業省の工業製品基準企画局(TISI)で2月に行われた会議では19の新しい基準について承認済み。例えば電動オートバイ、電気自動車のバッテリーシステム、電動オートバイのブレーキシステム、EVの試験方法などが含まれている。
本年度中にもさらに制定が検討されている基準は自動駐車システムや電動バイクのバッテリーシステムなど全てISO国際基準に基づいて、安全性や環境、騒音、燃料消費に配慮したものとなっている。

企業の取り組み

タイは2050年までにゼロ・エミッションの達成目標を掲げており、大企業からそれに向けた動きがみられる。
  • CPF (チャルーン・ポーパカン・フーズ)

    タイの大手食品関連会社であるCPFは、以前から環境に優しいビジネスに取り組んでいるが、政府のBCGモデルへの取り組みに沿って、さらに温室効果ガス排出削減に向けた製品の開発を目指している。
    サプライチェーン全体で持続可能な製品の開発に努めることで、生産効率の改善をおこない、食品損失の削減やエネルギー効率の向上、包装の選択など、低炭素製品の生産チェーンにつながっている。これはCPの企業理念の根底にある「フルインテグレーション」飼料から商品生産まで自社で一括直営管理ができるシステムが生かされている。現在790以上のCPF製品が国際基準でカーボンフットプリント評価を受けている。
  • SCG(サイアム・セメント・グループ)

    政府が掲げた2050年ゼロ・エミッションに向けて二酸化炭素排出量削減のための3つの主要な戦略を掲げた。1つ目は材料となるセメントとコンクリートは環境に優しい製品の生産と生産工程におけるCO2排出削減に重点を置く。2つ目は効率を高めるためにプロジェクト管理における技術のデジタル化を促進する。3つ目は廃棄物の再利用を最大限に活用する。
    現在使用されるエネルギーは70%が石油や石炭といった化石燃料から供給されているが、これらの割合を、太陽光エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーに徐々に増やしていき、2050年までにはサラブリ県のセメント工場で石油燃料の使用率を50%まで削減する目標を掲げている。
    製品イノベーションの面では高性能コンクリートや3Dプリンティング用モルタル、こう圧縮コンクリートといった低炭素コンクリートがいくつかのプロジェクトで試験的に採用され始めている。建設業界におけるグリーンイノベーションを推進することは難しい課題ではあるが、関係者でその意識を共有し環境ソリューションに取り組んでいく。

【お悔み】

元駐日タイ王国特命全権大使バンサーン・ブンナーク閣下が2022年3月6日63歳でお亡くなりになりました。
在任中、日本とタイの親交発展にご尽力された大使閣下のご功績を讃えるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
データソース:Bangkokbiz、EEC、thansettaki
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