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2023年12月4日 メルマガ第31号 【タイの産業廃棄物問題】
有害廃棄物の不法投棄問題 ~それは10年以上にわたって次第に深刻になり、慢性的な問題となっています。政府は、産業発展を進めていく上で、環境汚染の問題を早急に解決しなければなりません。ここ数か月で産業廃棄物を正しく処理していない事業者や、違法に海外から廃棄物を輸入する業者などの事例が多く報告されています。 管轄している工業省は、リサイクルや廃棄物処理業者の法規制の強化などを行い、問題を解決する方針で進めています。 新しく就任した工業大臣も、これらが早急に解決すべき重要事項として、国内のリサイクル工場を視察し、近隣住民に早期解決を約束しました。

【廃棄物処理事業の現状と問題 工場局長の発言】

現在タイでは、廃棄物処理工場、特にリサイクルプラントからの有害廃棄物の不法投棄や基準を守らない汚水・ガスの廃棄問題がエスカレートし、多くの地域で人々と環境に重大な損害を与えるような状況が広がっている。
過去10年間で、ラチャブリー県、ペチャブーン県、ラヨン県で問題のあった工場が近隣住民から訴えられ、敗訴。しかし、この時、住民たちは、工場管理を管轄している工場局や政府ではなく、NGOの助けを借りて、自ら立ち上がり問題を提議した。 住民たちの中では、「工場局(政府)」が住民ではなく工場を擁護する立場に重きを置いているという印象を持っていたということが原因の一つであった。
このことから工業省工場局は、工場許可の発行から管理および監督までの権限を持つ唯一の機関として、その役割について改めて考えるきっかけになり、有害廃棄物の違法処分を阻止するための「戦略と方法」を初めて発表した

ポイント1-「廃棄物生成者は責任を負わなければならない」

タイで廃棄物処理業者の役割を果たす工場の種別は3つあり、有害廃棄物処理、無害廃棄物埋立地の分別、そしてリサイクルとなっている。 合計で約2,000の許可があり、廃棄物生成者が廃棄物の処分を選択するための多数の代替手段になっている。
しかし、問題は、法律では処分先として誰を選ぶかという部分に言及していないことで、廃棄物を排出する工場は、工場局が発行する有効なライセンスを持っている事業者であれば、廃棄物を誰が処理できるかを選択できる。処理業者により、廃棄物価格の値下げ競争が行われ、実際に適正に処理するために必要な経費を下回る費用で取引されてしまう。そのため、処理しきれなかった廃棄物が違法に投棄される結果につながっている。実際に合法的に優れた廃棄物処理工場は国内に沢山あるが、価格競争には勝てないため選ばれることが少なかった。
廃棄物生成者は処理業者に渡した時点で責任がなくなり、どこに廃棄されても罪悪感はなくなるので、まずはそれを直さなければいけないと考えた工場局が「廃棄物生成者(違法に輸入した場合も含む)は責任を負わなければならない」という新しい通知を発行した。

ポイント2―「被害者への救済を迅速に行う」

ラチャブリー県のワックスガベッジ社の問題は、20年にわたり周辺住民へ影響を与え続けている。適正に処理されていなかった有害廃棄物のせいで、周辺住民への健康被害が問題視されていた。村人はタイで初めての環境訴訟を起こし、判決まで長い時間を要したが、勝訴となった。 ところが、工場側は、資金の問題で被害者への賠償金も有害廃棄物の処理も進めずに、多くの廃棄物を埋め立てたため、現在でも地下水源への影響が残っている。 この特定のケースでは工業省は100億バーツの「中央予算」の承認を閣僚に求めた。 被害者救済と廃棄物処分、環境回復などにこれらを充てる。支援金は事業者から返済するように手順を整える。これがもとになり、新政府に「産業影響回復基金」の設置を提案している。
その他、不正な行為を行った工場に対する工場局の権限の見直しや、産業発展と周辺住民との調和について工場の検査や管理監督の方法を通して双方にとって良い方法を模索していく。

【産業廃棄物問題の事例】

  1. パームオイル工場のケース
    チュムポン県にある、パームオイルの搾油と廃液からバイオガスを生成している工場に対し、周辺住民からのクレームがあり、工業省担当官が工場を視察。 近隣住民からは、工場から排出される処理水が決められた基準を守っておらず、健康被害や周辺の農作物への被害が出て不安視されていた。
  2. 化学品を含む産業廃棄物の処理
    長年にわたり、不正な有害産業廃棄物の処理による被害が報告されていたが、改善の姿勢が見られず、さらに弁護士を立てて、検察担当官が工場敷地内へ立ち入るのを妨害。 その警察官50名を伴い工場へ立ち入り検査を強制的に行おうとしたが、それも妨害。 話し合いの末、検査担当官の立ち入りが許可されたが、弁護士が不法侵入や強盗の疑いがあるとし。検察へ訴える姿勢をしめしている。
  3. 電子廃棄物の不正輸入
    チャチュンサオ県にある工場で、1,960個の電子廃棄物、60台のノートブック、1,000kgの電子部品が発見された。さらに、別工場では、大量の電子廃棄物を収集・分別する場所として使用しており、そこでも1,000トンを超える廃棄物が発見された。 違法に海外から輸入された電子廃棄物は、大気汚染を起こす可能性があり厳重に取り締まる必要がある。事業者は、製品のいくつかは地元の村民から購入したと証言していたが、それを証明するものはなかった。 また、これらの工場は事業内容について正しく通知していない上に、許可のない機械の導入や作業工程で排出されるガスを大気汚染除去する工程を経ていないため、基準を満たしていないということが判明した。
  4. 汚染水の漏洩
    ラヨン県にある廃棄物処理業者S.K. Interchemical社から作業依頼を受けたWinprose社の工場敷地内にある貯水池に、適切な処理を行っていない汚染水が検出された。 工場内のバルクコンテナから刺激性の化学臭があり、処分・分別の工程を待っている間に廃棄物から漏れが生じていた。工場内に流れた液状の廃棄物は、排水溝を通り、工場周辺の池に流れ込んだと考えられる。 また、電子廃棄物や医療廃棄物などWinprose社が、取り扱い資格のない不正な廃棄物、バルクコンテナの鉄骨部分が切断された痕跡、盗品とみられるトラック部品なども見つかった。 ラヨン県はタイ政府が推進するEECも所在する重要な工業生産拠点であり、環境保全を遵守するために、工業省は厳密に監督する必要がある。今後、東部工場公害研究センターにおいて、工場内部および影響を受ける水源の水質を監視し、継続的にモニタリングする。

【工業大臣による現地視察】

ピムパトラー工業大臣が、ラチャブリーで火災事故を起こしたリサイクル工場(ワックスガベジ社リサイクルセンター)の廃棄物処理の進捗状況を確認する目的で、視察を行った。 同工場は20年以上にわたって問題視されていた、工場の操業について、住民と衝突しており、政府から工業省工場局の担当官が視察を行うよう指示されていた。過去に幾度にもわたって、危険物取扱や工場の改善指導などが行われていたが、依然として、大量の産業廃棄物や化学廃棄物の残留物があり、近隣住人や農業従事者から、汚水や排気ガスに関するクレームが寄せられている。 今回の訪問で、工業大臣として、工場周辺の人々の問題を深刻に認識していることを伝え、長期にわたって慢性的で、かつ公共に影響を及ぼし、人々と環境を汚染する産業廃棄物の問題を手順に従って迅速に解決し、できるだけ早く実施をするように指示した。 政府は、ワックスガベッジ社リサイクルセンター敷地内の汚染水、廃棄物、化学廃棄物残差の処理を実施するために、2023年度の緊急予算を当てることを承認し、工業省担当官は分析のためのデータサンプルを採取した。
2023年12月4日 メルマガ第30号 【セター内閣の主な政策】
2023年9月初めにセター第一次内閣が発足しました。重要ポストにはタイ貢献党員を中心に、連立野党や元軍事政権で経験のある人物を配置し、経済の再建に早急に取り組んでいく姿勢です。 また、現在タイ国内ではセシウムの流出や工業廃棄物の処理、工場からの排水処理などによる環境汚染が非常に問題視されています。工場への指導や管理監督を徹底していく必要があり、こうした観点からも、新任の工業大臣による産業発展と、国民の健康維持を両立していく取り組みに注目が集まっています。

セター内閣の主な政策

  1. デジタルウォレットで10,000バーツをチャージ
    お金を経済に投入し、マクロ経済を循環させる全ての地域に分配。 投資や事業の拡大を引き起こし、雇用創出を通じて経済活動を循環させる。 政府は税金の形でリターンを受け取る仕組みを作る。
  2. 農業部門の債務問題の解決  SMEの救済
    適切な条件と資格を精査して農家の債務を一時停止する。 COVID-19の影響を受けた中小企業を対象とし、債務と財務コストを支援する
  3. 電気代の削減と燃料問題
    電気代と燃料費を直ちに適切な料金にする。 再生可能なクリーンエネルギー生産と使用を促進する。 近隣諸国との両誘致交渉を加速し追加エネルギー源を模索する。
  4. 観光の収益を促進 ビザ申請改善とフライトの増便
    観光は短期的にタイ経済を刺激することが出来る収入源のひとつ。 ビザ手続きの簡略化や料金の免除など、また展示会出展社向けのファストトラックビザの確立など、全てのセクターの企業と協力して展示会開催を行う。 空港の改善や国内フライトの見直しなども含め、より多くの人が便利に利用できる陸海空の輸送システムを構築する。
  5. 王室に関わる憲法改正の意見の相違問題を解決 民主的な憲法にするため、国民投票を実施し、それらを議会で話し合う。
その他公共交通機関の料金の見直しや安全保障、南部地域の平和政策などが議題に挙がっている。

最低賃金の値上げ

タイ貢献党の公約の中の一つに、最低賃金を2027年までに600バーツまで引き上げるというものがある。これらを実現するためには企業の利益率を高め、年間5%の経済成長率が必要とされる。政府は上記政策の実現の皮切りとして、2024年1月1日から最低賃金を400バーツまで値上げすることを検討しているとのことだ。 本件を担当している労働大臣は、最低賃金の値上げが、企業の圧迫、経済の破綻を招かないようにするために、労働者・雇用主・政府の3つの組織で形成される有識者会議で十分に話し合われる必要があると述べた。 現在の最低賃金は地域ごとに異なり、その金額は328-354バーツと開きがあるため一律400バーツとなった場合、一番賃金の低い地域は20%以上も賃上げを行わなければならないことになる。特に中小企業にとっては事業を継続できなくなる恐れがあるため、賃上げはインフレを反映して地域ごと、業種ごと、または能力によって引き上げる必要がある。 タイ工業連盟に属する45分野の産業のうち、自動車や電子電気産業といったハイテク産業はすでに一日あたり600バーツの賃金が支払われる高度なスキルを持つ労働者が雇用されている。およそ半分は農業・漁業・食品加工など農業集約型産業においては、政府は自動化の推奨や低金利ローンといった面から支援することが求められている。 観光業界も、賃上げについては消極的な意見も見られる。観光産業の回復がまだコロナ前のように戻っていないこと、高いエネルギー価格や労働者不足など、課題が多く残っている。 また、これらの対象はタイ国民だけでなくタイで働く全ての外国人労働者も同じ様に賃金の保証がされなければならないとしている。外国人労働者の賃上げについては、投資家にとっては負担が増える一方で、労働者にはタイで働く理由の一つにもなる。現在5万人以上の外国人労働者がおり、今後2-30年後には労働人口全体の50%を外国人労働者が占めるだろうと予測されている。そのため、雇用需要を満たすのに十分な条件として賃上げと同時にスキル向上が求められている。 上記のことを踏まえ、政府は1月1日から一律400バーツとするのか、段階的にまた業種ごと、地域ごとに価格を制定するのか遅くとも11月末までに決めたいと考えているとのことだ。
各地域の最低賃金の現状(2023年9月)
現在の
最低賃金
(バーツ/日)
対象地域
328 ナラティワート パタニ ヤラ ウドンタニ ナン
332 カンペーンペット チャイヤプーム チュムポーン チェンライ チャンターク ナコーンシータマラートピチット プレー マハサラカム メーホンソン ラノーン ラーチャブリー ランパーン ランプーン シーサケート サトゥーンシンブリー スコータイ ノンブア ランプー アムナット チャルーン ウタイターニ
335 カンチャナブリー チャイナット ナコーンパノム ナコーンサワン ブン カンブリーラム プラチュワップ キーリー カーン パヤオ パッタルン ピサヌローク ペッチャブリー ペッチャブーン ヤソートーン ロン・エド・ルーイ サ・ケオ スリン アントン ウッタラディット
338 カラシン チャンタブリー ナコーン ナーヨック ムックダハーン サコンナコーン サムットソンクラーム
340 クラビ コーンケーン チェンマイ トラート ナコーンラーチャシーマー プラチン ブリー パンガー ロッブリー ソンクラー サラブリ スパンブリー スラートターニー ノンカーイ ウボンラーチャターニー
343 アユタヤ
345 チャチューンサオ
353 バンコク ノンタブリー ナコーンパトム パトゥムターニー サムットプラカーン サムットサーコー
354 チョンブリ、ラヨーン、プーケット

新任の工業大臣 早急に取り組むべき事業

工業省初の女性大臣に就任したピムパトラー・ウィチャイクン女史は南部ナコンシータマラート県出身の理系畑出身の政治家である。
就任後工業省幹部との会議で経済復興のために早急に取り組むべき事案として、新産業の促進、SME強化、基盤経済の活性化、ワンストップサービスの向上、ゼロカーボン産業推進を挙げ、これらについて3か月以内に行動に移さなければならないと述べた。 主に将来の自動車産業、スマートエレクトロニクス産業などを歯車として、ロボット工学、自動化、バイオおよびハラルといった潜在的な新しい産業を支援する方法を緊急に見つけるよう促した。 さらに経済回廊については国内4地域に拡大する。国内で電気自動車の生産と普及を促進するための措置の検討を進める。同時に充電ステーションの拡張や税制改正なども行い、中小企業が市場にアクセスしやすく競争力を高める効果をもたらすよう支援する。 人材育成にも重点を置き、産業技術教育や職業訓練などを支援して、人々が持続可能な収入を得られるようにすることによって、タイが中所得国の罠から将来の繁栄へと移行する準備をする。 また、廃棄物処理の問題では、地域住民に影響のない処理方法を徹底し、将来的にはゼロカーボン産業モデルを推進するために話し合っていく。
2023年10月13日 メルマガ第29号 【第30代タイ首相決定】
下院総選挙から3か月、難航していた首相の選出がようやく決着し、タイ貢献党のセター・タウィーシン氏が正式に第30代首相に任命されました。今後、どのように新政権が発足され、またタクシン元首相の動きも注目されています。

第30代首相が正式決定

【任命後のセター氏の発言】

タイは現在大きな転換期を迎えており、緊急の解決策を必要とする危機や問題を抱えている。社会の不平等や汚職などを解決し、国民の収入や生活の保障などに取り組むための政策を実行する。 国家予算を透明かつ効率的に管理し、民間セクターとの良好なパートナーシップを構築し、官民両者が同時に成長していけるような仕組みを作る。
在任期間4年間を変化の期間になると確信している。
今後、各省の大臣など重要ポストが選出され、ようやく新しい政権が始動することになる。

セター氏のバックグラウンド

【政界に入るまで】

セター氏は1962年生まれの61歳。マサチューセッツ大学で経済学の学士、その後クレアモント大学院大学で財政学の修士を取得した。
卒業後はアメリカの大手一般消費財メーカーProcter & Gamble(P&G)社に製造管理アシスタントマネージャーとして4年勤務したのち、1988年に不動産開発関係のSansiri社を立ち上げ、不動産業界で多額の富を築いた。

【政界への参入と政策】

SNSなどを活用してビジネスのノウハウやビジョンを広く広めてきたセター氏は、若い世代からの指示も多く、そのことから、COVID19や経済危機からのタイ復興のリーダーとしての資質があるとタイ貢献党から注目をあびた。 セター氏自身も、過去2回のクーデターや激化した社会的、経済的、政治的問題、そしてCOVID-19パンデミックにより露呈した不平等を解決しなければならないという関心を抱き、政界へ参入することを決め、2023年5月の総選挙に出馬し当選。 これまでの企業経営などの経験から、低所得者向けの補助金、洪水問題の解決、諸外国でタイ人のビザ免除、社会保障の権利・福祉の平等性、ジェンダーの多様性の権利、医療用マリファナのみの使用許可など、国民の関心度の高い政策を掲げている

今後の展望 軍事政権との連立

総選挙でタイ野党第一党となったタイ前進党は党首のピター氏が議員辞職したのち、野党8党で組んでいた連立も解消。その後、第二党の貢献党はその他の野党や与党と協力関係を結んだ点についての批判がある。事実、22日の首相指名選ではタイ前進党議員149名全員(1名は急病のため棄権)が反対票を投じている。
上記を含め、まだ多くの課題が待ち受けているため、外部メディアも、新政権の行く末を注意深く見守っている。 民主党の中にはタクシン元首相を退陣に追い込んだ軍事クーデターで取り締まる側にいた人たちがおり、貢献党支持者の中には連立や協力は難しいと考えている人もいる。 一方、セター氏は、いわゆる「タクシンファミリー」ではないことから、保守派が正当かつ安定して権力を維持するための緩衝材として適任とも言われている また、セター氏の経済に対する深い知識と経験は、現在タイが抱える経済問題を解決し、エネルギー料金の削減や自由貿易協定の推進など、外国投資家にとって魅力的な政策を打ち出してくれると期待されている。

【国民の反応】

  • 5月に行われた総選挙で、国民の意思がその結果に表れ、タイの政治は過去に戻すのではなく、未来に向けて歩き出したと感じていた。民主主義とは、国民が権利を持つものと信じていたが、選挙とは儀式的なものでしかないということが判明した。
  • タイの民主主義は装飾的なもので国民に主権はない。議会制度への信頼は大きく揺らいでおり、国民の信頼を得ない政治の将来に危機を感じている。
こうした否定的な意見がある一方で、前進党の多くは政治に関して素人が多く、政権運営は難しいため、今回のような結果になり、安定した政治が期待できるという意見もあった。

タクシン元首相との関係

首相が選出された同日、タクシン元首相が15年ぶりにタイへ帰国した タクシン氏が深く関係するタイ貢献党が政権を主導することを確信し帰国に至ったといった憶測が飛び交う中、帰国後、高齢のタクシン氏の体調を考慮したうえで、新型コロナ感染の検査などの健康身体検査が完了したのち、警察病院に収容された。3つの事件(輸出入銀行貸付詐欺事件・政府宝くじ事件・シンコーポレーション事件)で合計8年の懲役刑に服するため、法律に基づき裁かれる。
セター氏を首相指名選に推薦したのはタクシン氏とも言われており、与野党の賛成票の多さから、今でも同氏の影響が深く残っているという見方もある
2023年8月31日には、国王陛下の恩赦を申請したことがウィサヌ現副首相により明らかにされた。もし恩赦が認められ、新政権発足後にタクシン氏が政界に返り咲いた際に政治基盤を持たないセター氏がどれだけ自身の特色を生かし、存在を確立できるかが不安視されている。
2023年10月13日 メルマガ第28号 【2023年首相指名選 タイエネルギー事情】
下院総選挙以降、首相の選出が難航しており、現在も新政府設立が実現していないタイでは、進行中の経済政策が「新政権の決済待ち」といった案件もあり、経済の停滞が懸念されています。一日も早い首相選出と新政権の発足が望まれている状況です。
【首相指名選】
2023年7月13日に行われた上院・下院による第1回首相指名選で、先日の総選挙で第一党となったピター氏が連立政権からの指名を受けて唯一の首相候補となったが、投票結果が過半数に届かなかったため、7月19日に投票のやり直しとなった。 ところが、第2回指名選投票当日、かねてより選挙管理委員会に挙げられていたピター氏の“メディア株の所有”という事実が選挙法違反の規定に該当するという判決により、ピター氏は議員資格停止処分となり、自ら前進党の党首を辞任、そして議員辞職を申し出るという事態になった。 タイ国内では、“国民の投票により一番人気で当選したピター氏が首相に選出されないことは国民の意思を尊重していない”などを訴えるデモが起きている。前進党は、政策の中に含まれている憲法112条の改正については「国民との約束」であり、重要事項と位置付けており、取り下げなどについては考えていない。今後連立を組んでいる野党は、ピター氏がいなくなった後、上院・下院の過半数以上の賛同を得るために、今一度連立の見直しや候補者の選出について検討する必要があると考えている。 第3回指名選の議会は7月27日に開かれる予定。
【各政党の経済に関する公約】
先行き不透明な新政権の設立は、外国投資家の信頼を揺るがすタイ経済にとって大きな損失になると考えている人も少なくないが、タイの政治の習慣やルールについて理解し、政権の安定を温かい目で見守らなければならないのも海外投資の困難な点の一つです。 しかし、多くの政党が、タイ経済の発展のために経済支援策、投資政策の改革に重点を置いており、国際的な経済の課題の解決に何が必要なのかを公約に掲げています。 政権によってどのような違いがあるか、今回は特に外国企業にとっても関わりのある経済、特にエネルギーに関して主な党の公約をまとめました。
国民開発党
エネルギーに関して最も現実問題解決のためのはっきりとしたビジョンを持つ。 石油・ガス・電気全てのエネルギー事業に関してもっと民間企業が関わることにより、効率的かつ公正で透明な競争力を高めることにより、適正な価格で供給するシステムを構築することが出来ると考えている。送電線や発電の確保がEGATでのみ管理されている状況を見直し、現在タイ発電の多くを占めている天然ガス発電から再生可能エネルギーが占める割合を増やすといった改革が必要。
タイ建国党
現在の発電供給(約53,000Kw/h)は、国民の電力使用量(35,000Kw/h)を上回っており、我々は実際よりも高価な電気料金を支払っていると指摘。結果国民の電気料金を3.5バーツ/Kwhまで引き下げられると確信していると述べている。
タイ誇り党
全ての家庭に無料ソーラーセルを給付することにより、家庭で使用する電気代を450バーツ値引きすることが実現できる。政府は、電力公社のシステムを通じて余剰電力を買い取ることにより国民の支出を削減できる。 6,000バーツの電気バイクを月々100バーツのローン払いで購入できるプロジェクト。上記の太陽光パネル無料設置と併せれば、国民が安価で電気バイクを購入することができ、電気代の問題も解決される。
国民の力党
エネルギーに関して、短期的な政策と長期的な政策二つをもつ。短期的な政策は電気・ガス・石油価格の値下げ。人々の生活費を削減するための適正な価格を再検討するというもの。 長期的な政策については、屋根上ソーラー設置に関する補助金制度を設けること、また政党主導のバイオマス発電所を建設するプロジェクトを立ち上げること。建設地域では燃料となる作物の栽培を行う農家は発電所の株式を所有することにより収入を得ることができ、さらに自分達で消費した分の余剰電力を電力公社が買電するといったシステムを構築することができる。
前進党
タイ湾の天然ガスは、安価で国全体の発電に十分な量を採掘することができるが、EGATは外国から輸入したLNGガスを使用して発電しているため、そのコストが余分にかかっている。財務省参加のPTTは、タイ湾から採掘した天然ガスを分離プラントに運び、まず高商品価値のあるプラスチック樹脂生産のための原料を抽出し、その残りのガスの一部を燃料として産業プラントに販売する権利を持っている。その残りのガスがEGATに販売されるため、発電に試用するガスの量も不足し、さらにコストがかかるために最終的な電気料金の価格に影響してしまう問題がある。このことを踏まえ、政府が、EGATが天然ガスを最初に発電するための燃料を使用する権利を与えることにより、発電量の増量とコスト削減が見込まれ、電気料金が削減されると考えられる。 加えて、各家庭に太陽光を設置する。これにより、自家発電・自家消費により電力コスト削減に役立つ。また、市内のバスの電気化を推進する
【タイのエネルギー政策と現状】
タイの国家エネルギー政策では、石油価格の上昇、エネルギーの枯渇、環境汚染といった世界で課題となっている問題に対して、革新的なエネルギー技術をタイに導入し、クリーンで高品質な技術を持つタイの産業発展を目指した社会への枠組みが組まれている。
政策と目標
2023年に更新したPDP2023(国家エネルギー)では2050年までに国内の発電の50%を再生可能エネルギーで賄うという目標を立てている。 主に4つの側面からタイエネルギー政策の実現に向けて関係機関が方針を発表している。
  1. 低炭素社会を築く
    • 2050年までにカーボンニュートラルを実現する
    • 国内初のグリッド近代化投資計画:スマートグリッドシステムと電力インフラストラクチャ(2023-2027)の投資と開発5カ年計画
    • クリーンエネルギーの取引を促進するための法律や規則の改正
    • EVおよび充電ステーションの発展
  2. 経済を強固にするエネルギー
    • スポットLNGの輸入の費用を抑えるために低コストで国内及び近隣国から天然ガスを調達する
    • 太陽光、廃棄物、フローティング太陽光などの発電を促進する
    • 建物の省エネ設計基準を義務化
    • 公共の電力効率を高める為に民間の電力会社の利用促進
  3. エネルギーの公平性と人々の暮らしの品質向上
    • 島や過疎地域の送電インフラの発展
    • LPGガスの価格を固定する
    • 低所得者および生活保護を受けている国民に対するLPGガス購入補助金
    • PTTは屋台などを運営する低所得層に対しLPGガスの購入補助を行っている
  4. エネルギーサービスを提供するための組織開発
    • 国民がより円滑にアクセスできるエネルギー情報の公表
    • デジタル面での効率化
    • エネルギー省傘下にNational Energy Information centerを設立
    • エネルギー事業への参入許可申請の改定
FiTの背景
2022年10月、タイ政府は、再生可能エネルギーの技術向上・クリーンエネルギー普及を促進するために、FIT(固定価格買い取り制度)導入を決め、民間企業に参加を募った。 これらは、当初掲げられたタイ国家電力開発計画2018には含まれていなかったが、地球温暖化や石油不足の問題を軽減するために、太陽光・水力発電・バイオマスそして水力など自家発電業者からPEA(地方電力公社)のグリッドに接続し販売するシステムを構築した。 現在のFiT買取価格は、太陽光発電は2.1679バーツ/Kwh、太陽光+蓄電の場合は2.8331バーツ/Kwhとなっている。 制度が始まってから申し込み案件が多数あり、現在は予算の関係で募集を締め切っている。また現実として、電力供給過多の傾向もあり、通常の電気料金は4.7バーツ/Kwhのため、あまり利益の見込みがなく、屋上ソーラーなどを備え付ける家庭や商業施設では、自家発電自家消費が多くみられる。 また、工場規模でも同様に、発電施設として事業を行うというより、工場内で発電設備を設けて、工場内で消費する傾向にある。
現在の発電システム担当 分類 発電量の割合
過去にはタイ電力公社(EGAT)がタイの発電を担っていたが、政府は1994年より民間の発電事業への参入を許可し国内の発電容量増加や技術の向上を図っている。 発電事業者の中には、大規模発電IPPと小規模発電SPP、極小規模発電VSPPの三種類が設けられ、その発電方法などは火力・自然エネルギー以外にも自然エネルギーや代替エネルギー発電などその方法も多岐にわたっている。特にVSPPに分類される事業者は再生可能エネルギーを利用した発電方法に特化している企業が多い。
2023年5月の発電容量
総発電量49,468.80MWのうち EGAT16,920.32MW(34.2%)IPP17,023.50MW(34.4%)SPP9,290.08MW(18.78%)輸入6,234.90MW(12.62%)となっている。EGATの発電量のうち、再生可能エネルギーは3,116.92MWで全体の18.42%にとどまっている。多くは全国のダム水力発電で太陽光、風力の発電量は少ない。
2023年7月25日 メルマガ第27号 【新政府と経済課題】
2023年5月14日のタイ総選挙により躍進した野党第一党の前進党党首ピタ氏は、政権奪回を果たし、民主的で円滑な政治運営を進めていくため、2023年5月22日に野党8政党とともに連立政権を組み、共通の政策を盛り込んだ協力覚書を締結しました。 新政府設立は外国投資家にとっても、今後の経済政策を左右する関心事の一つです。 既存のEEC計画が現在どこまで進んでいるのか、また今後進めていくため新政府が取り組むべき課題など、タイが外国投資家にとってより魅力的なビジネスの場であることをアピールしていかなければなりません。

【連立野党の覚書締結】

覚書に参加した野党は、前進党、タイ貢献党、プラチャーチャート党、タイ建設党、タイ自由党、プアタイ・ルワムパラン党、公正党、新社会の力党の8政党で、合計すると下院の議席数は313議席(暫定)となる。 今後予定されている首相選出に向けて、方向性を一つにして国民のためのクリーンで円滑な政治を目指している。 協力覚書には23の項目が設けられているが、主には民主的な憲法の制定や官僚改革、透明性のある国家システム、多文化共生社会、地方の人々にまで公正な権利が得られる地方分権化、麻薬取り締まりの再規制、農業や漁業の価値創出を含めた経済改革などが挙げられる。 注目されていた憲法112条については触れられていなかった。

【第一四半期の投資状況】

商務省発表の2023年第一四半期の外国投資件数は217件で、投資額にすると38,702百万バーツとなっている。一番多いのは日本からの投資で55件、次にシンガポール35件、アメリカ34件、中国14件となった。昨年の同時期と比べると件数が11%上昇しており、タイ人の雇用も増えている。 また、上記件数のうちEEC域内への投資は43件、投資額7,521百万バーツ。日本に続いて中国・香港とアジアからの外国投資が上位を占めている。 産業分野は、自動車部品製造機械の修理・メンテナンス、製造業に関する生産工程・品質管理システム管理向上のコンサルティング業務、機械設計、部品・原材料の調達などがある。

【第一四半期の投資状況】

EECプロジェクトは現在、政府の承認が保留となっていたり、訴訟問題が解決していなかったりと課題がいくつかある。
高速鉄道契約の修正
EECのインフラ開発プロジェクトは全体的に遅れが生じている。 特に、タイ国有鉄道(SRT)がCPグループとタイ高速鉄道プロジェクトに携わる合同投資の契約を締結してから3年7か月が経ったが、高速鉄道の建設はいまだ進捗が見られない。新型コロナの影響で、企業救済申請など合弁会社を含む救済について、政府の承認の問題やタイと中国を結ぶ鉄道の土木工事の重複地域の交渉などが浮き彫りになっている
ウタパオ空港
EEC政策委員会とウタパオインターナショナルアビエイション株式会社との共同投資が2020年6月に締結されてから、まだ建設工事が開始されていない。 本件に関して、政府は、エリア内の公共設備のみ建設を開始、滑走路建設の請負業者の募集を今月2日に準備を始めた。今年の第3四半期には民間へ引き渡し、来年から建設が開始される予定となっている。 また、新型コロナの影響を受け、建設プロジェクトは当初第4フェーズで予定されていたが、第6フェーズに延期、年間利用者の規模も16万人から12万人に規模を縮小している。(最終的には年間利用者60万人の設備建設を目標としている)
レムチャバン港第3フェーズの延長交渉
タイ港湾公社がすすめる国際海上貨物の需要増加をサポートするためのターミナルFの開発で、落札した民間請負業者に建設予定地を引き渡すライセンスの発行が完了していない。 れらも新型コロナの影響で機械設備の輸入などが出来ずに埋め立て工事に遅れが出ているのが原因の一つ。また、地上でのインフラ建設に関する入札に参加する企業を募ることができず、第2次入札で民間企業の参加を促し、遅延を補うために入札条件の譲歩などが必要とされる。
EEC以外にも急速に進められている鉄道インフラの建設プロジェクトにも全体的に遅れが生じており、これらの問題について、新政府は速やかに承認決定や課題解決を行い、プロジェクトを促進し、外国投資家の信頼とタイが目指す経済発展を取り戻さなければならない。
2023年7月25日 メルマガ第26号 【タイ総選挙2023】
タイ下院の解散により、2023年5月14日に約4年ぶりに行われる総選挙に出馬する候補者が出そろい、タイは選挙一色となっています 特に今回は8年以上続いたプラユット首相率いる軍事政権が交代となるのか、タイ貢献党いわゆるタクシン派が新政権となるのか、元民主党が政権を取り戻すのか、またはどちらにも属さない新しい世代のリーダーが生まれるのか、タイ国中の人々の関心が集まっています。 国立開発行政研究院(NIDA)が2023年4月16日に行った世論調査によると、一番人気はタイ貢献党(プアタイ党)のペートンタン・シナワット候補(35.70%)、次に前進党のピター・リムチャルーンラット候補(20.25%)、3位は現首相のプラユット・チャンオチャー候補(13.60%)、4番目は“まだ誰に投票するかを決めていない”(6.10%)という結果になっています。 今回のメルマガでは、主要な候補者の政策を中心に、どのような点がタイ有権者の決め手となるのかについて情報を集めてみました。
  • タイ国民の関心
    タイのNation Pollによる調査によると、新政府に解決してほしい問題点が以下の通り挙げられた。(上位5項目)
    1. 雇用創出・賃上げ・技能教育…32.07%
    2. 生活費の値下げ(日用品や交通運賃、光熱費)…27.47%
    3. 借金問題の解決…12.68%
    4. 麻薬・覚せい剤問題の解決…5.79%
    5. 公共設備の発展(水道・電気・道路・交通・通信システムなど)…4.35%
    また、投票の際に'政党で選ぶ'と答えた人は全体の約65%で、その理由として「政策が良い」「党首が好き」「同じ政党をずっと応援している」となっており、'候補者で選ぶ'と答えた人は「視野が広く先見の目がある」「リーダーの素質がある」「過去の経験や業績」「人として信頼できる」などといった理由が挙げられた。
  • 政党と立候補者
    • 【タイ貢献党】 インラック元首相が2014年のクーデターで退任するまで党首を務めた。農業従事者への支援などが評価され、現在でも特に東北地方で人気を得ている。 今回の選挙ではタクシン・シナワットの末娘のぺートンタン・シナワットを第一有力候補とし、16歳以上の全国民への給付金や、OTOP促進、覚せい剤の取り締まり、産業や環境問題など幅広い分野で政策を掲げている。
    • 【タイ団結国家建設党】 プラユット首相を中心とする政党。南部で高い人気を誇る。負債を抱えている企業の救済や、生活保護者への補助金、子育て世代への補助金など、誰もが平等な社会を目指している。
    • 【前進党】 プラユット政権の交代や王室改正などを求めてデモを行った「新未来党」の解散後に立ち上げた政党。党首のピター氏は過去にソムキット副首相が新世代起業家を育てる為に催したワーキンググループに参加していた。温暖化問題をはじめとする環境問題や農業政策などを政策に掲げている。
  • バラマキと選挙管理委員会の審査
    立候補者の有権者に対する演説や選挙運動が過熱する中、その公約内容に実現性があるかどうか、タイにとって利益のあるものか、予算に見合った内容であるかどうか選挙管理委員会による審査が行われている。例えば、貢献党の「16歳以上の国民全員に電子マネーを通じて1万バーツ給付する」や前進党の「出生から老後すべての世代に福祉を」、また各党の電力の値下げなど、その予算確保の算出の見直しなどが言及されている。
    • 【タイ貢献党】 16歳以上の全国民に電子マネー(Digital Wallet)を通じて1万バーツを給付する。 上記を実現するためには約5600憶バーツの予算を確保しなければならず、現在の政府予算から確保できるのは2600憶バーツ。足りない分は今後増税の可能性やその他の方法で算出しなければならない。
    • 【国民開発党】
      アピシット政権時代に元財務大臣を務めたゴーン氏が党首を務める。タクシン政権の時代に副首相として経済産業界の発展に貢献したスワット・リプタパンロップ氏が会長。 電気料金の値下げのために、太陽光発電の自由化を推進する。現在の送電システムは国営企業のEGATが管轄しているが、それらをもっと自由に生産・販売する権利が得ることが出来ればもっと安価で平等な電力の流通が確保でき、結果電気料金の値下げにつながると確信している。
外国投資家にとっては、どの政権が主導権を握ったとしても、前政権同様にEEC政策や環境対策、インフラ整備など経済活動が持続していけるような産業政策への支援を継続していくことが重要だとタイ政府機関も理解しているようです 主要な候補者一覧と各党公約の一例についてもしご関心ございましたら、添付をご参照ください。
2023Mayタイ総選挙 主要候補者一覧
2023年4月27日 2023年新春特大号【タイ工業省 工場局長インタビュー】
クロスロード・キャピタル㈱は2022年10月にタイ工業省 工場局長に新しく就任したジュラポン・タウィーシー氏にインタビューをする機会を頂戴しました。 2022年9月に行われた経済産業省との政策対話に引き続き、スマート保安に関する協力の意見交換の内容や現在のタイの産業政策の状況などについて、率直なご意見を伺うことができました。
2022年12月13日 都内にてタイ工業省工場局長インタビュー 2022年12月13日 都内にてタイ工業省工場局長インタビュー

以下ジュラポン・タウィーシー工場局長のご発言:

【タイの産業の状況と日本との協力】

♢覚書を締結した背景
タイはThailand 4.0という経済成長の目標を掲げています。タイの産業は海外との競争力が20年前にくらべて落ちてきているため、製造業は現在のものからもっと発展し、効率化する必要があります。 タイは現在、中所得層の罠に直面しており、従来の製造業の緩やかな発展に満足しているだけでは、利益を計上できなくなってきています。これについて10年以上問題視されています。そのため、産業の効率化を図り世界市場の需要に応えていけるように発展していく必要があります。
経済産業省との話し合いの中では、競争力強化、生産性の向上や、産業のイノベーションについての議題が挙がりました。ASEAN地域は産業の面において競争力が高くタイを抜いている地域が沢山あります。 今回の話し合いのテーマであるスマート保安とは具体的に生産工程における安全を保っていくために、AIを導入して生産性の向上を図るというもので、タイが焦点をおいているSカーブ・New Sカーブに分類される産業に適用できる技術も含まれています。これらはタイに多くの収益をもたらすと考えられています。保安や環境問題を解決するための技術発展という面で、今後日タイで協力していけるでしょう。
Thailand 4.0の主要な目的はイノベーション、生産性の向上ですが、地球環境問題にも取り組む必要があります。今のタイの製品は安価であるというだけのものではありません。これからは、環境に優しくそして国民の健康を守るものでなければなりません。再生可能エネルギーの利用は地球温暖化の課題に取り組むために重要な項目で、これらの基準を順守することは、ヨーロッパやアメリカの市場にも受け入れてもらうために必須となっています。
日本政府からのタイへの技術協力はかれこれ30年前から始まり、その後も良好な関係が続き、現在に至っています。ASEANの中でも、タイの生産技術が向上し製造拠点となり得たのは、日本政府からの技術支援がとても大きいと言えるでしょう。 ですので、日本企業が多く投資しているタイの製造業がここからまたさらに一歩レベルアップすることがとても重要だと日本政府も認識していると思いますし、タイの産業を持続的に発展させていくため、タイの外国投資の中で最も多くを占めている日本との協力が必要不可欠だと考えられます。
♢覚書におけるタイの役割
日本政府は、この件に関して、専門家の派遣や人材育成を通して技術協力し、実際にタイでの運用ができるような環境づくりをしていくことを目的としています。 これは、官民一体となって取り組んでいかなければならない事案です。 工業省は、規制や制度の見直しを行い、企業が安全で安定的な生産ができるような技術を取り入れていけるよう支援を行っていきます。 世界共通の課題である環境問題において、日本とタイで起こっている問題点は実際には異なるかもしれませんが、重要なのは「技術」であり、それを日本の技術協力という方法でタイの産業の状況に合った形を模索し、導入していかなければなりません。 日本という一番の外国投資国からの協力は双方にとって利点があると思います。ただ、一点申し上げたいのは、技術や知識を提供してもらうということではなく、タイは日本を産業発展のパートナーと位置付けています。 2022年12月13日 都内にてタイ工業省工場局長インタビュー

【タイの産業政策】

♢BCG政策について
BCGはタイの産業の状況を打開するために政府が立ち上げた国家政策の一つですが、実際にはタイだけではなく世界全体が直面している産業への使命でもあります。
  • バイオ産業
    タイは比較的に、バイオ産業に適した資源に恵まれている国で、気候的にもバイオプロダクトに生かせる植物資源が沢山あります。これらの資源を活用してタイの産業を発展させていける可能性があるというのが、この政策を立ち上げた理由でもあります。
  • グリーン産業
    国が発展していくと同時に、天然資源は消費されていってしまいますし、その天然資源の枯渇はタイでも起こっていることを自覚せざるを得ません。 ご存じのことと思いますが、タイのGDPの1/3は工業が占めていて、1/3は観光産業が占めています。そのため、観光産業の成長を支えるためにはタイの美しい自然を今後も守っていかなければなりません。 現在、タイの自然環境はあまり良いとは言えません。空気汚染など深刻な問題になっています。タイはプラスチックごみの海洋への流出量が世界で五本の指に入っていて、この深刻な海洋プラスチックの問題を解決しなければ、タイの観光産業が発展することは難しいです。身体の健康に影響のあるマイクロプラスチックの浮いた海や河川、プラスチックごみだらけの観光地に行きたいという観光客はいないでしょう。プラスチックごみと河川や海へ流れるマイクロプラスチックの問題は現在タイにとって国家的議題となっています。
  • 循環型産業
    循環エコノミ―について、4、50年前はタイは天然資源に恵まれていて、またその資源の価格も大変安価なものでした。国の発展のために沢山利用してきましたが、現在は状況が異なります。これからは、より多くの循環資源を利用して、国内需要と輸出需要両方に対応可能な循環型消費の方法を取り入れていかなければなりません。
上記に述べた3つの環境問題への取り組みが国家的なBCG政策として今後20年を見据えた産業計画に反映されています。BCG政策の中で工業に関することで言えば、対象産業は10+2あり、既存の5産業と新しく転換していく必要がある5産業、あとの2つは産業分野というよりか、人材育成と国防という項目になります。 タイは軍が利用している武器を海外から輸入していますが、これからは自国生産をするという案も出ています。
BCGに対する具体的な政府の支援策
BOI以外の支援策について、今まで、政府はR&D を支援する予算が少なかったのですが、現在の政府が立ち上がって8年目になり、新しいイノベーション技術がなければ、タイは他国との競争に勝つことはできず、R&Dは産業発展のために大変重要なものであると位置づけられました。そのため、予算をR&Dへの補助金に多く当てています。 これらの管轄は高等教育科学イノベーション省になり、同省は研究開発に対してこれまでに最高の予算を獲得しました。
BOIは税制優遇措置などの面で進展させる役割がありますので、工業省やほかの省は研究費において個別に企業への支援を行っていきます。 また同時に、政府の役割として規制や法案の整備や許認可手続きといった面を改定し、10+2の産業への投資の簡易化を行い、よりビジネスが前進できるための環境つくりに励んでいきます。
具体的な例として、特区を設けた制度条例の一つ「sandbox」法というものが作られました。企業が新しい製品の開発・製造を行う際に、様々な規制により運営がスムーズにいかないという問題が起こるケースがあります。この「sandbox」で定められた特区に投資している企業の場合、試作品として商品を輸入し、法規制などをいったん除外して、これらの商品がタイにとって優位性があるか、競争力のあるものか優先的に審査されます。これは現政権下でできた画期的な取り組みで、投資促進・産業発展を大きく支援するきっかけになると思います。
♢EVについて
ベトナムのEVメーカー、ビンファーストがアメリカや他国で工場を設立し、自国メーカーの進出という点でタイより早く海外へ進出しました。 私の意見ですが、タイのEV産業に関していえば、政府が掲げたEV政策はベトナムに劣っているとは感じていません。おそらく数年の内にタイのEV産業はベトナムを上回るものになると信じています。事実少し遅れをとっていますが、それはタイの政策の進め方として、まず広く大衆の意見を聞くということから始まるので、そのようにタイとベトナムでは政治体制が異なることが要因の一つと考えられます。
タイのEV製造と国内の普及について
タイは自動車の普及率がかなり高く、自家用乗用車もトラックなどの商用車もどちらもかなりの量が販売されています。そのほとんどがエンジンを必要とする自動車で、それらは環境問題に多く影響していると言えます。 前述の通り、タイの大気汚染の問題は深刻で世界の3本の指に入る大気汚染レベルと言われています。タイのGDPの1/3は観光産業が占めているため、この問題の解決なしには観光業の発展は期待できないでしょう。 さらに大気汚染の問題は、国内では健康被害の問題となる一方で、経済にも影響を及ぼすと理解しています。
タイには内燃機関自動車関連の製造工場はすでに多く存在しています。この優位性において、国内のEV転換への啓蒙と次世代自動車関連の企業を誘致という、需要と供給の双方で市場を構築していかなければなりません。
世界の自動車産業はすべて、既にEVへの事業転換もしくは追加事業を行っています。 工場局は企業の事業内容を把握する立場でもありますから、日本だけでなくヨーロッパなど全ての自動車メーカーがすでにEV産業へ進んでいることがわかります。
タイ独自ブランドについて
タイでバッテリー製造の工場を立ち上げた100%タイ出資の世界的な企業energy absoluteについてご存じでしょうか。この企業の事業の進め方は韓国が新規事業を開始する時のスタイルとよく似ています。企業自体は技術を持っていないので、他社の技術を買ってバッテリーの製造を行っているのです。 自動車製造とバッテリー製造の大きな違いとして、自動車メーカーはブランド力というものが重要で、市場において信頼できるブランドかどうかというのが流通の大きな要因になります。 自家用車については、トヨタや三菱ホンダなど有名なブランドの車はすでにタイで流通していますが、タイのメーカーに関していえば、基準やその知名度が外国のブランドに比べて劣っているというのが現状です。これから企業がやるべきことは、バッテリーの生産開発とそれを搭載した車の開発です。タイにはまだ独自の自家用車ブランドがありませんが、バス・船・電車・トラックについてはタイ独自のブランドがあります。 タイは、ビンファーストのような事業展開ではなく、バスや船、トラックなど海外企業がまだ参入していないエリアへの展開を目指しています。そして持続可能なバッテリー製造を自国で行えるようにしていきます。そうすることにより、今後OEMで日本や外国メーカーのためにバッテリー製造を行ったりすることが出来ると考えています。 ベトナムに比べると、タイは自国のブランドの開発に遅れているという印象を受けるかもしれませんが、これらの強固な基盤が今後の事業の成長に発展していくと期待しています。
充電ステーションなどインフラについて
中国やgrate wall motor テスラ―など外国企業の参入が多く見られ、テスラ―は製造工場はありませんが、タイに販売拠点を持っています。 EVの関連企業は、充電ステーションの充実なしには事業の成功はないと考えていますし、タイの石油関連事業も充電ステーションの開発を推進することで、電気自動車の販売機会を増やそうとしています。
♢グリーンインダストリ―について
工業省が管轄している政策の一環で、工場局はタイ全土の76都県に地方事務所があるので、企業がグリーンインダストリ―(以下GI)認証取得を行えるようにするため支援するのに適した組織です。この認証は各企業の自発的な取り組みによるものであって、政府によって義務づけられているものではありません。あくまで政策の一環です。ですから政府としては、この政策を浸透させるために認証を取得することによって事業継続性や信頼度が高まると企業に推奨しています。 GIとして認証されるためには、企業が自発的に取り組まなければいけないもの多いので、取得した場合どのようなインセンティブが与えられるかといった企業を促すための工夫を検討しています。例えば、一定のレベルを取得した場合、税制を何年間免除するといったインセンティブなどです。 過去に、自然災害や洪水に見舞われた工場にこのような措置を講じたことがありますが、これは一種の救済措置で、税制や手数料の免除は予算の減少につながるため、GIのインセンティブに適切かどうか精査される必要があります。 また、取得したレベルにより工業省職員による定期的な工場監査の緩和などといった案も検討されています。例えばレベル3以上取得していれば毎年の監査が3年毎になるといったものです。これは企業側も工業省側も負担が軽減されるのでとてもいいと思います。
工場以外の認証について
工場以外の施設にGIのような認証制度を適用する予定があるかどうかということですが、商業施設などの認証を行うのは他省の管轄になります。 例えば観光に関連する「グリーンホテル」「グリーンショップ」「グリーンホームステイ」といった観光スポーツ省、省エネの建物は電気公社などがあり、環境への配慮や効率的なエネルギーの使用、適切な廃棄物管理、排水など様々なルールがあります。販売店であれば、その製品が環境を破壊するプロセスによって生産されていないかどうか注意を払うといった労働環境や環境に優しい取り組みをしているかどうかという物差しの一つになるでしょう。それぞれの施設や企業が環境保全に取り組んでいるかどうか、公的に知ってもらえますし、知名度や信頼度の向上につながる良い機会にもなると思います。
工業省の政策として、2025年までにすべての工場がGIの認証取得を目指していますが、取得できなかった場合は企業の責任ではなく、政府の指導責任になります。レベル1や2の取得はそんなに難しくはありません。企業は継続して取り組んでいかなければ認証レベルの降格もあります。我々は企業のGI取得・継続支援のために何でも取り組んでいくつもりです。
インタビュアー: クロスロード・キャピタル㈱ 鈴木倫子 NGOで日本語教師としてのボランティアでタイカンチャナブリに2年滞在 帰国後、在京タイ王国大使館に7年半勤め、現在はクロスロード・キャピタルでタイ産業関連の情報提供などを行っている
2023年3月7日 メルマガ第25号 【BOI投資セミナー 2022年東京開催】
2022年11月28日―29日の日程でタイ投資委員会(BOI)によるセミナーが東京・大阪で開催された。 2022年11月にBOIの新しい投資制度が承認され、タイの産業技術の発展や外国企業にとってより投資しやすい環境を目指した恩典について説明がなされた。 本セミナーには2022年10月に着任したばかりのBOI長官を代表とし、BOI副長官、EEC特別顧問およびIEAT総裁補佐など、産業投資の中心となる政府機関の代表が登壇し、日本がタイにとって重要なパートナーであることをそろって主張した。

【BOI長官 ナリット・タードサティーラサック氏の講演】

2022年11月3日に承認されたばかりの、新しいBOI恩典について説明を行った。 製造業だけでなく、企業のR&Dや人材育成部門を移転することにより、既存の恩典に加えて新たな追加恩典が付与される対象となるので、包括的な企業活動をタイで行うことが推奨された。本日の講演では全ての投資制度を理解することは難しいかもしれないが、投資をする一つのアイディアとして参考になればと述べた。

ターゲット産業

1993年より奨励対象業種となっている7つの業種に加えて、新たに10の産業 ①農業・食品・バイオテクノロジー、②医療、③金属・素材、④化学・石油化学、⑤公共事業、⑥機械・車両、⑦電気・電子、⑧デジタル、⑨クリエイティブ産業、⑩高付加価値サービスが追加された。 主な例として、EV関連の製造、バッテリー交換ステーションサービス、グリーンアンモニア関連製品の生産、炭化水素また化石燃料からの水素生産、新規食品。有機食品、人工衛星用機械部品・電子部品の製造や関連設計などが挙げられる。これらのターゲット産業はA+という恩典グループに分類され、製造だけでなくR&Dなどの事業においても法人所得税の免除が最大13年間免除される。

競争力向上

技術やイノベーションの開発、製品・パッケージデザインまた科学技術機関に対する支援、職業訓練や学生インターンの受け入れを含む人材育成などに対する投資や支出を対象に既存の法人所得税免税期間に加えて追加恩典が加えられる

既存の企業に対する継続・拡大

既存の企業に対し、タイにおける製造拠点の維持継続や拡大を目的としたインセンティブを提供する。※過去の投資合計額や拡大プロジェクトの規模に条件あり。

移転

製造設備、地域統括本部、研究開発拠点を含む事業活動のタイへの包括的な移転を促すための恩典。製造設備プラス他事業も一緒に移転することにより、追加で法人所得税の免除が受けられる。

景気回復のための短期的支援

大型投資プロジェクトを対象に今後1-2年の投資開始を促す

高度化

自動化、デジタル化、またエネルギー関連の環境負担といったサステナブル化に関して、既存事業の所得にかかる法人税を3年間にわたり免除など。

SME

タイの部品製造業者に対し、グローバルサプライチェーンへの参入を目指し産業連携を支援。 高度人材育成プラットフォーム連携センター(STEM)ワンストップサービス(OSS)と連携した採用・育成の促進を行う。

地域別奨励措置

国内の産業開発区により特別奨励措置が設けられている。 新しく追加された「特別経済開発区4地域(NEC、NeEC、CWEC、SEC)」16県は下図の対象業種で恩典が受けられる
北部経済回廊 NEC 東北経済回廊 NeEC 中西部経済回廊 CWEC 南部経済回廊 SEC
チェンマイ チェンライ ランプーン ランパーン コンケーン ナコーンラチャ シーマ ウドンタニー ノンカーイ アユタヤ ナコンパトム スパンブリー カンチャナブリー チュンポーン ラノーン スラータニー ナコーンシータマラート
ターゲット産業
農業・食品
バイオ
電気・電子
クリエイティブ
デジタル
観光・ウェルネスツーリズム

社会・地方開発

地域の協同組合やコミュニティ企業、地方行政機関などと協力して、地域開発支援事業を行う企業に対し、支援額の200%を上限とし、法人所得税を3年間免除。 工場建設費や機械設備、研修費などの支出が対象となる。
2023年3月7日 メルマガ第24号 【APECの成果】
4年ぶりに対面で開催された第29回APEC首脳会議において、プラユット・チャンオチャ首相は、コロナウィルス感染拡大やウクライナ問題など様々な経済的困難な状況がある中で、各国の首脳陣とAPEC事務局長からの高い評価を受け、タイはAPEC開催国として最も成功した会議の一つとして、自国に良いイメージを与え、文明国として尊厳を生み出すという素晴らしい結果を残すことができました。 BCG経済モデルは、COVID-19の経済打撃から、持続可能でバランスのとれた包摂的な経済回復を達成し、将来のショックに対する強靭性を構築するのに役立つことで一致しました。首相は国際会議を推進するため、APEC開催を成功に導くために、協力してくれた官民のすべてのセクターに感謝しました。

【バンコクゴール】

APEC首脳陣は、2022年のAPEC首脳宣言及びBCG経済モデルに関するバンコクゴールという2つの重要な成果文書をコンセンサスにより採択した。APEC2022では、タイがホストエコノミーとして、様々な経済的困難な状況に満ちた1年間でAPECをナビゲートし、下記3つの主要な成果を達成した。
  1. COVID後の文脈でアジア太平洋地域の自由貿易地域(FTAAP)に関する新たな会話を前進させる。(次世代の貿易問題に備えるための経済能力構築支援に向けてFTAAPアジェンダ作業計画2023〜2026が含まれる。)
  2. 将来の混乱に対する地域の旅行インフラの強靭性を構築し続けるために、APEC圏内の安全航行作業をどのように進めるべきかについてのセーフ・パッセージ・タスクフォースを勧告
  3. 気候変動の緩和
そして、21の経済圏メンバーと力を合わせAPECの最初の包括的な目標として、BCG、持続可能な貿易と投資、環境保全、廃棄物管理という4つの分野に焦点を当て、長期的にバランスの取れた環境に優しい経済成長を生み出すと評価を得た。詳細についてはバンコクゴールのウェブサイトが立ち上げられ、www.bangkokgoals.apec.org でアクセスできるようになっている。

【エネルギー問題】

同時に、さまざまな経済圏の指導者が世界の経済状況について話し合い、ロシアとウクライナの問題がインフレや原材料不足などを含む経済状況に影響を与えていることに同意した。 COVID-19後の経済回復に重点を置き、今後ますます需要が増えるデジタル開発と環境に優しい産業という視点で、誰もが、特に零細・中小企業が回復していくためのプロセスが必要となる。 気候変動におけるエネルギーや農業について持続可能性を含めた問題解決、また、海洋廃棄物ソリューションをサポートし、グリーン経済への移行を促進するためにグリーン投資が経済を推進する役割を果たすことを奨励する。

【民間企業とAPEC】

民間セクターでは、並行してCEOサミット2022が開催され、600人の民間セクターのリーダーからの意見が結集された。ビジネス諮問委員会2022の議長は、コロナパンデミックへの対処の問題を提起した。また、戦争による食料安全保障の危機、エネルギー危機、インフレやその他の問題は、「急速かつ持続可能な回復の促進」と「持続可能で包摂的かつ強靭な成長への衝動を再活性化する」という2つの主要な目標の下で、69の勧告を含む形で11月19日にAPEC首脳にも引き渡された。

【民間企業とBCG】

  • チャルーンポーパカンフーズ(CPF)
    CPFの幹部は、政府の目標と世界的な目標に沿って、2050年までに生産チェーン全体の生産工程に革新的な技術を適用することによって、温室効果ガスゼロ排出量に向けたBCGの考え方に焦点を当てた方針を持っていると述べた。
    今年12月、CPFは国内の生産拠点で、すべての生産工程において100%石炭の使用を廃止するようにし、バイオガス、バイオマスエネルギー、太陽エネルギーからより多くの電力を生成することにより、再生可能エネルギーの使用を促進することを目指している。現在の総エネルギー消費量の27%をこれらのクリーンエネルギーで賄っており、今後拡大するための努力をしていく。 今年度、太陽光発電は65メガワット生産すると予測されており、2025年には100メガワットを目標としている。また、EVを生産工程に取り入れる研究も進められている。IoTの技術を使用して生産データを記録し、生産効率を向上させることができる。 肥料をガスに発酵させ、ガスを使用して発電する産卵鶏農場のバイオガスセグメントは、現在8つの養鶏場で試験運用されており、将来的には養豚場への拡大が検討されている。
    政府は様々な分野の民間企業がBCGモデルへの投資が行えるような支援策を明確に提示するべき。自動化や再生可能エネルギー発電などを導入し長期的な成果が挙げられるような投資支援が必要だ。
  • Bangchak Corporation PCL 再生可能エネルギーの先駆者ともいえるバンチャック社では、バイオエネルギーに関する取り組みを以前から行っていると強調。バイオディーゼル、エタノール、ガソールといった燃料を再生可能エネルギーで賄っている。政府が提示したBCGモデルへのアップグレードするための投資計画もあり、来年は家庭から廃棄された廃油をつかった再生可能な航空燃料(SAF)の生産ユニットの建設を計画している。
  • バンチャック社の子会社BBGI ASEAN地域で初の合成生物学による医療品の受託製造(CDMO)工場をEEC内に建設する計画を立てている。この計画は森林局のため、黒い育苗袋に代わるインタニン社製の育苗カップの水リサイクル精製工場内で行われる
  • 電動バイクレンタル グリーンエコノミーの分野では電動バイクレンタルのサービス拡大について2023年初めは1,000台からスタートし、年末までには5,500台提供できる環境を整える計画があがっている。またBCPG社(バーンチャック社の子会社のひとつ)の電力事業でも2030年のカーボンニュートラル目標と2050年のネットゼロの達成のためクリーンエネルギー発電や、バッテリー生産の拡大を計画している。

【各省の二国間協議】

首脳会議の前には閣僚会議が開催された。ジュリン・ラックサナウィシット副首相兼商務大臣、ドン・プラマットウィマイ副首相兼外務大臣が議長を務めた。 オープン・コネクト・バランスという概念の中で
  1. 貿易、投資、サプライチェーンの開放性
  2. 世界最大の経済協定アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について次世代の貿易問題に備え、経済の能力構築を支援するための今後4年間(2023年~2026年)の計画
  3. 世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的システムの貿易を支援し、WTOにおける諸懸案の早期妥結を早める
  4. APEC圏内のサービス分野における競争力の構築
  5. デジタル経済の利点を生かして女性の社会進出や零細・中小企業の発展を支援する
  6. 商品とサービスの平等性、持続可能な貿易
という6つのテーマに注視しました
  • 日本 5年間の日タイ経済戦略パートナーシップに関する共同行動計画に署名。 日本はアジアにおける電気自動車の生産拠点についてタイを中心に検討しており、またASEANとの友好50周年を祝う計画を準備している。
  • 経済協定 地域経済連携枠組み(RCEP)やインド太平洋経済協力枠組み(IPEF)の支援に加え、日本はJTEPAの枠組みの下でのタイ産バナナの輸出枠を年間5,000トン増の8,000トンに拡大する。 またチュリン副首相がキャサリン・米国通商代表とタイ-米国の二国間協定も拡大したいと協議した。
  • オーストラリア 豪州との経済協力戦略に関する覚書(MOU)を締結し、相互の経済関係を強化していく。
  • ニュージーランド ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、タイとの友好関係に感謝し、気候変動やニュージーランドにとって主要な産業の一つである観光業について、今後ますますの協力関係構築ができると期待していると、プラユット首相との二国間会談で語った。 プラユット首相は、両国を結ぶ直行便の開設することにより、両国の交流が増えるのではないかという提案に対し、ニュージーランド国民はタイが魅力的な旅行先の一つとして関心をもっており、直行便の開設は双方の観光産業発展にとって大変役立つと双方前向きな姿勢を見せた。 また、エーヤワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)といったタイ周辺のメコン地域の発展についても、ニュージーランドは、災害対策や治水管理、農業の自動化など喜んで支援したいと述べた。
2023年3月7日 メルマガ第23号 【APEC期間中のインフラ 未来の航空燃料】
2022年11月に入り、タイは、APEC首脳会議の準備、各業種の産業展示会の開催など、産業界が活発になってきています。ウィズコロナの環境も浸透し、ワクチン接種の進捗や感染状況も落ち着いているようです。 両国の水際対策緩和の影響もあり、旅行やビジネスによるタイへの渡航者も増え、一時的に空港での人員不足による混乱なども見られますが、少しずつ以前のような活力が戻ってきているのを感じています。

【APEC開催に伴う特別休日】

第29回APEC首脳会議の開催国となっているタイでは、開催期間中の交通の混乱を避け、21か国から参加する関係者の安全確保や警備体制などを考慮し、バンコク都、ノンタブリー県、およびサムットプラカーン県で、2022年11月16日~18日の3日間、政府機関は特別休日となっている。ただし、対象エリアの銀行などは通常通りの営業を行う予定。 一般企業に対しては、窓口業務や顧客サービスに関係しない職員はできるだけ在宅勤務を行うよう呼びかけ、経済活動への影響がないように労働省も気にかけている。

【未来の航空燃料】

PTTグループが協力し、環境対応ジェット燃料事業を推進

低炭素経済を創造してネットゼロ目標を推進し、タイを東南アジアの製造ハブとして推進すると発表した。 2022年11月9日、PTTダウンストリーム石油事業グループの最高執行責任者、ノパドン・ピンスパー氏は、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel : SAF)のコラボレーション開発プロジェクトに関する協力覚書を締結した。 署名者は以下の通り
  1. PTT Public Company Limited (PTT)
  2. Thai Oil Public Company Limited (TOP)
  3. PTT Global Chemical Public Company Limited (GC)
  4. IRPC Public Company Limited (IRPC)
  5. PTT Oil and Retail Business Public Company Limited (OR)
本署名により、この持続可能な航空燃料コラボレーションプロジェクトは、製油所の知識、専門知識、経験、最先端の技術、およびPTTグループの製油所製品(すなわちTOR、GC、およびIRPC)の高性能石油精製プロセスの開発を統合する。 国内外の航空燃料市場におけるORのノウハウにより、本SAFコラボレーションプロジェクトは、世界的な需要の高まりに対応して加速し、さらに効率的で世界標準の生産技術である水素化処理エステル、脂肪酸(HEFA)、アルコールからジェット(ATJ)を採用し、航空業界におけるグリーンガス排出量の削減を目指す。

ノッパドン氏の発言:

PTTグループは、タイの低炭素社会の実現に取り組み、ネットゼロ目標を推進し、温室効果ガス排出量を削減するとともに、既存の資源を活用して国内のバイオベースの化学製品に付加価値を高めることを目指している。 またPTTは、国の経済発展を支援しながら、持続可能なエネルギーイノベーションの開発を促進し、社会、国民の生活の質を向上させ、未来のエネルギーとその先で生命に電力を供給するというビジョンを持っている。

【ビザ延長申請のオンライン化】

入国管理局は、外国人がわずか3分以内にビザの延長申請ができる「e-Extension」サービスを導入した。
2022年11月8日、国家警察長官のダムロンサック・キッティプラパン氏と移民警察長官のパクプーンティパット・サッチャパン氏は、タイでの一時滞在の延長申請における新しいシステム「e-Extension」サービスを開始したと発表した。 入国管理局は、官民の様々な手続きでも導入の進んでいるオンラインシステムを適用させ、駐在員がビザの延長をより申請しやすくするためにサービスを強化すると述べた。 書類の確認から延長費用の支払いまですべて行えるようなサービスとなっている。 本サービスは、まずバンコクでパイロットプランとして開始される。住居や職場がバンコクにある外国人で、下記12種の滞在理由の場合に適用される。 1.旅行 2.公立学校の教師 3.公立学校での就学 4.政府機関に勤務している5.以前にタイ国籍を有していた 6.家族がタイに居住している 7.報道関係者 8.政府機関で研修・研究を行っている 9.機械エンジニア 10.医療従事者 11.輸送機の管理者 12.自国の大使館からの保証・召喚がある人

国家警察長官の発言

毎年ビザの延長申請をする外国人が増加し、特に上記に挙げられた理由での申請は年間20万人を超えている。バンコクでは大変需要が多く、申請者はそのサービスを受けるのに1-2時間を要していた。 この新しいサービスでは専用のウェブサイトを介して料金の支払いを含むすべてのプロセスをカバーしているため、申請にかかる処理時間が1時間から3分に短縮され、申請者の利便性も高くなると期待している。 ただし、パイロットプランではChaeng Watthana Roadにある入国管理事務所に行き、IDの確認と延長申請が許可された証拠となるスティッカーを貼る工程が必要となる。 今後このシステムを国内の全ての事務所で行えるように発展させていく。

【外国人の土地所有 法案取り下げ】

政府は、景気刺激策の一案として挙げられていた、外国人の住居用土地所有に関する法案を閣議で取り下げたと発表。 完全な撤回ではなく、国民や様々な機関からの批判を受け、今一度検討し、有識者の聴講会を重ねて理解してもらうための一時見送りと説明した。
2023年3月7日 メルマガ第22号 【2022年洪水被害 METALEX】
2011年以来の大洪水でタイは各地で被害が広がっており、一般市民はもちろん、農作物への被害や工業地域への被害が連日報告されています。 浸水した状態のままレストランを営業したり、困ったときは助け合うといった、タイ人らしい心温まるエピソードも目にしますが、政府は被災地を訪問し、早急な復興を目指しています。

【洪水被害の農家や工場などへの被災者支援】

タイでは、2つの巨大台風「NORU(日本での台風16号)」と「SONCA(同19号)」が引き起こした大雨により、甚大な被害を受けました。 タイ政府は被災した地域への訪問を行い、被害状況の確認や復興支援を行っています。
  • 工業省 工業省では、被災者支援キャンペーン“工業で心を一つに、タイの兄弟たちを救う”(当社訳)を行っています。工業省幹部は、チャオプラヤー川の氾濫により甚大な被害を受けたチャイナート県の避難所に慰問を行いました。 工業省は今回の被害に対して1)安全確保 2)手当 3)復興 という3つの時期に分けて支援を行っていく予定としています。 工場局の地方事務所、各分野の工業連盟、工業団地、SME銀行といった機関と協力して復興キャンペーンを立ち上げ、被災地域に支援物資を届けています。チャイナート県内の避難所へ合計2000セットのバッグが届けられました。バッグの中には、飲料水、米、乾物、インスタントラーメンといった食料品の他、砂糖やナンプラーなどの調味料、虫よけスプレー、ティッシュなどの日用品が詰められています。 今後も被害が大きかったラーチャブリ―県などに支援物資を届ける準備を進めています。
  • 農業省 農業省では、洪水被害を受けたシンブリー県とアユタヤー県を慰問し、支援活動を行いました。農業省幹部は被害状況を視察し、今後どのような支援が必要なのか早急に精査する必要があると考えています。 シンブリー県とアユタヤー県の農業地域を視察した一行は、それぞれの農地の生産量などを計測し、洪水被害が落ち着いた後の農業再開時のために、それぞれの生産量と同等の苗や種子の提供を行うこととしています。支援の皮切りとして、オクラや豆類の種子1000セット、野菜やバナナの苗木50セット、パパイヤの苗木150セット、そして肥料など32キロなどが届けられる予定となっています。

    シンブリー県の被害状況

    特に県内の6地域で被害が大きく、全体で約5,343ヘクタールに及んでいます。なお、農産物の内訳は米90%、野菜3%、果物5%、サトウキビ2%となっておりm、被災農家数は4, 461軒に及びます。

    アユタヤー県の被害状況

    県内15の地域で被害を受け、全体で1,803ヘクタールが被災しました。なお、農産物の内訳は米86%、野菜3%、果物他11%となっており、被災農家数は1,892軒に及びます。

    シンブリー県の被害状況

    国全体の農業被害は52県、合わせて約558,266ヘクタールと考えられています。なお、農産物の内訳は米60%、野菜39%、果物他1%となっており、被災農家の合計は438,011軒にのぼります。
    • 農業振興局長のコメント: 洪水による被害はまだ続いており、被害状況が連日明らかになってきている。 ただ早急に被災した農家への視察を行い、被害状況を直接目で確認したことにより、農地が回復した後、どのような支援が必要なのかを精査することができた。 被災した農家には財務省からの支援金制度などもあるので、その制度を利用するために被災前の生産量や被害状況を報告してほしい。

【外国人の土地所有】

2022年10月27日、タイ外務省は、外国人がタイに長期滞在することができるLTR Visa(Long-term Resident Visa)取得のための新しい条件として4000万バーツ以上の投資という名目で土地を所有できるという内容を発表しました。 外国人居住者の土地取得に関する省令は、ポテンシャルの高い外国人をタイに誘致することにより、経済と投資を刺激する措置になると考えられています。 土地所有の目的は住宅用地となっており、高所得者、富裕退職者、タイ居住リモートワーカーの専門家、高度専門家といった4つのターゲットに焦点を当てています。 長期滞在ビザの権利は、国債の購入や不動産ファンドへの投資、インフラファンドへの投資など、あらゆる種類のビジネスへの投資4,000万バーツ以上で少なくとも3年間は投資を維持する必要があります。 条件をクリアすることにより、バンコク市内やパタヤなど指定された区域で最大400平米の土地を所有する権利を得ることができます。 タイ政府は、今後5年間で100万人の外国人富裕層や高度専門家がタイ国内に居を構え、タイの経済成長や投資に貢献するだけでなく、産業技術の向上など様々な効果を生み出すことを期待しています。

【METALEX】

2022年11月16-19日BITECにて開催。 METALEXは、言わずと知れたASEAN最大級の工作機械展で、毎年85,000人を超える来場者が全世界から参加している大変人気のある産業展示会となっています。 今回は「ASEAN コミュニティ コネクター」というテーマのもと、50か国から2,500を超えるブランドの工作機械と金属加工技術が集結します。主要なテクノロジ・プロバイダーが一堂に会し、金属加工産業に最高の機械とソリューションを提供します。 日本を含めた9か国のパビリオンや現地でのイベントはもちろん、オンラインでも参加できるセミナーなども予定されており、ASEANで強力なネットワークを築く機会となっています。ウェブサイトでは事前来場登録などもできるようになっています。
2022年11月22日 メルマガ第21号【APEC2022 キックオフイベント】
タイは、2022年APECの主催国として11月14日~19日の期間で開催される経済首脳会議への準備を進めてきました。今、全世界が新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受け大変厳しい経済状況の中にあり、APEC2022はそのような状況に対する適応と復活に焦点を当てています。「オープン、コネクト、バランス」というテーマを掲げ、同地域に開かれた貿易・投資の促進、ビジネス環境の改善、デジタル化とイノベーションの活用(OPEN)、パンデミックで断絶された社会をまたシームレスで安全な国境を越えたつながりを再開させる(CONNECT) 、悪化した地域の不均衡、不平等といった浮き彫りになった環境課題を経済目標と並行して統合させる(BALANCE)、といったことを支援すると示しています。

【APEC2022のキックオフイベント】

2022年11月14日から19日まで開催されるAPEC経済首脳会議週間へのキックオフイベントとしてNational Science and Technology Development Association(NSTDA)がAPEC BCGエコノミー・タイランド2022を始動しました。 NSTDAは高等教育・科学・研究イノベーション省、および40の国内外の機関と協力して2022年10月10日に“APEC BCG エコノミー・タイランド2022:Tech to Biz”のイベントを開催しました。このイベントは「タイ・テック・ショー」と連動して開催され、APECメンバーやパートナーからの政策やテクノロジーに関するセミナー、ビジネス・ピッチングとマッチング、BCGテクノロジー・エキシビション、BCG関連プロジェクトへの現地視察などが盛り込まれています。
  • 代表2者の挨拶
  • シリルット・サンシウィライ事務次官(高等教育・科学・研究イノベーション省)

    “同フォーラムは、タイの国家アジェンダであるバイオ・サーキュラー・グリーン(BCG)経済モデルを導入し、APEC加盟国間の政策、技術、イノベーション、投資、貿易を結びつけ、世界が注目している持続的な開発目標(SDGs)を実現するための重要なメカニズムを見ることができる”

    チューキット・リンピチャムノン会長(NSTDA)

    “このイベントは、ビジネスや産業から研究機関や政策立案者に至るまで、あらゆるセクターを結集し、作業計画を具体的な成果に導き、タイのBCGの国家アジェンダに奉仕するための貿易、投資、学術協力を促進し、支援するためのプラットフォームである” “BCGのアプローチに基づく持続可能な開発に特に重点を置いた学術的成果を披露し、学術的・ビジネス的なコラボレーションの機会を創出する”

【イベントのハイライト】

基調講演、特別講演、セミナーがあり、APEC経済地域のスピーカーがエネルギー、環境、食料、農業、観光、創造経済、コミュニティ開発の分野における各国の視点と実践が共有されました。 「注目すべき10のテクノロジー」と題されたプレゼンテーションと投資ピッチングでは、投資家や産業協力者を探しているタイとベトナムの9つの優れたイノベーションが紹介されました。投資のための最も興味深い技術と最高のプレゼンテーションとして、美容マイクロニードルパッチ“Prolifera”が来場者により選ばれました。(クリニックで行われるレーザーやマイクロニーディングよりも痛みや刺激が少なく、安価に皮膚の下のコラーゲンを刺激する効果が得られるというもの)。これは、試案者のカッチャコーン氏がNSTDA研究員と共同で研究開発を進めてきたものでした。 また展示会では、APECメンバーエコノミーのハイライトを紹介するAPECエコノミーパビリオンの他、ラチャブリモデル・EECi・ソーラーサーキュレーターモジュールを展示するBCGモデルショーケースなど、市場投入準備が整っている35組織から200のイノベーションについて投資家や起業家が詳しく見ることができるIPマーケットプレイスが設けられました。

【現地視察】

2022年10月12日の現地視察では、農業、食料、観光が地域経済を支えるために統合されたラチャブリモデル、BCG政策のアジェンダを推進するタイの新しいイノベーションハブとしての東部経済回廊(EECi)、太陽光発電所から廃棄されたソーラーモジュールがソーラーポンプとして再利用される実証施設、水循環、および充電ステーションなど、タイのBCGイニシアチブを体験できるものが用意されていました。
2022年11月22日 メルマガミニ【タイの洪水2022】
2022年10月タイでは記録的な大雨による洪水被害が全土で広がっています。
タイは2011年にも同時期に洪水によりアユタヤをはじめとする様々な地域で甚大な被害を受けており、特に日本の企業が多く進出している工業団地などでも被害があり、操業を停止せざるを得ない企業もありました。その際は、日本政府から物資の支援や民間企業による排水作業の技術支援などが多くみられました。
その教訓が生かされ、工業団地では適切な洪水対策が施され、排水処理などが問題なく行われるようになっている地域もあるようです。苦しい時こそ助け合える真のパートナーとして今後の動向にも注視していきたいと考えています。

洪水の状況

【地方】 鉄道への被害
2022年10月3日タイ国鉄は、洪水の被害状況について、被害は各地に広がっており、深刻な状態が続いていると述べました。 チャイヤプーム県にあるバムネットロン駅からチャトゥラット駅の間では線路への浸水被害が報告されており、路線を走る列車は迂回を余儀なくされています。 被害を受けている対象の路線ではバンコクとノンカーイを行き来する高速バスやローカルバスへの振替輸送が案内されています。 鉄道会社の職員によれば、バムネットナロン駅とチャトゥラット駅間では数キロに渡り枕木部分まで浸水し、水流による破損が見られているとのことです。一部の主要な30メートルほどの部分については、専門家によって修復が行われましたが、天気予報によれば雨は今後も続く見込みで、被害の拡大が懸念されています。
【バンコク】
22022年10月4日、バンコク都副知事は、各地域で発生している洪水被害の中でも、ラックシ―区、ドンムアン区、バーンケーン区での排水処理が遅れていると述べました。該当地域に住む住民の救助作業を急ぐとともに、大雨が続くと懸念される2022年10月5日から7日までの間、バンコク市民には外出を控え、在宅勤務を行うよう呼び掛けました。 土嚢などによる浸水被害を抑える作業も行われていますが、連日の降水量の多さにより、排水処理が進まない状況となっており、一部地域では現時点でも道路が冠水した状況が続いています。 チャオプラヤー川も北部で降った雨により増水しており、その水量の調整と、今後バンコクでの降水量とを入念に精査し、住民への被害を最小限に抑えるために水処理をどう行っていくべきかについて、バンコク都の専門家会議でも話し合われています。
2022年11月22日 メルマガ第20号【大麻合法化の業界の動き】
タイでの大麻合法化に伴い、政府主体のプロジェクト発足や民間企業による新規事業参入が始まっています。一方で、法整備がまだ不十分な面もあり、その取り扱いについて懸念される点も出てきました。今後発展していく一つの産業と期待されているだけに、安全で豊かな効果を生むための法整備が必須です。 今回は政府・医学会・民間という三者がどのような立場で大麻の合法化をとらえているのかという記事に注目しました。

【政府の動き】

2022年9月16日、工業大臣顧問のスチャート・トライセーンルジラ氏が、国立食品研究所の産業開発財団とラーチャモンコン工科大学との協力覚書調印式(MOU)に立ち会った。 署名された覚書では、双方が持つ専門知識を活用して、新たなイノベーションの創出を行い最適な活用方法を見出すことを目的として示している。 協力から得た知見を政策に基づいて食品産業での発展に活かしていく。そして、抽出技術と麻ベースの食品を品質、基準、生産の面で共同開発していく。 また、スチャート・トライセーンルジラ氏はラーチャモンコン工科大学プラナコーン校の屋上にある大麻栽培温室を訪問し、科学技術学部のテスト分析研究所を視察した。

【医学会の動き】

2022年9月19日、国内の医師1,363名は国内の大麻の取り扱い解禁について即時中止を求める署名を行った 2022年6月9日から施行された「2022年 薬物カテゴリー5」と題された保健省の発表により、以前は大麻植物を非麻薬として指定していたが、現時点では、包括的な安全管理のための法執行機関のガイドラインを含む大麻の使用を規制する方針はまだなく、タイは3ヶ月以上にわたり、世界で最もリベラルな大麻地域となっている。 その結果、娯楽用大麻は地域社会で広がりはじめており、子供や脅威のあるグループによる大麻へのアクセスにつながる危険性が懸念されている。 これは、政府とその利害関係者が人々に医療用大麻へより多くの利用機会を与えたいと主張したリベラルな大麻政策の理由とは異なっている。 さらに、医学的適応症のない大麻の使用は、小児や青年の身体および脳の成長に大きく影響するという多くの明確な科学的証拠も挙げられている。現在の状況は、短期的にも長期的にも公衆衛生システムに脅威を与えている。 1,363名のタイの医療従事者による署名から、タイ全土の医師は問題の重大さと緊急性を認識しており、医療評議会によるタイの大麻政策に関する提案を行った。 その内容は2022年9月5日に通知を発行し、政府と利害関係者に大麻および麻管理法の公布が将来制定されるのを待つのではなく、直ちに自由に大麻を使用することができる状況を中止するよう促した。

【医学会の動き】

2022年11月30日~12月3日にはAsia International Hemp and Cannabis Expoが開催される。 タイ麻産業貿易協会(Thai Industrial Hemp Trade Association)は国内の12の業界団体と大麻の商業利用およびアジア国際ヘンプエキスポ2022の開催において協力覚書を締結した。
協会代表のポンチャイ・パッタミン氏の発言
政府が大麻の栽培、製造、輸入、抽出を合法的に認めてから、麻植物の商業利用は様々な業界から関心が集まってきている。同時に正しい使い方を導いていくという責任がある。 大麻産業はサステナブルでクリエイティブな産業。したがって業界全体で、その可能性や取り扱いについて学び、効果的な活用方法と加工製造技術を発展させていく必要がある。 タイ麻産業貿易協会は、12の製造業協会のネットワークを構築し、標準化された原材料の流通、製品の研究開発・意見交換、生産に関する標準化や生産量、価格などについて業界全体で共有したいと考えている。 これによって、各業界に沿った麻植物の利点を正確に伝え、メンバーとネットワーク間のビジネスチャンスをつなぎ、あらゆる可能性を橋渡しすることができるようになる。また今後毎年開催予定の「アジア国際ヘンプエキスポ」を通じて、タイをアジアの麻産業のハブにすることが期待されている。
高等教育・研究・科学・イノベーション省
Dr. パトム・サワンパンヤーレート科学サービス局長の発言
学術協力によって高品質で商業的に競争力のある革新的な麻製品の加工産業を促進するために、タイ麻産業貿易協会との協力を発表した。 麻植物のさまざまな部分(花序を除く)を材料とした製品開発は、工業製品規格の起草を含み、お互いの人材育成を強化するために企業の加工食品の技術移転、イノベーションの研究開発も支援する。 SDO(規格開発機関)メカニズムを使用して、タイのイノベーションアカウントを登録し、工業規模での販売を目的に生産できるようにするために、科学技術開発研究の延長線上にある製品、特に革新的な製品の品質を確保する。新しい、持続可能な経済に向かって麻産業を盛り立てていく。
NCCマネジメント&ディベロップメント株式会社(展示会主催者)
役員 サッチャイ・パトラプリーチャークン氏の発言
今回の展示会の目的は、麻産業に対する正しい理解を広めるとともに、タイをアジアの麻産業の中心に導くチャンネルの一つになればと期待している。 栽培・研究開発・製品加工などの技術において、上流から下流までをカバーするアジア初のB2B産業展示会で、5,000平方メートル以上の展示エリアに麻を利用した自動車部品や航空宇宙部品を始め、食品および飲料サプリメントメディカルスパ&ハーブコスメファッション、衣料品、テキスタイル、ヘルスツーリズム、家具、動物飼料など12の関連産業が出展する。 300以上の国内外からの出展者が期待され、5大陸すべてからスピーカーを招いた国際会議、ビジネスマッチングサービス、その他の興味深いイベントが開催される予定。 今後発展が期待される麻の商業利用において今回の展示会はすべて業界にとっても始まりの第一歩として非常に重要である。
2022年11月22日 メルマガ第19号【大麻の商業利用 バンコクのごみ問題】
2022年夏、日本でもお盆休みの時期に入り、夏季休暇で国内外に旅行する人が増えてきました。新幹線は乗車率が100%以上となる日もあり、飛行機も満席で予約の取れない便もあるようです。 海外からの旅行者も徐々に増え始め、今後の景気回復へとつなげていきたい社会の流れがある一方で、いまだ感染拡大に歯止めがかけられない不安が続いています。 これらの感染症とどのように向き合い共存していくことができるのか各国の動向が注目されています。

【非常事態宣言の延長】

2022年7月5日、プラユット首相は新型コロナ感染症対策センターとの会議で国内の新型コロナ変異株の流行を考慮して、非常事態宣言を9月末まで延期することを決定しました。 WHOの発表でも3月に監視対象に追加された派生型と言われるBA4株やBA5株、すでにヨーロッパやアメリカでは主要株として対応するよう置き換えていることを踏まえ、タイでは、最近の緩和策の強化に対して、感染拡大の影響がどのように現れるかを監視していく必要があると考えています。現在タイでは、軽度の症状や在宅治療の症例が増えていますが、入院する患者も微増しています。2022年8月12日時点で新規感染者は2,455名、死者33名と発表されています。 政府は、今後、新型コロナと共存して通常どおりの社会活動を取り戻すために、検査キットや治療薬の開発やワクチン接種の促進、そして今まで同様に室内の換気や消毒、人込みでのマスクの着用などを呼び掛けています。 特にワクチンは変異株に対しても重症化を避ける効果があり、現時点で感染拡大を抑止する最善の方法になっているため、ワクチン接種を推奨回数接種することの重要性を訴えています。
同時に、タイの主要な産業である観光を促進し、経済を前進させるために、旅行客の受け入れの必要性を繰り返し述べました。国の衛生管理指針に従いながら事業者が通常のキャリアに戻れることを望んでいます。

【大麻の商業利用】

すでにニュースでも取り上げられているとおり、タイではASEANで初めて大麻の栽培や商業利用が法律で認められました。 それを受けて、工業省では、大麻の商業利用がどれくらいの経済的効果をもたらすのかといった側面から、事業に参入する企業のための支援策を打ち出しています。 タイで大麻製品の商業的取り扱いに関する法律が整備されたことを背景に、米国、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、そして中国、日本、韓国といった国際的な大麻産業市場は今後成長と飛躍が期待されています。 2020年の市場価値は14億2000万バーツでしたが、2027年までにその価値は約55億8000バーツ(CAGR 22.4%)まで成長すると予測されています。 工業省は、大麻植物産業の発展がタイ経済に付加価値を創出し、関連企業の収入、雇用の創出など持続可能な成長を遂げるタイの新しい経済プラントになると考え、行動計画を策定しました。これらは環境への配慮に焦点を当てた国家政策BCGにも対応しています。 また、農業の面でもタイをASEANの「工業用大麻作物」生産の中心になることも目指しており、5年以内に起業家が少なくとも250億バーツの収益を生み出すことと、農家の収入1ライ(約1,600坪)あたり20,000バーツを生み出すことが期待されています。

工業省産業経済局トンチャイ局長の発言:

大麻を商業的植物産業へと発展させていき、タイ経済発展の原動力とするために、まず、大麻加工産業の発展に焦点を当てていきます。そのための4つの対策として、工業省は下記のように計画しています。
  1. 研究開発および大麻産業チェーン全体の製品イノベーションの発展を支援
    • 製品のプロトタイプ開発を行い、工業規格で承認できるレベルの技術に発展させる
    • 研究と業界をつなぐネットワークの構築および知的財産の保護
  2. 中小企業に焦点を当てた商業的価値のある製品加工を促進させる
    • 大麻産業チェーン全体の人材育成および製品の国際規格へのアップグレードを目指す
  3. 市場開発
    • 「大麻フォーラム」の開催や世界的な市場進出を目的としたデジタルマーケットの促進
    • これらを通して事業機会を創出し、チェーン全体の製造物流とのつながりを発展させる
    • また、ヘンプ繊維から作られたテキスタイルの使用など、政府機関の需要なども含む
  4. 法律や規制の制定や改善、規格認証の利便性向上、国際基準への適合、農業の安定性などを確保するために Center of hemp Excellence (CoHE)を設立し、サプライチェーン全体を管理するためのプラットフォームを開発し、財政や民間投資をサポートする
大麻の植物は根、茎、樹皮、芯、葉、花序、種子など、あらゆる部分を製品化できるという価値から多くの国にとって重要な植物になる可能性を秘めています。 医学的なものから繊維製品、食品、飼料、化粧品、また次世代自動車や航空宇宙産業などタイ国家政策の中でも注目されているSカーブ産業も関連しています。 大麻産業は今後成長し多くの収益を生むと期待されています。

【バンコクごみの分別実証実験】

バンコク都内で地域を指定して、ごみの分別に関する実証実験を行うことを検討しています。 チャッチャート知事は以前より問題視されているバンコクのごみ処理に関して、住民の協力を仰ぎ、衛生的で環境にも優しいまちづくりを目指しています。
バンコクにおけるごみ処理にかかる費用は年間100億バーツかかっており、これらの費用削減のためにも、より効率的な方法で処理を行いたいと考えています。 現在、バンコクのごみ処理の流れは、第1プロセス(市民によるごみの廃棄)、第2プロセス(廃棄されたごみを種類ごとに処理場へ運搬する)、第3プロセス(それぞれの廃棄物に適した処理を行う)とわかれており、政府は第2、第3プロセスの管理を行っています。ごみ処理改善に最も重要なのは第1プロセスとなっており、民間の協力が不可欠となっています。 ※第1プロセスにおいて住民は廃棄物を1)リサイクル可能なごみ、2)枝や葉っぱ、3)生ごみの3つに分けて廃棄することになっています。しかし、現状市民に分別の重要性が浸透しておらず、第2、第3処理への影響や環境汚染の問題が深刻化しています。
2022年現在、1日に廃棄されるバンコクのごみの量は10,706トン。その内、紙類やペットボトル、また肥料といったリサイクル可能なごみの量はわずか3,672トン。それ以外は焼却されるか、埋め立て処分になります。 埋め立て処分を2023年までに全体の30%にするという目標があり、それを実現させるためには焼却処分場の増設も必要不可欠となっています。 現在バンコクの焼却炉は1か所で処理能力は1日500トン。その他に事業許可が下りたばかりの2か所と今後建設が予定されている計4か所で処理を行えることになります。
バンコク県知事は環境部門の会議の中で、今後、市民にごみの分別について広く知ってもらい、ルール作りをしていくために、まず教育関連施設でのごみ処理、住居エリアごとのごみの特徴とその処理方法、施設ごとのごみの種類とその管理方法、また年間を通して行われる行事などで廃棄されるごみの種類の傾向などを調べてガイドラインを制定することについて話し合いました。 今後、ごみ処理のパイロットゾーンを設け、それぞれの地区で達成目標を設け計画に従って進められる予定となっています。
2022年8月16日 メルマガ第18号【プラユット首相来日】
2022年5月26-27日の日程でタイのプラユット首相が来日し、セミナーへの登壇を始め、岸田総理との二国間会談や、主要経済団体との会談、日本の最先端技術の視察など、日タイ関係を益々強化していきたいというタイ側の思いが現れていました。 今回のメルマガでは、今回の来日の成果概要をまとめました。 先日岸田総理もタイを訪問したばかりだったこともあり、前向きで建設的な会談が行われました。両者の良好な関係が長く続き、ともに成長していけることを期待しています。

来日日程:2022年5月26日~27日

主な同行者:副首相、エネルギー大臣、財務大臣、国家経済社会開発委員会(NESDC)事務総長、外務省と首相府の幹部
  1. 第27回国際交流会議「アジアの未来」 (2022年5月26日)

    プラユット首相は第27回国際交流会議「アジアの未来」に出席し、分断された世界でアジアの役割について振り返るというメインテーマのもと、地域的及び世界的な諸課題が発生し、行き詰まりが見える状況下で本会議が開催されたことを改めて評価した。
    【首相スピーチより一部抜粋】
    アジアは、変わりゆく社会に柔軟に対応していかなければならず、持続可能性を支援し、より包摂的な社会を構築するために強靭なものとしていかなければならない。 直面している課題をアジア諸国が連携することによって克服するポイントとして、
    • (1)経済成長の刺激、
    • (2)単独では対処できない課題を扱う多国間システムを支える
    • (3)経済回復と持続可能性の両立
    などが挙げられ、タイが国家戦略として掲げているBCGモデル経済がそれらを後押しするだろう。
  2. 岸田文雄内閣総理大臣との二国間会談 (2022年5月26日)

    【総理官邸での二国間会談】
    近年の緊密でバランスのとれた日タイ関係の発展と、今後も引き続き協力していく課題を取り扱うための「包括的戦略的パートナーシップ」について改めて表明。 双方の首脳は、将来の経済協力の実施を導くため、タイと日本のパートナーシップを5年間にわたって発展させる共同経済戦略を策定することに合意。
    • 投資促進
      多くの日本の民間企業がタイへの投資に関心を抱いていること、またウタパオ空港や3つの空港を結ぶ高速鉄道等、EECにおけるインフラ整備プロジェクトをはじめ、電気自動車(EV)や化学、BCG関連産業、医療、デジタル、インテリジェント農業等のタイの将来的ターゲット産業への参入が出てきていることを歓迎。 また、日本の首相が提唱しているアジア・ゼロ・エミッション共同体の下で、脱炭素社会を構築するために日本と協力する用意があることを表明。
    • 人材育成
      タイの高専の施設数を拡大するためのタイの人材育成プログラムに関して、メコン及びASEAN地域における人材育成の場として機能するタイ高専教育センター(KOSEN Education Center)の設立に関する提案を、日本側が検討する準備ができていることを歓迎。
    • 水際対策・観光促進
      日本に入国するタイのビジネスマンや留学生、労働者など、少人数の観光客の受け入れを実証する対象国としてタイを4カ国の1つとして選択した日本政府に感謝。同時にタイに入国する日本観光客の拡大を歓迎。
    • 感染症対策
      プラユット首相はタイをASEAN Center for Public Health Emergencies and Emerging Diseases (ACPHEED)※の事務局とするというASEANの決議を通知。日本側はセンターの設立を支援するとともに、タイによる本年のAPEC会議開催を支持する用意があることを表明。
    • 貿易・その他
      両首脳はインド太平洋経済枠組み(IPEF)※の下での協力やミャンマー情勢、ウクライナ情勢についても意見交換を行った。両者は前述の人々への人道支援を行うことの重要性を改めて表明。
    ACPHEED
    2022年5月に開かれた第15回東南アジア諸国連合保健相会議にて設立に関する合意が行われた。将来的に発生するパンデミックに迅速に対応し、ASEAN地域において「予防」「発見」「対応」を強固なものにするために、当該センターは、ASEAN加盟国の拠出金のほか、他の支援国から見込まれる支援でまかなわれる。このセンターが正式に設立されることにより、様々な能力を持つ医療資源をASEAN加盟国はより容易に活用できるようになる。これらの機能はインドネシア、ベトナム、タイに設置される3つの施設で開発される。
    IPEF
    2021年10月バイデン大統領が提唱したアメリカ主導の新たな経済連携。TPPやRCEPのような明確な自由貿易協定とは異なり、アメリカ国内の労働者の保護を優先しつつ、参加国は4つの柱(デジタル経済を含む貿易・半導体などのサプライチェーンの強化・質の高いインフラや脱炭素、クリーンエネルギー・校正な経済を促進するための税、汚職対策)から協力したい分野だけを選択することができる柔軟な枠組みとなっている。今年7月に本格的な交渉を始め、具体的な内容を検討したうえで18か月以内の発足を目指す考え。
  3. 民間・主要金融機関との意見交換(平成24年5月27日)

    • 経団連
      経団連会長の戸倉雅和氏及び日タイ貿易経済委員長の鈴木善久氏と会談が行われた。
      付加価値や将来性がある新産業への日本の投資を達成するために、技術、産業、人材育成の協力を通じて経済関係を強化することに合意。 首相は、日本側がタイの近隣諸国とのサプライチェーンリンクを拡大するために投資を増やすことを提案した。 経団連会長は、ASEANにおける日本の主要な製造拠点の一つとしてのタイの重要性が改めて表明。また、日タイ貿易経済委員会に所属する70社以上の会員を連れて今年後半または来年初めにタイを訪問し、タイの民間セクターとの交流の機会を設ける予定。
    • 株式会社国際協力銀行(JBIC)
      JBIC総裁の前田匡史氏と会談し、タイ、中国、日本三者が協力し、日本のASEAN投資拠点としてのタイを強化する一つとして、3つの空港を結ぶ高速鉄道プロジェクトをはじめとするEECの持続可能な開発プロジェクトについてJBICからの支援を求めた。JBIC総裁としても、これを支援していく方針。
  4. 羽田イノベーションシティでの調査(2022年5月27日)

    日本の国家戦略特区政策に基づくスマートシティプロジェクトの1つである大田区・羽田イノベーションシティ(HI City)を視察。 羽田イノベーションシティは旅行・物流・スマートロボティクス・先進医療・水素ステーションなど最先端技術の研究開発や実証実験の施設に加え、ショッピングやホテル、オフィス、そして近代的な会議場などが集積された大規模複合施設である。 日本の国策に沿ったスマートシティにおける運営状況と有効な規制などについて意見交換が行われた。 プラユット首相は、今回得られた知見を活かして、EEC開発プロジェクトの一環である「アマタスマートシティ開発プロジェクト」の更なる発展につなげていくとした。また、潜在的な可能性を持つ新産業の分野でタイと日本の協力を促進する機会にもなると伝えた。
データソース:タイ外務省
2022年6月27日 メルマガ第17号 【22年5月タイ入国制限緩和】
タイ政府は2022年5月1日よりTest&GoおよびSandbox制度を撤廃し、ワクチンの接種状況に応じて入国措置が2つのカテゴリーに分類されることになりました。 制限の大幅な緩和を行い、今後感染状況が落ち着いていれば2022年7月には入国申請のために必要な「Thailand Pass」の申請についても撤廃を検討しています。
感染拡大以前の様に自由に日本とタイを行き来できるようになる日がいよいよ現実になってきました。
2022年5月26日にはプラユット首相の公式訪日もあり、経済セミナーへの登壇や岸田総理との会談が行われ、両国間の交流が依然に増して活発になることが期待されています。

2022年5月1日に発表された規制緩和

【ワクチン接種済の方】

  • タイ政府が許可認証したワクチンを規定回数接種していること
  • ファイザー、アストラゼネカおよびモデルナ製ワクチンの規定回数は2回
渡航前の準備
  • ワクチン接種証明書…国の公的機関・地方自治体より発行されたワクチン接種
  • タイランドパスの申請…申請には、航空券、ワクチン接種証明書の他に1 万 US ドル以上の治療補償がある医療保険証が必要になる
渡航後
  • ワクチン接種証明書…国の公的機関・地方自治体より発行されたワクチン接種
  • タイランドパスの申請…申請には、航空券、ワクチン接種証明書の他に1 万 US ドル以上の治療補償がある医療保険証が必要になる
変更点
  • 渡航前のRT-PCR検査および陰性証明書は不要
  • 空港到着時に行われていた検疫でのRT-PCR検査免除
  • 到着後のPCR検査結果がでるまで、宿泊が求められた1泊分のホテル予約も不要
  • 保険の補償額が5万ドルから1万ドルに減額

【ワクチン未接種の方】

渡航前の準備
  • 渡航前72時間以内に発行されたコロナウィルス陰性証明書
  • タイランドパスの申請
  • 1 万 US ドル以上の治療補償がある医療保険証
変更点
  • ワクチン未接種、もしくは規定回数に満たない場合でも、渡航前の陰性証明書があれば到着後、接種した人と同じ様に隔離なしで入国することができる。 ただし、タイ政府から要請があった場合にはATK検査キットなどを用いて自主的に検査を行い、結果を報告しなければならない(自費)。 その場合に備えて、日本から準備しておいたほうが良い
  • ワクチン未接種及び陰性証明書がない場合には、渡航後に検疫でRT-PCR検査を行い、その後事前に予約をしたAQ(政府指定の隔離宿舎)にて5日間の経過観察が義務付けられている。入国後4―5日目には再度RT-PCR検査を行う。ホテルの予約には空港送迎や宿泊中のRT-PCR検査1回分の費用が含まれていることを明記してもらうこと。
日本政府は6月から今までの水際対策の規制を緩和し、訪日客の受け入れ拡大を検討しています。 5月26日現在、帰国後の制限はワクチンの接種、未接種また回数によって異なりますので、ご留意ください。

【日本の入国制限】

  • タイは検疫所の宿泊施設での待機対象国となっていないため、施設での隔離は必要なし
  • ワクチンを3回接種完了し証明書がある場合には、入国後の自宅等待機を求めない
  • ワクチンの3回接種が完了していない場合には、原則7日間の自宅等待機が求められるが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性結果を厚生労働省(入国者健康管理センター)に届け出、確認が完了した場合はその後の自宅等待機の継続は求めない
  • 入国後、自宅等まで移動する際は、公共交通機関の使用が可能となった
ヨーロッパでも入国制限の撤廃が徐々に進められています。 タイ政府は新型コロナウィルス感染症を「パンデミック」から「エンデミック」(風土病)とする宣言を行いインフルエンザと同様の位置づけにし、2022年7月以降にはワクチン接種の有無にかかわらず、入国制限の完全撤廃を目指しています。 国内のワクチン接種の割合は2回接種が全国民の75%以上となり順調に進められています。感染者数(2022年5月26日発表の新規感染者数4,924名)や変異株の流行を抑えることができれば、自由に日本とタイを行き来できる日が来るのはそう遠くはないようです。
データソース:Bangkokbiz、ThaiDDC
2022年6月27日 メルマガ第16号 【ロシア侵攻EEC カーボンニュートラル】
新型コロナウィルス感染拡大の影響から経済復興に向かう兆しが見えてきている一方で、日に日に激しさを増す戦闘のニュースを目の当たりにし、安息な日を願わずにはいられません。ロシアでは友好国ではない国の知的財産は無許可でコピーすることができるといった法令が可決されるなど、人々の暮らしだけでなく、経済界にも大きな影響を及ぼしています。タイでは、積極的に国内の経済発展に官民一丸となって取り組んでいる姿がみられ、未来のより良い人々の暮らしを展望する前向きな姿が印象的です。

【ロシアとウクライナの戦闘によるタイ経済への影響】

プラユット首相の発言

特に影響はなく、空港を結ぶ高速鉄道など主要インフラの建設は設定された目標通りに進んでいる。ただし、戦闘や各国のロシアに対する経済制裁が比較的大きな世界規模の経済不況につながることは避けられない。 また、タイ商工会議所大学によれば、戦闘が長く続いた場合には、景気成長が予測よりも低く、物価の上昇により消費者にとって厳しい経済状況となることが予想される。

その他EEC内の動き

  • EECのコミュニティ企業と小規模トレーダーによるOTOP開発支援
    マーケティング・販路開拓を支援するEEC Enterprise、また商品開発を支援するEEC Incubation Center という二方向で地域資源を生かした商品を生み出す仕組みを構築する。例えば、ラヨン県にはドリアン、銀製宝飾品といった資源があり、チョンブリ県にはヤングココナッツ、玄米といった特産品があるが、これらを使って商品の開発、高品質な梱包など共同投資を行う民間企業と協力して地域製品の開発を行っていく。この取り組みは2022年10月から開始される予定。
  • EECパイロットプロジェクト「サンドボックス」
    分野ごとに7つの特別恩典区域を設定し、税制などの特別恩典に加え、各投資家と交渉を行いフレキシブルな恩典の付与を行うことにより、双方のニーズを満たす利益を設定することに焦点をあてている。恩典の詳細については近日中に公表される予定。
    当該プロジェクトは、5年以内にGDP5%の上昇と2.2兆バーツの投資価値を生み出すためのパイロットプランであり、将来的にエリアを拡大し、EECにおける投資家のインセンティブを高めていき、周辺国の中でも魅力的な投資国であるということを周知していきたい狙いがある。
    <EEC内にある7つの特別推奨地区>
    1. EEC航空都市【EECa】
      パタヤからラヨンの間30Kmに渡り観光と物流と航空を結ぶタイ東部エリアの航空事業を総括するEECの中で最も重要なエリア。様々な用途において陸海空の交通網を発展させる。
    2. EECイノベーション【EECi】
      官民学が協力して産業技術の研究開発事業を行い、タイ既存産業の品質向上とイノベーション創出を目的としたエリア ラヨン県のワンチャンバレーに位置する。
    3. EEC最先端デジタル【EECd】
      チョンブリ県のシーラチャーに80万㎢の敷地に広がる。タイランド4.0政策を促進するためのデジタル技術を用いた産業を集積する。
    4. EECタイ高速鉄道【EECh】
      タイの3つの空港を結ぶ高速鉄道で都市と東部経済回廊の交通の利便性を高めるEECの主要プロジェクト。
    5. EEC医療センター【EECmd】
      タマサート大学のパタヤキャンパス付近で約90万㎢の敷地の中でAIやロボティクスなどを活用した医療や健康サービスを提供するデジタルホスピタルの構築を目指している。
    6. ゲノム医療推進エリア
      国民が将来、より良い暮らしを送るためのゲノム医療の発展が注目されており、タイ国民のDNAデータベース構築の皮切りとなることも期待されている。
    7. 【イノベーション・テクノロジーパーク】
      テクノロジーの発展という国家政策に従って、国民がより良い暮らしをしていくための住みやすい街作りをサポートしていくプロジェクト。タイの科学技術と知識を高め、最先端テクノロジーを使って官民学協力のもと環境にやさしい未来へと導いていく。その地域に投資するロボティクス、バイオテクノロジー、バイオケミカルといった新しい分野の事業やSMEを支援し、その知識を伝達していくことにより付加価値を拡大していく。

【ロシアとウクライナの戦闘によるタイ経済への影響】

EV政策を支援するための電気自動車基準を固める

タイ政府は本格的なEV政策に向けて基準の制定をすすめている。 将来的に電気自動車や部品製造において世界拠点になることを目標に、プラユット首相を委員長とする国家電気自動車政策委員会(EV理事会)では、電気自動車(EV)の推進に関するガイドラインを定めている。すでに制定されている116の基準に加え工業製品基準企画局(TISI) が建設中の国立自動車・タイヤ試験センター(ATTRIC)などの認証インフラを奨励し、ゼロ・エミッション車(ZEV)の生産と使用に関する政府の方針を支援している。
すでに工業省の工業製品基準企画局(TISI)で2月に行われた会議では19の新しい基準について承認済み。例えば電動オートバイ、電気自動車のバッテリーシステム、電動オートバイのブレーキシステム、EVの試験方法などが含まれている。
本年度中にもさらに制定が検討されている基準は自動駐車システムや電動バイクのバッテリーシステムなど全てISO国際基準に基づいて、安全性や環境、騒音、燃料消費に配慮したものとなっている。

企業の取り組み

タイは2050年までにゼロ・エミッションの達成目標を掲げており、大企業からそれに向けた動きがみられる。
  • CPF (チャルーン・ポーパカン・フーズ)
    タイの大手食品関連会社であるCPFは、以前から環境に優しいビジネスに取り組んでいるが、政府のBCGモデルへの取り組みに沿って、さらに温室効果ガス排出削減に向けた製品の開発を目指している。 サプライチェーン全体で持続可能な製品の開発に努めることで、生産効率の改善をおこない、食品損失の削減やエネルギー効率の向上、包装の選択など、低炭素製品の生産チェーンにつながっている。これはCPの企業理念の根底にある「フルインテグレーション」飼料から商品生産まで自社で一括直営管理ができるシステムが生かされている。現在790以上のCPF製品が国際基準でカーボンフットプリント評価を受けている。
  • SCG(サイアム・セメント・グループ)
    政府が掲げた2050年ゼロ・エミッションに向けて二酸化炭素排出量削減のための3つの主要な戦略を掲げた。1つ目は材料となるセメントとコンクリートは環境に優しい製品の生産と生産工程におけるCO2排出削減に重点を置く。2つ目は効率を高めるためにプロジェクト管理における技術のデジタル化を促進する。3つ目は廃棄物の再利用を最大限に活用する。 現在使用されるエネルギーは70%が石油や石炭といった化石燃料から供給されているが、これらの割合を、太陽光エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーに徐々に増やしていき、2050年までにはサラブリ県のセメント工場で石油燃料の使用率を50%まで削減する目標を掲げている。 製品イノベーションの面では高性能コンクリートや3Dプリンティング用モルタル、こう圧縮コンクリートといった低炭素コンクリートがいくつかのプロジェクトで試験的に採用され始めている。建設業界におけるグリーンイノベーションを推進することは難しい課題ではあるが、関係者でその意識を共有し環境ソリューションに取り組んでいく。

【お悔み】

元駐日タイ王国特命全権大使バンサーン・ブンナーク閣下が2022年3月6日63歳でお亡くなりになりました。 在任中、日本とタイの親交発展にご尽力された大使閣下のご功績を讃えるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
データソース:Bangkokbiz、EEC、thansettaki
2022年6月27日 メルマガ第15号 【EEC進捗状況とBOI再編】
タイ国内でも、オミクロン株の流行により1日2万人以上の新規感染者がでるなど(2022年2月28日現在)拡大が続いています。同時にワクチン接種の割合は2回接種が国民の約7割を超えており、三回目接種も進められています。ロックダウンや緊急事態宣言などは発令されていない状況です。3月から日本政府も海外からの渡航者に対して条件付きで隔離期間を短縮するといった案もでています。経済活動がより快適に行える日が近いこと願っています。

【EEC進捗状況 ウタパオ空港と周辺航空都市開発】

EEC事務局がプロジェクトを運営管理するための子会社を設立

ウタパオ空港の開設に間に合うように航空産業開発地域(ATZ)エリアでの航空機整備事業(MRO)の開発を加速してウタパオ空港が世界クラスの空港として、また地域のハブ空港に昇格するために航空会社が幅広いサービスを提供できるようにしたいと考えています。
そのためEEC事務局は予算や政策に基づいた方針に従って、国内外の当事者の投資や合併事業など専門家を誘致して効果的に行うことができる実務専門の会社を設立したいと考えています。
総資本5,000万バーツに限定された空港資産を開発するために持ち株99.99%のEEC会社を設立することを提案。同社は、EEC事務局と契約を結び2024年から2026年の間にMROに使用する約474ライの区域で航空都市開発を行うといった内容です。
しかし、すでに入札を勝ち取ったUTAはATZ内の6,500ライの開発という名目でEEC事務局と契約を交わしています。その契約者がEEC子会社に変更になるのではと懸念しており、民間が行う航空都市開発の業務管理の範囲を明確にしてほしいと訴えているようです。EECの言い分としては、子会社はあくまでMROの開発に関わることだけを担う会社なので、民間企業の開発範囲に支障はないと言っています。

TCEB(タイの産業イベントなどの運営管理をおこなう公的機関)が航空ショー開催を提案

政府はタイを宇宙航空産業のハブとして推進し、先端技術産業を世界市場に押し上げたいという目標があり、2025年に第1回国際航空ショーをウタパオで開催したいと考えています。 テーマは“宇宙航空業界の未来”が検討されており、可決された場合には2023年から関係者のためのイベント準備立ち上げが予定されています。 また、魅力的なイベントとして継続して開催していくために、学会や関連業界の見本市などの同時開催も視野にいれており、2027年の第2回には本格的なイベントに発展すると期待されています。
また、タイ国内の航空機関連産業も右肩上がりの状況となっており、BOIによると2018年にはタイは最大31億8千ドル(約1,000憶バーツ)の航空部品と機器を輸出したと発表され、世界的な上記産業としてタイを促進していくという狙いもある。

【BOI再編】

産業技術の変化に伴い、現代の投資環境を満たすために、タイ経済投資委員会(BOI)は大規模な組織編成の改革を行うことを発表した。その中にはプロジェクトの承認を加速、起業開発部門を刷新、海外で投資するタイ企業を支援、また投資家のための相談窓口のレベルをあげるためのチームなどを設立します。 情報周知の徹底を行い、LCMなど近隣諸国との違いや魅力を明らかにし、投資競争に勝つという目的もあるようです。

BOI再編の内容

将来の産業発展に合わせた投資政策の再編
BOIは2020年10月以降、政府が促進したい対象産業への投資促進をさらに加速させ、急速に変化する現代テクノロジーに適応するための投資環境を作り出すために、投資推進部門の新しい編成を下記4つのセクターに分けます。
  • 投資推進第1事業部:農業、食品加工、バイオテクノロジー及び医薬品
  • 投資推進第2事業部:機械、自動車、電気機器、エレクトロニクスなど最先端技術
  • 投資推進第3事業部:鉱物、金属、材料、化学品、石油化学といった基礎産業 またエネルギー、電気水道といった公益事業および環境関連、工業地域開発
  • 投資推進第4事業部:スマートシティや物流など価値の高いサービスを創造するデジタル産業、また観光産業などサービス産業
また、国内外で活躍するためのタイ起業家育成部門も新しく立ち上げます。 起業家の育成はタイ国内で生産された部品や原材料の使用を奨励し、タイと海外のネットワークをより広めることが期待されています。
新型コロナウィルスの感染拡大の状況下で、様々なサービスのオンライン化がすすめられてきました。BOIも例外なく今までのワンストップサービスから更にeサービスの充実化を進めていく予定です。
データソース:Bangkokbiz、BOI、DDC
2022年6月27日 メルマガ第14号 【 test and go MOI seminar 】
タイ政府は海外からの入国者に対して、新しい入国管理システムを開始。新型コロナの感染防止対策を徹底しながら、利用者のさらなる利便性を高め、観光業をはじめとするタイ産業の回復に尽力しています。新型コロナと共存しながら前に進んでいくための経済支援など積極的に発信しつづけています。

【タイ空港公社(AOT)発表】

2021年の主要6空港(スワナプーム、ドンムアン、プーケット、チェンマイ、ハジャイそしてチェンライ)利用者数は16,195,581人で2020年の46,637,754人と比べて65.27%減少。そのうち国際線の利用者は1,616,641人(89.57%減)、国内線は14,578,940 (53.19%減)と発表した。 タイは2021年11月から隔離なしの入国規制緩和を開始したが、オミクロン株の流行により一時的に緩和を停止。2022年2月1日から新しく始まった「TEST&GO」の緩和システムでさらなる観光客の増加を期待している。

【TEST&GO】

2022年2月1日から新しい入国手続きの運営が開始した。 それまで感染拡大の状況に応じて63か国のみ入国が許可となっていたが、今後は全世界共通でこれらのシステムが利用できる。
  • 到着後2回のPCR検査をおこなう
    1日目:渡航前から予約した施設でのPCR検査を行い、結果が出るまで1晩滞在が必須 5日目:渡航前に予約した施設でPCR検査を行う。(1日目と異なる施設でも可)1回目と同様に結果が出るまで1晩滞在することが必須 滞在日数が5日以下の場合には、2回目のPCR検査は必要ないが、速やかに出国すること
    上記の行程が受けられる施設(SHA+AQ,OQまたはAHO) https://thaiontours.com/thailand/test-and-go-bangkok 上記にかかる費用は渡航者が負担すること。ただし、2021年12月22日より以前にThailand Passに登録し、12月24日以降に渡航した者については規定通り政府が費用を負担する。
  • 保険の加入
    保険に加入しておらず、滞在中にコロナウィルスに関する治療を要した場合、渡航者は5万ドル以上の費用がかかると政府が概算している。タイ国籍を有している人については、政府が保証する制度があるので、保険加入の要否はない。
  • 渡航前PCR検査
    渡航前72時間以内に行ったPCR検査の陰性証明書が必須(6歳以下で保護者同伴の場合は必要なし)
  • ワクチン接種証明書
    各自治体が発行する証明書
  • Thailand Passへの登録
    2020年11月よりタイに渡航する旅行者はすべてCOEの取得が求められていたが、新しいアプリケーションThailand Passへ移行した。 全ての渡航者は渡航日より7日前からThailand Passへの申請登録をすることができる。 登録が完了するとQRコードが発行され、Emailで送られてくるので、渡航時にはそれを携帯する必要がある。
    ※TEST&GOを利用しない場合は、ThailandPassへの登録をはじめ、保険加入、陰性証明書、ワクチン接種証明書を準備してAQホテルでの7日間の隔離が必要になります。
  • 運営開始後の状況
    政府は2022年2月1日Thailand Passへの新規申請者数は29,194名そのうちTEST&GOの利用者は23,660名と発表した。 2022年2月1日~9日の間に入国した外国人旅行者の累計は32,713名で今後増加の傾向がみられ、国内の景気回復が期待されている。

【2021年の工業生産指数と2022年の展望】

工業省産業経済局は2021年12月の工業生産指数MPIが1昨年の同時期と比べて6.83%上昇し、2021年全体のMPIは5.93%上昇したと発表した。この数値から2022年のタイ産業は上昇傾向にあると予測している。国の入国規制緩和の政策を受けて、コロナウィルス感染拡大の影響からの回復を期待している。

スリヤ大臣:

タイの産業は政府が掲げた数値目標4.0-5.0%よりも高い5.93%の上昇となっていることから、感染拡大以前に近いくらい回復していると考えられる。継続的に良い業績がみられる輸出を始めとし、国内生産のための材料輸入も増加している。 国内のワクチン接種も順調に進み、工業の回復に大いに役立っている。2022年の見通しとしては、世界的に感染拡大の収束が進み、政府の継続的な景気刺激策を通じて産業が回復していくと考えられる。

工業省産業経済局長:

2022年、タイやパートナー諸国が経済活動を拡大し続けるための明確な措置があり、新型コロナと共存する社会の中でもタイ経済は成長を続けるだろう。

―業種別にみる経済回復の傾向―

  • 自動車関連産業
    2021年12月のMPIは一昨年の同月の数値から9.15%上昇しています。主にピックアップトラック、セダン、ディーゼル車そして大型乗用車の生産が拡大しており、需要の高まりから輸出量も回復している。
  • 石油関連
    2021年12月のMPIは一昨年の同月の数値から7.54%上昇している。入国隔離の規制を緩和した後から、ディーゼル燃料、重油、ガソリン91(日本で言うレギュラーガソリン)の需要が増えたことが原因と考えられる。
  • 砂糖産業
    2021年12月のMPIは一昨年の同月の数値から31.52%上昇している。前年よりも栽培にとっての気候条件が良く、収穫と圧搾の時期が早かったことが要因だろう。
  • 電子部品と回路基板
    2021年12月のMPIは一昨年の同月の数値から14.24%上昇している。 日常生活に必要な電化製品や自動車などの世界的な需要の高まりが要因だろう。 その他には棒状ゴムやラテックスといったゴム製品も需要が増え生産を伸ばしている。

【タイ産業促進の指針】

2022年2月1日、MATICHON社が主催したライブストリーム形式のセミナー「新しい可能性:Thailand 2022」にスリヤ工業大臣が登壇し基調講演を行った。

スリヤ大臣の発言:

世界的に経済と社会は変革の時を迎えており、我々はその新しい生活様式と新しい標準にあった産業発展に向けて進んでいかなければならない。既存の産業が変革を遂げるための支援を行うなど、政府はその指針を築く役割がある。
工業省が関連機関と協力して発展を促進するは6つの大きな枠組み
  1. テクノロジーを利用して農業の付加価値を高める
  2. S Curveに含まれるポテンシャルのある産業、食品・バイオ・自動車関連・ロボット・医療機器産業向けのインテリジェント電子機器オートメーション化の発展
  3. 企業や製造業をThailand 4.0に発展させる。スマートな事業者を創出・育成し、中小企業やコミュニティ企業の生産性を創出。コスト削減や革新的なデジタル技術による製品価値の向上を促進し、特に資金源へのアクセスに関して様々な工程の簡易化により事業継続をしやすくする
  4. BCGモデル政策に沿った持続的な産業発展
  5. EECにおける工業団地への投資促進。産業を結び付ける地域でレベルの開発
  6. 利用者の利便性のためにデジタルサービスの質を高める。データベースの構築に力を入れて海外との互換性や生産性向上に生かす
日・タイビジネスに関連するセミナーも多数開催され、両国がこの困難を乗り越えていくため官民の協力は欠かせません。タイの経済情報を引き続き配信していきたいと思います。
データソース:Bangkokbiz、MATICHON、タイ工業省産業経済局、AOT
2022年6月27日 メルマガ第13号 【METI訪タイ】

【タイ工業相 経済産業相と会談】

2022年1月13日、タイ・バンコクにて、タイ工業省は海外との交流を再開し、タイ経済の復活を加速させるため、日本の経済産業省と協力し、双方の優れたポテンシャル領域を高めるための方法などについて、意見交換を行いました。日本側のアジア未来投資イニシアチブAJIF(ASIA-Japan Investing for the Future Initiative)を用いてタイの政策BCG経済モデル(Bio-Circular-Green)を推し進める方針です。
タイ工業省はイノベーションと技術の共同開発において、日本の経済産業省の政策AJIFとタイのBCGモデル政策とは様々な面で成長機会を創出できると考えています。人的資本における能力構築やデジタル技術を活用して、SMEの成長を刺激すること、強力なサプライチェーンを構築することなどにより、社会経済の変化を支えたいと考えています。また厳しい状況の中でも、日本はタイへの投資に期待感があり、プロジェクトへの投資価値は700億バーツで1位となっています。

スリヤ・ジュンルンルアンキット大臣の発言

2019年から続くコロナウイルス感染拡大は、多くの国で工業をはじめとする様々な分野の経済活動に多大なる打撃を与えました。変化する環境に対応して経済を回復・強化させていくための道を築かなければなりません。
今回、工業省は日本の萩生田経済産業大臣の訪タイの機会に、このような変わりゆく経済環境の中で両国が成長するためにどのような協力が行えるかについて議論する機会を得ることができました。
日本が掲げているAJIFとタイのBCG経済モデルの双方を基に、経済産業省と連携してFramework Document on Co-Creation for Innovative and Sustainable Growthという名のもと相互協力を行う方針を固めました。
これらはイノベーションと技術開発に焦点を当てた革新的で持続可能な成長のための共創に関する枠組みであり、合意文書の下で協力の枠組みが定義されています。人材の能力構築やデジタル技術の活用、SMEの成長、強力なサプライチェーンの構築などを通して、日本の産業部門からの投資を促進するものです。投資拠点としてタイを利用して、近隣地域産業をつなぎ、発展させるとともに、タイと日本の双方が共に異なる次元で成長機会を創出する可能性を両立させます。

Framework Document on Co-Creation for Innovative and Sustainable Growthの下で計画されている3つのテーマ

  1. 次世代自動車産業、インテリジェントエレクトロニクス産業、農業及び食品加工産業、ロボティクスとオートメーション、航空業、物流業、ヘルスケア産業、バイオケミカル産業、循環産業、グリーン産業 …これらの分野において協力して人材育成を行い、高い知識を持った専門家を育てタイにおける持続可能なイノベーションを促進する支援を行う。
  2. SMEの強化、Industry Transformation Center 4.0(工業省と高等教育・科学・研究・イノベーション省、デジタル経済社会省が共同で立ち上げたIndustry 4.0を促進支援する機関)と連携して、タイの中小企業の問題解決や効率性向上のためにデジタル技術を導入する。ビジネスマッチングやデジタルプラットフォームなどのパートナーシップを通じて、タイと日本の間で中小企業を結び付ける。
  3. メコン地域における、競争力のあるサプライチェーンの共同構築。
    デジタル移行と人材育成、そして再生可能でグリーンなサプライチェーンの創出により、タイの産業の品質と価値を向上させる。

現在、工業省が経済産業省と行っている協力プロジェクト

  • タイで今問題になっている廃棄車両処理を解決するため「包括的な終末期車両(ELV)管理システムの確立」を目指すプロジェクト、また「カーボンニュートラルを目的とした工業団地開発教育」プロジェクト。これらは政府のBCG政策の達成に役立つと考えられています。
  • “Lean Automation System Integrator (LASI)プロジェクト”と“Lean IoT Pland Management and Execution(LIPE)プロジェクト”、そして“スマートものづくりプロジェクト”は、生産能力を高めるメカニズムであるAI、IoT、自動化を利用して、モダンなインテリジェント工場への移行を支援するために、業界を統合化された仕組みにアップグレードする人材の能力を開発します。

スリヤ大臣による会談終盤のご発言

2021年におこった未曾有の危機は、多くの信頼を失わせる出来事でもありました。しかしながら日本はタイにとってとても大切な経済パートナーであることに変わりはありません。
BOI(タイ投資委員会)のデータから見ると、日本は、承認された外国からの投資事業のうち19%を占めており、その多くは大規模投資事業のケースです。例えば、石油化学製品の製造(30億6千200万バーツ)、特殊な性質を持った糸や布の製造(25億5千900万バーツ)また微生物を使った商品の研究開発(19億9千万バーツ)、車両用ベアリング(16億8千万バーツ)などが挙げられます。直近9カ月間で申請承認された日本からの投資件数は125プロジェクトにものぼり、外国投資の中で最も多く、投資額にするとその価値は678億1千700万バーツになります。

【4月1日から外国人旅行者に対して入国料300バーツを徴収する方針】

タイの観光スポーツ省は2022年4月1日から外国人旅行者に対して一人当たり300バーツの入国料を徴収する方針を発表しました。
入国料とは、実際にはどのように徴収され、また何の目的で使用されるのかと疑問に思う方もいらっしゃると思います。

入国料の使用目的

徴収されたお金は国家観光促進基金に一度集められ、観光省の事務次官室にて管理され、観光発展のための資金として運用されることになります。例えば、観光地の設備の整備、エレベーターの設置や日本のように清潔な公共トイレの設置などが考えられます。
では旅行者は、入国料を支払うことによって受けられる恩恵があるのでしょうか。
徴収されたお金の一部は旅行者がタイを旅行中に事故にあった場合、また死亡した場合など、最大100万バーツの保険金、また医療費として最大50万バーツを受け取れるような補償に充てたいと考えられています。

その徴収方法は?

ヨーロッパや日本をはじめとする多くの国が、すでにこの入国料を徴収するシステムを運用しています、それらは航空券や宿泊ホテルなどの費用に含まれていることが多いようです。
タイ運輸相はすでにタイと外国を渡航する全ての航空会社に3月中に新しい料金徴収のアプリを完成させ、渡航者が入国前に“入国料”を支払うシステム、またその支払い未払いが確認できるようなシステムを構築するよう命じました。
タイ政府は今年の観光目標について、観光収入を約1.3-1.8兆と予想しています。外国人旅行者は500万人から1,500万人と予想され、その収益は約8千億バーツと期待されています。

【入国後の隔離措置】

政府は1月8日に海外からの渡航者に対する隔離期間と入国措置について発表を行いました。
  1. 通常の旅行・商用目的の入国をする場合

    渡航前に準備するもの

    • パスポート
    • Thailand Passシステムで必要事項の登録申請 http://tp.consular.go.th/
      登録後発行されるQRコードが入国の際に必要になる
    • 政府指定隔離宿舎(AQ)又はSha Extra+ホテルの7泊分の予約
    • 5万米ドル以上の医療保険加入証明書(年齢にかかわらず加入が必要)
    • 渡航前72時間以内に受検されたPCR検査陰性証明書
    • 国・地方自治体等公的機関により発行されたワクチン接種証明書(隔離期間が短縮されます)
    • ビザ(必要に応じて)

    渡航後の手順

    到着後全ての人が入国後の健康チェックを受けます。 その後、事前に予約を行った隔離施設へ移動していきます。

    隔離日数

    7日間:タイ政府又はWHOが承認するワクチンの接種完了証明書を保持し、タイ入国時点で接種完了から14日以上経過している方。
    10日間:タイ政府又はWHOが承認するワクチンの接種が完了していない方。または、ワクチン接種完了証明書を保持しているが、タイ入国時点で接種完了から14日未満の方。
  2. サンドボックス・プログラムでの入国
  3. プーケット県に加えて、2022年1月11日以降、クラビー県、パンガー県、スラタニ県(タオ島、パガン島、サムイ島のみ)を対象に、サンドボックス・プログラムでの入国の申請受付が開始されます。

    渡航前に準備するもの

    • パスポート
    • Thailand Passシステムで発行されたQRコードのコピー
    • 政府指定隔離宿舎(AQ)又はSha Extra+ホテルの7泊分の予約及び支払い確認書(PCR検査2回分の料金が含まれていることが明記されている必要があります)
    • 5万米ドル以上の医療保険加入証明書(年齢にかかわらず加入が必要)
    • 渡航前72時間以内に受検されたPCR検査陰性証明書
    • 国・地方自治体等公的機関により発行されたワクチン接種証明書(保護者同伴の12歳未満の子供については必要ありません)。タイ入国時点で接種完了から14日以上経過している必要があります。

    渡航後

    サンドボックス・エリアでの健康観察期間は7日間、その後国内を自由に行き来することが可能になります。
参考データ:工業省、Bangkokbiz、在タイ日本大使館、タイ入国管理局
2022年2月8日 メルマガ特別版 【TJICインタビュー】
 クロスロード・キャピタル㈱はタイ工業連盟の傘下に2020年7月設立されたタイ日本産業協力機構(TJIC)の初代会長を務めていらっしゃるチラパン・ウンラパトーン氏への独占インタビューを行いました。  若いころにインターンシップで日本に住んでいらっしゃった経験もあり、日本に対する特別なお気持ちやタイとのつながり、両国の経済発展のために尽力されているその思いを熱く語ってくださいました。 tjic_interview 2021年11月29日 オンラインインタビューの様子
 
■コロナ渦におけるタイ経済の現状について  Crossroad Capital 鈴木倫子(以下 鈴木):  コロナウィルス感染拡大によるタイ経済全体に与えた影響と現在の状況についてご教示ください。(業績が縮小してしまった業種、一方で、業績が伸びている業種など。)
 
 TJIC チラパン・ウンラパトーン氏(以下 チラパン会長):  まず、世界的にコロナウィルスの感染拡大が始まってからのタイへの影響は、大きく二つの時期に分けて説明ができると思います。  コロナウィルス感染拡大が世界的に蔓延し始めた2019年末から2020年では、当初、タイの感染者は少なく、また、コロナウィルスの脅威などについてもあまり理解が深くなかったが、徐々に感染者が増えてきて、国の政策で全国的にロックダウンが行われ、工場なども休業せざるを得ない状況となり、国全体が混乱していました。  2021年に入ってから、前半は状況が良くなり一度落ち着きを取り戻したように思えましたが、その後、第2波の影響により、タイでの感染者が激増し、重症者や中等症患者数が、医療施設のベッド数を越えてしまい、医療崩壊となる大変な事態になりました。  ご存じの通りタイは観光業が主要な産業です(コロナ前のFY19ではGDP 19%前後)。ですので、旅行関連の産業である、航空業やホテル、レストランなどは、大変な打撃を受けてしまいました。飲食業に関しては、ロックダウンの期間中はお店を開けることができないので、それも大変な影響を受けたようです。  しかし、すべての産業が悪影響を受けたわけではなく、急伸している業界・産業もございます。政府の推奨「ステイホーム」の影響により、在宅勤務者が増えたため、人々は自宅で過ごす時間を多くなりました。そのため、IT関連の機器や家電製品、インスタント食品などの加工食品の需要が高まったことにより、これらの業界・産業は急伸しました。
 
TJIC設立の目的とその役割  鈴木:TJIC設立の背景と目的、その役割と位置づけ、活動方針について教えてください。また、活動を補佐する日本の協力機関についてもコメントいただけたらと思います。
 
 チラパン会長:タイ日本産業協力機構(Thailand Japan Industrial Cooperation Institute: TJIC)は昨年、タイ工業連盟(FTI)の傘下に設立されました。元々、FTIはタイ国内にある日本の主要な機関(例えばバンコク日本人商工会議所(JCC)やJETRO、在タイ日本大使館など)と連携をしておりましたが、これまで、専用窓口は設けられておりませんでした。日本はタイにとって大切なビジネスパートナーでありため、専用窓口を設けより強力な関係を築いていく必要があると考え、FTIのスパン会長がTJICの設立を提案されました。私は2020年7月から初代会長として、タイ国内にある日本の主要機関との連携強化を図っております。
 
 昨年設立しましたが、実際のところ、すぐにコロナウィルスの感染拡大が起こってしまったため、残念ながら、まだ具体的な活動は行えていません。現在は、まずTJICという存在を広く知ってもらうために、大使館やJCCを訪問して、設立の目的や役割、活動について説明しています。 産業発展と言っても我々の使命はたくさんあります。その中でも貿易関係などは優先順位を高く設けながら推進していくことが大切と考えています。  現在TJICには4つの政策があります。  1つはJCCの会員企業に、FTIへ加わっていただきたいと考えています。JCC現在約1800以上の日系企業が登録されていますが、それらは業種などに分類されておらず、横の連携もあまり見られません。その点FTIは現在10000企業が登録されていてそれらは45業種に細かく分類されています。この45種はタイ国内にあるすべての産業の分類とほぼ同じであり電子は電子、農業は農業といった分野ごとに協力連携をとれる仕組みがあります。また、FTIはタイ政府とのつながりも強いので、JCCのメンバー企業にとっても、タイ政府との連携がとれるメリットがあります。  2つ目は正確な情報提供を行うということです。現在タイだけでなく近隣のアセアン諸国でも同様に投資政策を掲げ、企業誘致を行っています。そのような中で、メディアによって正しくない情報が広まり、「タイは投資状況が良くない」という間違った認識を持たれることを我々は懸念しています。投資奨励の情報やその方法についてはBOIのような専門機関があり、ワンストップセンターなど投資家が便利に利用できる機関があります。我々は実際の生産輸出などの統計データを毎月ウェブサイトで公表することにより、よりリアルな経済状況を投資家の方たちに知ってもらえるような環境を整えたいと思っています。  3つ目は人材育成です。現在日本からの投資は減速傾向にあります。その理由として、私がよく耳にするのは、タイはBOIの奨励策やEEC、近隣国への高速鉄道の建設などハードの面ではとても魅力的な投資国ではあるけれど、人材が不足しているという点です。政府もエンジニアの育成やタイランド4.0の政策に力を注いでいますが、弊社(Sumipol Corporation )は住友電工とパートナーを組んで民間の技術研究所Sumipol Institute of Manufacturing Technology (SIMTec)をアマタ工業団地の中に設立しました。20社以上の日系企業から協力で工作機械の寄付をしていただき、ITや製造技術に特化したエンジニアを育成する研究所としてタイランド4.0やEECの発展に貢献していきたいと考えています。 また今は日本の一般財団法人海外産業人材育成協会(AOTS)からも協力いただき‘Re-Skill’ ‘Up-Skill’ ‘New-Skill’という3つをテーマにしてタイに不足している技術者の育成プログラムも行っています。
 
 4つ目は日本との技術連携強化です。特に農業において日本は高い技術があります。冷蔵保存などタイの農産物を長く良い品質を保つための技術を向上させたいと考えています。 その他にも様々な機関がビジネスマッチングを行っていますが、そのスタイルについてももう少し商談成立の確立が高くなるような効率的な方法について考えたいと思います。例えば業種をしぼって、時間をもう少し長く具体的な話し合いができるような場を設けられたら良いのではと考えています。 近くに関西経済連合会の会長ともその案件でミーティングを行う予定です。
 
 ■コロナ前後の事業の状況  鈴木:いま、お話に出ました、会長が役員を務められているSumipol Corporationの近年の状況についても教えていただけますか?
 
 チラパン会長:我々の会社は自動車産業に関連した工作機械などの製造がメインです。  昨年はロックダウンの影響などもあり売り上げが約30-40%下がりました。これはタイ全体の経済の減少率と同じくらいです。2021年は少し回復してきていますが、ただ世界的なチップの不足などにより期待しているより生産は伸びていません。
 
 鈴木:コロナ渦による政府からの支援について教えてください
 
 チラパン会長:コロナ渦での政府からの支援は、ワクチンの無料接種をはじめ中小企業であれば低金利のローンなどがございました。また従業員の雇用を保持するための助成金などもありました。弊社は従業員の解雇には至りませんでしたが、仕事が少なくなったり、満額の月給が支払えなかったり、また地元へ帰りたいといった理由で離職する従業員もいました。 政府が推奨する在宅勤務については、弊社のように業種によっては難しい場合もあると思います。弊社は製造業ですし、またシステムもまだ整っていなかったので在宅勤務が行えるのは全体の20%程度になっています。
 
 鈴木:コロナの影響で事業転換を検討されたことはありますか?
 
 チラパン会長:大きな企業であれば事業転換のための資金もあってその可能性はあるかもしれませんが、中小企業はなかなか転換に踏み切れないのが現状です。今自動車産業はガソリン車からEVへの変換期でもありますから、弊社としてはそのEV用の制作フォームへの体制を整えているところです。今までは切削工具を多く取り扱っていましたが、今後はロボットや自動化といったデジタルトランスフォーメーションに力を入れていきたいと思います。それにともなった人材育成も検討しています。
 
■日本企業との今後の展望  鈴木:最後に日本を含む外国企業へ期待することがあれば教えてください。    チラパン会長:私はインターンシップで日本に留学経験があります。その時に目にしたのは、夜遅くまで勤勉に働く日本人の姿でした。タイ人の「サバーイサバーイ」(楽観的?な)との違いに驚きました。日本の方々の仕事に向き合う姿勢に感銘を受けて、それが今の会社にも多く取り入れられています。初めて弊社を訪れる方は日系企業と勘違いされる方もいるくらいです。 また、近いうちに泰日工業大学(TNI)の理事に就任予定です。もっと日本企業のニーズにこたえられるような人材育成に貢献していきたいです。
 
【最後にCrossroad Capital 辻佳子より】  このたび、FTIが日タイ戦略的パートナーシップの強化に向けてのTJIC発足・設立されたことをお喜び申し上げると同時に、このようなコロナの状況下において、こういった喜ばしい取り組みがスタートすることに、大変期待をしております。  また、これまで長年にわたって、日タイの相互互恵関係の構築に向けて奮闘されてきました、経験値の高いChirapan Oulapathorn(チラパン ウンラパトーン)様が会長としてご就任されましたことも、大変心強く思っております。 このようなコロナの状況下ではございますが、当社も微力ながら、日タイ相互の理解・ビジネス機会の創出の一助になるよう努めたく、このTJICの設立目的等について本メルマガにて日本の皆様へパブリッシングをさせていただきました。
 
2021年11月29日 オンラインインタビューより
2022年2月8日 メルマガ第12号 【タイのEV市場】
 タイのEV市場では、タイ政府のEVマスタープランを促進させることを目的に、活発な動きがみられます。 政府だけでなく民間企業も関連事業に乗り出し、インフラを含めたEVの普及・浸透のための環境整備も進められています。  日本企業にも様々な関わりがあり、タイ主要産業の一つである自動車産業において、今後もアセアン地域で牽引していく役割を全うしていくためにも、目が離せない状況です。
 
【タイのEV政策】  タイ政府は、国内のEVの普及・浸透を加速させるために、EV車を対象にした減税や、輸入関税の撤廃・引き下げを検討しています。  国家電気自動車政策委員会(Board of Electric Vehicle)は以下のような政策で、2022年の第一四半期への採用を検討しています。 ・200万バーツ以下のEVに対して物品税を現在の8%から2%に引き下げる また最大80%の輸入関税の割引と国からの補助金で全体価格から20%の割引をする ・200万バーツ以上のEVに対しても同様に物品税を現在の8%から2%に引き下げる また、2年間で輸入関税の最大20%割引がある。補助金の適用はなし
 
これらの措置は、2022年以降の5年間で電気自動車の価格を下げ、より多くの消費者がEVを購入・使用しやすくなることを目的としています。
 
 現在EVの輸入関税は、欧州ブランドに輸入税80%、日本20%、韓国40%となっており、中国のEVだけが0%となっています。中国以外のEV輸入関税を0%に引き下げるかどうかは2022年1月に正式発表されますが、0%の輸入関税を申請するEVに対して2年以内に1~1.5倍の比率でタイ国内での生産をしなければならないという条件が付されるか検討されています。  つまり1台のEVを海外から輸入する場合、国内で1.5台分の生産をするとともに、自動車用バッテリーやタイで製造されたPCUなどEVの主要な部品を使用する必要があります。
 
 メルセデスベンツ・タイランドは上記条件のもと、2021年末にEQS(ベンツの高級EVモデル車)を納入する予定となっています。その後2022年初頭からタイ国内での組み立てを開始、同モデルの販売もタイ国内で開始される予定となっています。  トヨタ、ホンダ、三菱、日産アウディ、マツダといった日本の車両メーカーも、EV生産でBOIに投資促進計画を提出する自動車メーカーも、来年以降のタイEV市場への参入動向が注目されています。
 
 その他2030年までに全国に合計12,000の高速充電(DC)ステーションが必要と考えられ、公共の充電ステーションを拡大する計画を検討しています。
 
 EV委員会の委員長をつとめるスパッタナポン・パンミーチャオ副首相兼エネルギー大臣の発言 「タイは2030年のEV生産を自動車の総生産量の30%を目標とし、2035年にはタイで販売される新車は100%EVである必要があります。減税や補助金制度、また充電設備を全国に拡大するといったインフラ開発を通じて、今後、流通と生産の増加を奨励していきます。」
 
これらの措置は、国内のEV需要を高めると同時に、タイをアセアン地域のEV生産ハブとして成長させるための戦略の一つとなっており、2021年末までに正式決定される予定です。
 
【充電ステーションの共同開発】  TWZ社の子会社でEVの卸・マーケティング事業に従事しているスカイウェル・タイランド社はSolartron社とEVの充電ステーションを共同で設立する協力覚書について署名しました。また、両者はタイ初の太陽光発電充電ステーションを開発・建設・投資の合弁会社の設立を検討します。  太陽光エネルギーのスペシャリストであるSolartron社はドイツから30年以上の経験と高度な機械製造技術を持ち、タイ国内で太陽光関連製品を生産・販売しています。それらの製品はすべてアメリカ、英国、日本、タイなど世界的な工業製品規格の認証を取得しています。
 
【EGATとBMW新しい充電ステーション開設】  2021年12月17日 EGAT(タイ王国発電公社)とBMWとHomepro社(大型ホームセンターの経営やホームソリューション事業に従事)が協力して、EVユーザーへのサービスの強化を目的とした新しい充電ステーションを開発、ホアヒンのマーケットビレッジ内にて開設式を行いました。  ‘EleX’と呼ばれる充電ステーションは高速充電などができる装置も装備され、同時に2台の車の充電をサポートすることが可能となっています。利用者はアプリで簡単に予約、充電、支払いができる仕組みになっています。今後ホアヒン以外に7つの商業充電ステーションを開設し、そのうち4つはバンコク中心部に位置し、マンションやアパートのEV利用者が収容できるようになる予定です。ほかの3つはバンバインーナコンラチャシーマー間高速道路のカオヤイ出入口付近に設置される予定となっています。 2022年にはタイ全地域の主要道路に14の充電ステーションを開設する予定になっています。  BMWタイランド社は2014年から国内の電気自動車のパイオニア的存在であり、長年にわたりラヨンの向上でPHEVモデルの組み立てなどを行ってきています。先月新モデルSUV BMW iXとiX3も販売開始され、EV市場の需要の高まりをサポートしたいと考えているようです。
 
2021年12月配信
2022年2月8日 メルマガ第11号【2021年 11月入国規制緩和】
【隔離処置の一部撤廃に関する発表】  タイ政府は2021年11月1日より外国からの入国者に対する隔離措置の一部撤廃を正式に発表しました。
 
新しい入国条件の詳細 まず、大きく3つのグループに分けられます
  1. COVID19の感染状況が落ち着いている46か国からの入国の場合 
  2. プーケットサンドボックス(サムイ、パンガー、クラビー)などのパッケージツアーを利用する場合 
  3. ① 、②どちらにも当てはまらない渡航者の場合 
それぞれに課せられた条件をクリアすることができれば、今までよりも短いプロセスでタイへの入国が許可されることになりました。
グループ① グループ② グループ③
対象国 46か国※ 全ての国 全ての国
隔離条件 なし サンドボックスツアーに基づく隔離措置 決められたホテルで最長10日間
ワクチン接種状況 2回目の接種を渡航日より14日前に完了している 2回目の接種を渡航日より14日前に完了している ワクチン接種の要否条件なし
渡航後のホテルの予約 ASQもしくはSHA+の施設が1泊のみ必要 サンドボックスのエリア内で定められたASQもしくはSHA+の予約が7泊間必要 ASQの予約が10泊分必要
健康保険 5万米ドルの医療保障を含む保険 5万米ドルの医療保障を含む保険 5万米ドルの医療保障を含む保険
渡航前PCR検査 72時間前のRT-PCR検査が必須 72時間前のRT-PCR検査が必須 72時間前のRT-PCR検査が必須
到着後のPCR検査 到着後、最低1回のRT-PCR検査を行う 到着後6、7日までの間に最低2回のRT-PCR検査を行う 到着後8-9日までの間に最低2回のRT-PCR検査を行う
※政府が発表した感染状況が安定しているとみられるグループ①の対象46か国 オーストラリア, オーストリア, バーレーン, ベルギー, ブータン、ブルネイ・ダルサラーム、ブルガリア、カンボジア、カナダ、チリ、中国、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、マレーシア、マルタ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、カタール、サウジアラビア、シンガポール、スロベニア、韓国、スペイン、スウェーデン、スウェーデン、アラブ首長国連邦 上記の対象国リストは2週間ごとに見直される予定。
 
国内の移動制限  また、タイ国内での移動についてはまず下記17県でのみ許可されています。 感染者数だけではなく住民のワクチン接種率、病床使用率などが比較的安定しており、政府が「青信号」と判断したエリアで試験的に開始されることになっています。 プーケット、スラータニー、バンコク、サムットプラカーン(スワナプーム空港)、クラビー、パンガー、プラチュアップ(ホアヒン)、ペチャブリー(シャアム)、チョンブリー(パタヤ・シーチャン島)、ラノーン(パヤーム島)、チェンマイ、ルーイ、ブリーラム、ノーンカーイ、ウドンタニー、ラヨーン(サメット島)、トラート(チャーン島)
 
 なお、12歳以下のワクチンを接種していない子供については、同伴する保護者と同様の条件で入国することが可能です。(つまり、保護者が①のグループであればその枠組みで取り扱われる)
 
 その他、安全な滞在と感染防止対策のために入国者全員に対して新しい追跡アプリThailand Passのダウンロード、マスク着用や手指の消毒などタイの公衆衛生基準に従うことが義務づけられています。 新しい入国の手続き方法  2021年11月1日以降タイへ入国する際にはそれまで義務図けられていたCOE取得の必要がなくなりました。すでに取得済みの場合には、それらを持って入国し、予約したホテルにて返金の手続きが行えるとのことです。COEの中止に伴って導入される新しいアプリ「Thailand Pass」は渡航者の負担を減らし、今までよりも効率的に安全衛生管理することが可能になります。
 
2021年11月1日以降入国前手続きがオンラインで行える「Thailand Pass」  https://tp.consular.go.th/ (現在準備中) 渡航日の最低7日前までにパスポート、ワクチン接種証明書、健康保険、ASQ予約確認書、ビザ(必要であれば)の情報をアプリにて登録すると、3-5日後に登録完了のQRコードやThailand Pass IDが届く仕組みになっています。
 
 COVID-19で2年間大きな影響を受けたタイの観光業ですが、2021年11月以降タイの観光ハイシーズンに向けて、観光客の増加が期待されています。
 
2021年11月配信
2021年10月21日 メルマガ第10号 【規制緩和 BCGモデル】
タイは2021年10月に入り、国内の感染者数が10,000人強まで減少。2回のワクチン接種率はバンコクが約54%、全国では32%にとどまっていますが、各地で接種を加速させ観光再開へと動き出しています。(2021年10月4日付)完全な観光再開は11月以降になりますが、少しづつ入国制限の緩和などが行われ、渡航者にとって重要な前進となっています。 産業の面でも、世界で関心の高まる環境や社会と共存するエコな産業を目指し、政府が政策を打ち出しています。
 
【タイの入国制限緩和】 2021年10月1日より、新しい入国隔離制限の規則をもうけ、ビジネスや観光でタイへ入国する人のための条件が緩和されました。 緩和条件は以下の通りです。
 
・ワクチンを2回接種完了していて、その接種証明書を所持している場合  (ワクチン接種は最低でも出発の14日前に完了していること)  隔離期間は14日から7日間に短縮されます。
 
・ワクチン接種が完了していない人、証明書を所持していない場合  隔離期間は14日から10日に短縮されます。
 
 隔離期間は短縮となりますが、今までと同様に入国のためにはCOE(入国許可証)の取得が必須となっています。 これらの申請のためには、パスポート、ビザ・ワークパーミット(必要の場合)、渡航前 72 時間以内に発行された新型コロナ陰性証明書、新型コロナ治療費を含めた10万ドル以上補償する医療保険、ASQ予約確認書が必要になります。 http://site.thaiembassy.jp/jp/news/announcement/9763/
 
・日本国籍パスポートを所持する人の観光目的の入国の場合には45日間ビザなしで入国が認められています。 ・タイで有効なPCR検査はRT-PCR検査という種類のものです。実施しているクリニックは在京タイ大使館のHPで確認できます。
 
タイ政府が観光業回復促進のために実施している、「プーケットサンドボックス」「サムイプラス」も同様に隔離期間が短縮されると発表されています。島内で7日間の滞在を経たのち、自由にタイ国内を移動することができます。*ツアーの予約にはワクチン接種完了の条件などがあります。 https://www.tatnews.org/2021/10/phuket-sandbox/
 
【BCG(Bio-Circular-Green)経済モデルにより経済の回復を目指すタイ】 BCG経済モデルは、「バイオ経済」、「循環経済」、「グリーン経済」の考えを統合したものです。「バイオ経済」は、生物資源の活用を通じた経済活動、「循環経済」は、資源の再利用とリサイクルを通じた経済活動、「グリーン経済」は、経済、社会、環境のバランスを保ち、持続可能な開発につながる経済活動を意味しています。
 
◆BCG経済モデルにおける最新の政府公表 ジュラポン・タウィーシー工業省副事務次官は2021年9月29日オンラインで「ECOイノベーションフォーラム2021」の開会式を主宰し、タイ工業団地公社(IEAT)とタイ工業連盟(FTI)との共同で、タイ産業を推進する方向性の方針のBCGモデルを発表しました。
 
(工業省ジュラポン・タウィーシー工業省副事務次官のコメント) 工業省はIEATと共同で産業経済推進委員会を設置し、産業界と緊密に協力しながら運用のメカニズムを策定する 民間セクターを含めた委員会でBCGエコノミーモデル(特に循環経済とグリーン経済)といった新しい経済開発を推進するための仕組を作っている 生産工程管理の効率化、資源・原材料のコスト効率の向上や、工業用水およびエネルギー管理の効率を向上させるなど、工場、工業団地、エコ工業都市それぞれがエコ産業開発ガイドラインに従うことにより、産業部門が環境や社会に与える影響が低減する 工業省としては、具体的な方法でエコ産業を発展させ、強化するための主要な機関となり、持続可能な開発に基づいてビジネス上の利益だけでなく、環境にやさしい産業の発展や、地域住民や社会との共存に注力する
 
(IEAT総裁ウィリス・アムラバーン氏のコメント) タイ産業の発展は、国の経済発展のために重要です。ただ経済面を発展させるだけでなく、持続可能な国の産業分野を発展させるとともに、運用の枠組みを提供し、国の発展の方向性を決定する
 
このような開発には多くのリソースが必要ですが、将来的には不足する可能性があります。そのため、産業だけでなく社会と環境にとって持続可能な開発目標(SDGs)が必要となる
 
20年の国家戦略枠組(2018-2047)に従って、BCGモデル政策を推進するエコ産業開発もすすめる。BCGモデルは、環境と経済の両方で持続可能な開発を推進する経済発展の重要なエンジン。工業団地公社は、その重要なメカニズムとして、エコ産業都市の開発を通じてBCGモデルを推進する FTIとIEATは、環境にやさしい経済成長を実現するために産業界を発展させる同じ方向性の方針を掲げています。企業が持続可能な開発をおこない、社会的責任 をもつエコ工場となる基準を証明するために、両者は協力する意向を表明しました。
 
◆エコ産業都市のグレード エコ産業都市のアップグレードを具体的に開発するために、これは最も重要な基準の1つになります。エコ工場は、物理的、経済的、社会的、環境的、管理的な5つの側面で22の項目からなるエコ産業基準の要件を満たしている必要があります。
 
FTIとIEATは工場局と提携しエコ工場基準の推進・認証を拡大していきます。これは、国のエコタウンをアップグレードするための標準でもあります。政府のBCGモデル政策を促進していけるよう、あらゆる規模の業界に適合できる認証レベルを3つのレベルに調整しました。※
 
レベル1. エコファクトリービギナーは、中小工場に適した基準 レベル2. エコファクトリー現在工業省が認定するグリーン産業レベル4に相当する レベル3. エコファクトリープラス 政府が推奨するBCGモデルをバリューチェーンネットワークへ広める
 
スリヤー工業大臣は2025年までに国内にある約71,130か所の工場をグリーン産業に発展させる目標を制定しました。タイ工業連盟はすべての会員企業が、2025年までにエコファクトリーまたはグリーン産業と認定する目標をたてています。
 
※(工業省が定めるGreen Factory の基準) Level 1 (Green Commitment) 環境に配慮した組織の方針や目標を定め組織全体が認知すること Level 2 (Green Activity) 環境絵の影響を低減するために定めた目標と計画方針に沿った具体的な活動の実施 Level 3 (Green System) 環境への影響を継続的に低減するためのモニタリング、また環境対策に関する表彰を受けるか、環境保全に関連する基準の認定を受ける。 Level 4 (Green Culture) 組織の誰もが環境保全を意識し、環境にやさしいビジネスを行うためにあらゆる面で協力し活動をおこなっており、それらが企業文化の一部となっている Level 5 (Green Network) 組織の中だけでなく、パートナーや外部へグリーン産業を推奨し範囲を拡大させる タイ工業省工場局ウェブサイトより抜粋
 
また、BCGモデル促進支援は地方産業においても進められています。
 
◆地方におけるBCGモデルの導入支援
  • 工業省の地方産業支援(経済的価値10%以上増を目指す方針)
工業省は、全国の地方産業を支援し、BCGモデルを地域経済の発展に導くという方針のもと、南部の14県で、25社の企業でプロジェクトの導入が行われました。環境保護、大量の廃棄物の削減を行うことにより経済的価値を10%以上高める効果があると考えられています。
 
ウォラワン・チットアルン工業副事務次官は「BCGはタイ産業を前進させる」というテーマのセミナーを開催し、政府が掲げているBCGモデル(Bio・Circular・Green)がタイ経済を強固で持続的に成長させるための基盤として重要だと発言しました。
 
(ウォラワン・チットアルン工業省副事務次官のコメント) 工業省は、地方産業での生産の効率化を図るために、全国の各県の可能性に合わせてBCGモデルガイドラインを採用している。廃棄物の削減や再利用で収益を増やすことによりその結果、社会や環境にとっても持続的に成長可能な産業として発展していけると考えられている。   南部の14の県は、豊富な天然資源、強力な加工設備、そして国内外の様々な地域とのつながりを持っていることから、ターゲット産業や物流の製造拠点としての適切な空間的利点をもっているため、BCGの経済の効果を最大限に引き出すと考えられる
 
  • タイ南部での具体的な取り組み例
工業省ナコーンシータマラート県支部長のワッチャリン・チャイヤヌポン氏は、2021年度のBCG概念枠組は、生産コストの削減、製品の付加価値の創造、そして持続的な成長を通して中小企業の競争力を高めることができる工業省のプロジェクトの一つであるしています。
 
南部の14県パッタルン、ナコーンシータマラート、スラータニー、チュムポン、ラノーン、パンガー、クラビー、プーケット、トラン、サトゥン、ソンクラー、パタニー、ヤラー、ナラティワートの中小企業は、本プロジェクトにおいて、モンクット王工科大学と共同でバイオ経済、循環、グリーン経済の促進と発展に関する詳細な協議活動を展開しました。
 
このプログラムに応募した33社の内25社の企業が選ばれました。 内訳として8社のバイオ産業分野、7社の循環産業分野、10社のグリーン産業分野に分かれています。
 
(ワッチャリン・チャイヤヌポン支部長のコメント) 綿密なアドバイスを行ったその結果、研究開発事業者との連携により、様々な分野で効果が得られることがわかった。生産ラインやシステムの改善など幅広いBCGモデルの開発ガイドラインを準備して適用させる
 
バイオ産業分野に参加している8社はあたらしい生物素材を用いた新製品の開発に注力。循環産業分野の7社は3R(Reuse/Reduce/Recycle)を含む生産プロセスの適用に焦点を当てている
 
グリーン産業分野は資源の効率的な使用と資源消費の削減に焦点を当てた。モニタリングシステムを活用したエネルギー消費と電力削減に参加した企業は10社 今回の取り組みによって、経済的価値を少なくとも10%増加させることができると考えられています。社会開発・環境保護と共に経済発展するというタイ政府の開発目標に沿った産業の強化を図っています。
 
2021年10月配信
2021年10月21日 メルマガ第9号 【条件付き緩和 再入国 観光業の再開】
 日本でも、タイでも毎日の感染者数は減少傾向にありますが、バンコクではまだワクチン接種率が37%にとどまっており、日本から供与を受けたり、海外からのワクチンの購入を行うなどワクチン接種の促進を急いでいます。現時点ではワクチンの接種が経済復興の重要な手段であるとの政府の考えがあり、それらの進捗により観光客の受け入れ再開をはじめタイ国内経済の盛り返しが期待されています。
 
【タイ非常事態宣言の条件付き緩和】  2021年9月1日に非常事態宣言の一部が緩和され、人々の行動範囲が条件付きで開放されることになりました。
 
条件付きの緩和の例は以下の通り ・教育機関は政府が定める感染予防対策を順守すれば運営が可能 ・レストランや飲料を提供する店は、アルコール飲料の提供を行わず、入店者を通常の50%までとし、20時までの営業であれば運営が可能 ・ホテルロビーにある飲食店や屋台などは、換気が良く、入店者が通常の75%までであれば運営が可能 ・マッサージ店は、足のマッサージ施術のみであれば営業が可能
 
・ヘアサロンは、原則予約制とし、サービスを一人につき1時間、散髪メニューのみであれば、営業が可能 ・ショッピングモールやコンビニエンスストアは20時まで営業可能
 
これらの条件の適用期間は、2021年9月1日から30日の間で、その後延期されるか新たな緩和条件が設けられるか、改めて政府から発表される予定です。
 
【観光業について】  タイ政府は、以前に宣言されたとおり、2021年10月以降に観光客の受け入れを再開することを念頭にいれ、段階的に制限の緩和を行う方針を発表しました。 パイロットプランとして実施した「プーケットサンドボックス」は、結果、7月からの累計で26,000人にとどまり、国内の観光業を含む経済が深刻な打撃を受けていると捉え、規制緩和を急いでいるひとつの原因として考えられています。 10月からは段階的に、チョンブリー(パタヤ)、ペチャブリー(シャアム)、プラチュワップキリカーン(ホアヒン)そしてチェンマイが、観光客の受け入れを再開し、その後21の県が条件付き開放される予定となっております。 現在、該当地域のワクチン接種を加速させて、観光客受け入れの体制を整えるガイドラインの制定を急いでいます。 バンコクについては、当初2021年10月1日の再開の予定となっていましたが、2回目のワクチン接種を完了した住民の割合が目標の70%に満たないため、10月15日に延期されました。 これらはワクチン接種済の観光客を隔離なしで受け入れるというものです。ガイドラインについては現在政府が話し合いを行っている段階ですので、詳細が発表され次第またメルマガでお知らせします。
 
【タイのコロナ感染状況】  2021年9月16日の発表では、新規感染者が13,897名、死者188名とタイでは依然一日1万人以上の新規感染者が報告されており、深刻な感染拡大や病床圧迫が問題となっています。 国内の様々な場所で感染拡大のクラスターが発生しており、ナコンラチャシーマー県やチョンブリー県、チャイヤプーム県で報告されています。主には食品加工工場や軍施設、刑務所などが挙げられています。新型コロナ感染対策センターでは、多く人が集まるような場所は感染拡大のクラスターとなり得る可能性があると言及しています。例として葬儀、各種イベント、生鮮市場、レストラン、工場や会社、建築現場、人が集まるようなパーティ(現在は法律で禁止されています)はその確率が高いとされ、過去にもクラスターが発生した例もあります。管理責任者は政府でも、民間でもしっかりと感染防止対策に努めてほしいと呼びかけています。
 
【タイ駐在員の一時帰国から再入国の手続き】 タイに駐在している日本人がワクチン接種などのため一時帰国されるケースがありますが、その場合再入国の際にはCOE(入国許可証)の発行が必須となります。(9月17日現在) 2021年1月以降にタイへ入国された方はCOEを取得されていると思いますが、その時と同様に再入国COEを取得するために以下のことが必須となっています。 ・医療保険(今回のタイ入国日から最低1年の期間、1年未満の場合は期限内にタイを出国する日程の航空券、もしくは雇用主からの保証書が必要です。)※注 ・航空券 ・ASQ(支払い済みであることがわかるASQ予約票が必要です。) ・PCR陰性証明書
 
※注 コロナ保険は契約から1年間有効のものが多いようです。再入国の場合は残存期間が1年未満となってしまうため、COE申請で帰国日時を期限内にしなければなりません。 保険会社に‘契約は自動更新’といった文言を記載してもらうように依頼するか、それが難しい場合には雇用主から申請者のタイ滞在の全期間を対象とし、新型コロナウイルス関連疾病治療費の補償をするといった内容のレターを添付することで申請が認められることがあります。
 
その他 ・ビザとワークパーミットについては継続して使用することを仮定しています。 ・医師の健康診断書は不要となりました。
 
詳細は在京タイ王国大使館ウェブサイトをご確認ください http://site.thaiembassy.jp/jp/news/announcement/9763/
 
【タイ政府が実施するタイ在住外国人向けのワクチン接種情報】 タイ国内でも外国人向けのワクチン接種が行われています。 在タイ日本大使館に予約登録方法や実施病院の詳細が掲載されていますので、接種を検討されている方はウェブサイトをご確認ください。 https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/news_20210914.html
 
2021年10月1日以降、入国規制の緩和が開始された場合、これらの条件にまた変更があると思いますので、逐次メルマガでご案内できればと思います。
 
2021年9月配信
2021年10月21日 メルマガ第8号 【タイ感染再拡大に伴うロックダウン】
すでにニュースなどでご存じの方も多いかと思いますが、タイでは急激な新型コロナウィルスの感染者拡大の状況から、これらを打破するために特定地域のロックダウンをしなければならないと政府が方針を固めました。
 
2021年7月1日に観光事業再開の皮切りのため「プーケットサンドボックス」制度が始まり、外国からワクチンを接種した観光客受け入れを開始しましたが、2週間も経たないうちに、緊急事態宣言を発令しなければならない状況になっています。
 
2021年4月下旬から急激に感染者が増え、その感染拡大に歯止めがかからないタイは1日の感染者が9,000人を超え(7/8データ)、バンコクとその近隣県および南部に2021年7月12日より正式に緊急事態宣言が敷かれることになりました。
 
【緊急事態宣言に伴う様々な制限】2021年7月9日発表 対象地域: 感染の状況が特に深刻な首都近郊6県(バンコク、トンブリー、パトゥムタニー、ナコンパトム、サムットサーコン、サムットプラカーン) 南部4県(ソンクラー、パッタニー、ヤラーそしてナラーティワート)の合計10県
 
期間:  2021年7月12日から14日間   内容: 1.国民の行動に関する制限(首都近郊6県)
 
・21:00-4:00公共交通機関の運行停止 ・20:00-4:00 コンビニエンスストアおよびナイトマーケット閉店
 
・デパートやショッピングモールは日用品を販売するスーパーマーケットや飲食に関係する店舗のみ営業 20:00閉店
 
・飲食店での店内の飲食は原則禁止 持ち帰り販売のみ可 20:00閉店
 
・マッサージ店、スパおよび美容サロンの運営禁止
 
・公共公園20:00以降の利用禁止
 
・政府機関および民間企業はできる限りのテレワークを行う
 
・5人以上の集会の禁止(特別な任務や宗教活動を除く)
 
2.不要不急の外出を禁止する(首都近郊および南部 全10県) ・不要不急の夜間(21:00-4:00)の外出の禁止(飲食の購入や病院、ワクチン接種などは含まれない)
 
・7月10日より県をまたぐ移動について関連機関に監視強化を要請
 
・教育機関の授業は全てオンラインで行う
 
3.医療面(首都近郊6県)
 
・感染者をいち早く分離するために、検査機関を増やす
 
・ワクチンの配布計画を見直し、60歳以上の高齢者及び基礎疾患のある人への接種を加速させる。二週間以内に100万回接種の目標を設定
 
・海外から寄付されたワクチン(ファイザー製とアストラゼネカ製)のものは高齢者、基礎疾患のある人、海外渡航の予定がある学生・スポーツ選手・外交官などへ割り当てられる
 
・ファイザー製のワクチンについては医療従事者の追加投与分として最優先される 以上
 
【プラユット首相PCR検査結果陽性】 2021年7月5日よりPCR検査の結果が陽性と判断されたプラユット首相は在宅隔離を自主的に行い、オンラインなどで会議に参加し職務を行っているようです。7月1日に開幕した「プーケットサンドボックス」のセレモニーに参加したのち、同セレモニーの参加者に感染者がいたことが判明しました。 その後の検査で首相自身も陽性の結果が出ましたが症状は特にみられないようです。引き続き健康状態を注意深く監視し続けながら、通常通り職務を遂行していく予定です。
 
【タイで初めてコロナウィルスによる邦人の死亡が確認】 2021年7月7日にサムットプラカーン県で75歳の男性邦人の死亡が報告されています。 新型コロナウィルスによる邦人の死亡は初めてとのこと。
 
【タイ在住の外国人のワクチン接種について】 タイのワクチン接種進行状況は2回の接種を終えた人の数は325万人強で全国民の約4%にとどまっています。 タイに駐在する外国人についてはその駐在理由によって、ワクチン接種の予約方法がことなるようです。 例えば外交官として派遣されている場合にはその家族も含め国内に約7000人いると登録されており、感染症対策センターにも情報が共有されワクチンの確保がされているようです。また政府関係機関の駐在事務所にいらっしゃる方は、外務省を通して申し込みができるようです。 タイに留学している学生は高等教育科学研究革新省が管轄しています。 その他民間企業などに務めている外国人やその家族は健康省の管轄で7月7日よりワクチン接種の受付が開始されたようです。
 
今後も随時情報が発信されていくと思いますので、現在タイにお住まいの方、今後渡航を予定されている方は、タイ政府および日本大使館や外務省などの情報など確認してください。 一日も早い状況回復のために一人一人感染防止を心がけましょう。
 
【学術セミナー タイ外務省と在日タイ大使館共催のオンラインセミナー】 タイ外務省は在タイ日本国大使館と共同で、「Envisioning the Future : Thailand-Japan Strategic Economic Partnership(未来を見据えた日タイの戦略的経済連携)」と題した学術セミナーを2021年7月21日(水)にオンラインで開催します。 本セミナーではタイの副首相兼外務大臣を基調講演者とし、パネルディスカッションでは日本とタイの主要な民間セクターの経営者や専門家、学者を招いて、両国の現状と今後の経済協力について両政府の見解を聞きながら、今後のさらなる経済連携の方法について探っていくという内容です。
 
2021年7月配信
2021年10月21日 メルマガ第7号 【入国制限緩和】
日本でも昨年初めて発令された緊急事態宣言より約1年が経ちました。 季節は春を迎え各地から桜の便りも聞こえ、新年度を迎える方々も多いと思います。 世界各国では依然ウィルス感染拡大のニュースが生活の多くを占めているかもしれませんが、ワクチンの予防接種が世界各地で進み、長く続いている感染拡大を止める対策の切り札として期待されています。 *弊社ウェブサイト修理点検作業のため、メルマガの送付を一時中断しておりましたが、再開いたしました。次号からまた経済情報を中心に皆さんにお届けしたいと思いますので、新年度もよろしくお願い申し上げます。
 
【タイ新型コロナウィルス感染状況】 タイ国内の新規感染者は2021年3月30日付けで48名増 累計28,821名となっています。 日本と同様タイでも医療従事者を優先的にワクチン接種が開始され、その効果に日常生活の制限緩和や経済活動の復活に期待が高まっています。
 
【海外からの渡航者に対する隔離制限の緩和】 タイ政府は条件付きで2021年4月1日よりそれまで設けられていた外国からの入国者に対する隔離期間を14日間から10日間へ短縮することを発表しましたが、新型コロナウィルス変異株が検出されている国(南アフリカ、ジンバブエ、モザンビーク、ボツワナ、ザンビア、ケニア、ルワンダ、カメルーン、コンゴ、ガーナ)からの入国に関しては、現在タイが導入しているワクチンの効果が薄いと考えられ、今まで通り14日間の隔離が義務づけられています。
 
2021年4月1日からの隔離期間短縮の流れは大きく三段階にわけられ、それぞれの規制緩和条件などについては以下の通りです。 フェーズ1(2021年4月1日~6月30日)フェーズ2(2021年7月1日~9月30日) ワクチンの接種、未接種に関わらず、出発前72時間以内に発行された「新型コロナウィルス陰性証明書」を持っている外国人の隔離期間は10日間(隔離中PCR2回) 状況を見て将来的に7日間へ短縮(ワクチンを接種している人は隔離中PCR検査1回/していない人は2回)
 
フェーズ3(2021年10月1日~) 全国伝染病委員会によって、リスクが高いと指定された地域からの旅行者のみ隔離が必要となる。隔離方法についてはITを使った監視方法が導入される予定
 
*ただし、変異株が検出されている国からの入国に関しては、今まで通り14日の隔離と隔離中3回のPCR検査が義務付けられています。
 
フェーズ3の2021年10月には医療従事者と基礎疾患のある人々へのワクチン接種が7割程度完了している見込みで、また順調にすすめば旅行業に従事している人たちへの接種も行われ、感染拡大が落ち着いている地域からの旅行者受け入れが開始できると期待されています。
 
一方、タイ政府は感染状況の管理を継続するために、現在発令されている緊急事態宣言を2021年5月31日まで延期することを発表しています。 4月に新年のお祝いとされるソンクランを迎えますが、感染防止対策センターは公のイベントの開催を禁じています。寺院などで行われる宗教的な活動、例えば仏像に水をかける行為や僧侶から頭や手に水をかけてもらうこと、については通常通り行ってもよいとされていますがグループで水かけを行うことコンサートの開催、粉や泡状のものを塗りあったりする行為は禁止されています。県をまたいで移動する際も感染防止対策を厳守して密集地をさけ換気を行うよう心がけるよう呼びかけています。
 
ワクチンパスポートの導入については、外務大臣が他国との話し合いが必要と述べています。相互認証協定(MRA)モデルを使用して両国の受け入れ準備状況を確認したり、新型コロナウィルスの感染防止管理において良好な発展を遂げている国々の動向を参考に検討していきたいと考えています。
 
2021年3月配信
2021年10月21日 メルマガ第6号 【タイ政府のコロナ救済措置】
2021年新しい年を迎えました。 昨年は世界中の人々が経験したことのないような事態が起こり、通勤通学、人との交流、国内や海外への移動などそれまで普通にできていたことが制限され日常に様々な影響を受けた一年となりました。 新しい年を迎えても、その脅威はまだ続いており、社会や経済において混乱は続いていくかもしれません。 これからも感染を広めないために自分たちになにができるのか、一人一人の心掛けが大切になってくると思います。 また、そのような状況の中でも、各国が事業救済の政策をあげて、経済を盛り上げていけるよう支援を行っています。 個人も企業も新しい日常に順応していくため模索する一年となるかもしれません。 微力ながら少しでも有意義な情報を提供できるように努めてまいりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
【タイの新型コロナ感染状況】 2021年1月19日付けの発表で累計感染者数は12,594名(前日+171)バンコクでは生後9か月の乳児が最年少の感染者として確認されています。 しかしながら、感染者数は徐々に減少傾向にあり、政府は国民の移動の制限や感染防止のルールの順守への協力に謝意を示しています。 ワクチンの承認に関しては、国内外の様々な企業が開発を行っていますが、国内の薬事法に基づいた慎重な検査を行い副作用などの問題をクリアしてから慎重に承認を行うと首相は発言しています。
 
【タイ政府の2021年コロナ救済措置】
 
タイ政府は新型コロナの影響を受けた国民への新たな救済措置として、光熱費の値下げおよび2カ月間一人当たり3500バーツの助成金を支払うことを検討していると発表しました。 2021年1月12日プラユット首相兼国防相は副首相とエネルギー大臣と協議し、新型コロナ流行による影響を緩和するための新しい経済措置を練っていると述べました。 その内容は2か月の電気料金割引などの公的費用を削減する対策があります。
 
また、デジタル経済社会省と国家放送通信委員会(NBTC)は、さまざまなネットワークサービスプロバイダーとの協力を求めて、ホームインターネットの普及と速度を向上させます。モバイルインターネットの普及は在宅勤務もサポートすると考えられています。 また一般の人々がアプリケーション「Mor Chana」(新型コロナ追跡アプリ)を3か月間無料でダウンロードすることができます。  「コンラクルン」プロジェクト(政府の一般消費者向け補助金制度)は、国民の生活を助け、経済を前進させることもでたということを発見しました。 したがって、政府は2021年1月末にさらに100万件の新規登録を開始することにしました。 この機会に、首相は影響を受けたすべての人々を対象とする所得救済政策についても検討しています。  新型コロナ流行の現在の状況と今後さらに状況が悪化する可能性を考慮に入れ適切な支援を検討するためフリーランスや自営業の農家に対して、2か月間、1人あたり月額3,500バーツの補助金の支払いについて財務省に適切かどうか検討するよう伝えました。 また、企業や一般の人々を援助するために財務省とタイ銀行は、経済の流動性を高めるために低金利ローンの対策を講じています。
 
【工業省が企業にテレワーク5割を協力要請】 スリヤ工業大臣はCOVID-19の感染拡大が最も深刻な28の県で感染拡大防止をより徹底するため、2021年1月5日から労働時間の50%を在宅勤務とするよう協力を求めました。 新型コロナ感染の再拡大をきっかけに、それらがさらに多くの地域に広がる恐れがあり、政府は法的措置を通じて状況を解決し、 拡大を阻止するため対策を定義・実施する必要があり、流行のリスクを最大限に抑えるため政府が発表した措置を行うためには、民間の企業と一般市民の両方の全面的な協力が必要になると述べました。 (28県:バンコク、カンチャナブリ、チャンタブリ、チャチェンサオ、チュンポン、チョンブリー、トラート、ターク、ナコンナヨック、 ナコンパトム、ノンタブリー、パトゥムターニー、プラチュワップキーリーカン、プラチンブリー、アユタヤ、ペッチャブリー、ラチャブリー、 ラノーン、ラヨーン、ロッブリー、シンブリー、サムットプラカーン、サムットソンクラーム、サムッサコン、スパンブリー、サケーオ、サラブリー、アントン、など) これらの28県には5万弱の工業施設があり、それらで働く従業員は300万人にものぼります。産業プラントにおけるウィルスの蔓延を効果的に防止し制御するために、 工場内外の人との接触を減らし、ルールに従ってほしいと述べています。 最も感染拡大が深刻な地域の企業に感染拡大防止のため具体的に以下のルールについて協力を要請しています。 1労働者の労働時間を調整する  2すべての従業員の体温測定や旅行履歴のチェックを行う 3従業員をランダムPCR検査を行う 4感染者のための検疫施設の準備 5新型コロナ感染防止のためのガイドラインを公表する(距離/マスク着用/手洗いなど) 6 Mor Chanaアプリを使用して、感染のリスクを監視する。そして、工場運営者は、公衆衛生省または他の関連機関の発表に従うか政府のプレスリリースをこまめにフォローする
 
【工業省自体の職員向け運用ガイドライン】 また、工業省職員の勤務上の運用ガイドラインを以下のように設定しています。 1職員の出勤を分散させ作業時間の調整を行う 2各部門の政府職員と従業員が労働時間をシフトすることを考慮して、労働力の50パーセントを自宅勤務とし敷地内の混雑を減らす ビデオ会議、ビデオ通話、LINEアプリケーションなどのツールを利用するため、情報セキュリティの安全性を高める 全ての業務をオンラインで行うには職務の遂行に問題がありますが、省の仕事を推進するという使命により一貫したパフォーマンスを維持することができます 3工業省で働くすべての職員に体温測定を行う 4感染防止のガイドラインを遵守する(距離/マスク着用/手洗い/テスト/タイチャナ) 5Mor Chanaアプリ(濃厚接触者追跡アプリ)を使用して感染のリスクを監視する
 
工業大臣は「タイの新型コロナ感染拡大の第2波はすべてのセクターに影響を与えるため工業省は、予防と監視の必要性を認識しています。 したがって、今回工業省から告知依頼が出されました。最も感染拡大が深刻な地域の事業所への協力を求めタイがこの危機を乗り越えることができるように 全国の工業省職員新型コロナの予防と管理のガイドラインを遵守してください」と語りました。
 
2021年1月配信
2021年10月21日 メルマガ第5号 【年末年始の入国規制 BOI政策2021】
2020年12月に入り、新型コロナウィルスの感染が世界的に再拡大している状況はタイも例外ではありません。 入国制限も緩和ムードからまた厳しい取り締まりが行われ、国民の安全と健康を一番に考えた感染拡大を最小限にとどめようという政府の姿勢がみられます。 ただ、来年度のワクチン流通を見越して投資推進策を掲げ経済の回復を期待しています。 2020年はビジネスにおいても日常生活においても、今まで経験したことのない事態が多くの人に降りかかりました。 このような状況においても、様々な工夫や発見を通して新しい日常に対応していく人間の強さを実感した一年でもありました。 2021年は多くの人にとってより良い飛躍の年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
 
【日本の水際対策の強化】 すでに発表されている通り、日本も新型コロナウィルスの感染再拡大を受け、外国からの入国について厳しい措置が行われることになりました。タイは“上陸拒否国”ではありませんが、原則として全ての国・地域からの新規入国が来年度1月末まで拒否することとなりましたので、入国を検討されていた方は詳細を外務省ウェブサイトなどで確認してください。
 
以下日本外務省のウェブサイトからの抜粋
  • 全ての国・地域からの新規入国の一時停止
  2020年年10月1日から、防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件として、原則として全ての国・地域からの新規入国を許可しているところですが、2020年12月28日から2021年1月末まで の間、この仕組みによる全ての国・地域(既に12月23日及び25日に決定を行っている英国及び南アフリカを除く) からの新規入国を拒否することとなります。
 
(注1)上記に基づく措置は、2020年12月28日午前0時(日本時間)から行われます。 (注2)この仕組みを使うことを前提とした発給済みの査証を所持する者については、原則として入国を認めます。 ただし、本邦への上陸申請日前14日以内に英国または南アフリカにおける滞在歴のある者、並びに2021年1月4日午前0時(日本時間)以降の入国者で、本邦への上陸申請日前14日以内に感染症危険情報レベル3(渡航中止勧告)対象国・地域における滞在歴のある者を除きます。
  • 全ての国・地域への短期出張からの帰国・再入国時における特例措置の一時停止(日本国籍者も対象)
  2020年11月1日から、日本在住の日本人及び在留資格保持者を対象に、全ての国・地域への短期出張からの帰国・再入国時に、防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件に、14日間待機緩和を認めているところですが、 2020年12月28日から明年1月末までの間、この仕組みによる全ての国・地域(既に12月23日及び25日に決定を行っている英国及び南アフリカを除く)からの帰国者・再入国者については14日間待機緩和を認めないこととします。
 
【タイの新型コロナ感染拡大最新状況】 プラユット首相は22日の国営放送で国内の感染状況について言及しました。 「2020年の12月は世界で最悪の新型コロナウィルス状況となっています。流行以来いくつかの国では、 1週間で数百人の方が死亡したと報告されています。何千人もが亡くなった国もあります。 今後一週間以内の世界的な感染拡大状況の悪化は必然的にタイに悪影響を及ぼします。 そして、私たちは早急に対処する準備をしなければなりません」とプラユット首相は言いました。 首相は、タイは外国からの入国緩和措置について依然として警戒する必要があると述べました。 新型コロナウィルスを国内に持ち込むリスクを防がない限り、医療関係システムの問題を引き起こし、 そして経済的損害はそれよりも何倍も多く、タイは今すぐに警戒を強める必要があると述べました。 それまでタイは新型コロナウィルスの感染拡大を最小限にとどめていました。 しかし国内の限定的なエリアで集団感染が発覚し、それらが全国へ拡大することに非常に危機感を募らせています。 公衆衛生局は2020年12月277日正午時点 累計感染者数6,141名(前日+121名)となったことを発表しました。 ニュースでも発表されていますが、サムットサコン県のエビ市場を感染源とする事例が多くみられており、 他県でも感染者が見つかっています。 感染者が見つかっていない県もあり、それぞれの地域で落ち着いた対応が求められています。 サムットサコン県のエビ市場へ行ったことのある人はすぐに、対応機関への連絡を行ってくださいと繰り返し伝えられています。
 
タイは現時点で感染拡大地域のロックダウンなどは行いませんが、外国人労働者の入国管理を厳しく取り締まり、対象地域やバンコクの新年を迎えるイベントの開催などに制限を設ける必要があるとされています。 個人の活動には制限はありませんが、人の密集をしないようにするなどそれぞれが心がけ安全に年末年始を過ごすよう呼びかけています。
 
【将来の景気回復に備えて】 BOI は2021年の大規模な投資促進環境を構築するため経済に関連する官民セクター30機関と話し合いの場を設けました。 大規模な投資を刺激するための戦略を決定するために、起業家との話し合いを促進し 2021年にタイ経済の回復と推進投資環境を作りたいと考えています。
 
タイ投資委員会(BOI)のドゥアンジャイ総裁は2020年12月23日、BOIは30以上の主要な公的機関と民間組織との会合を開催し、2021年にタイ経済の回復と投資のムードの向上に役立つ投資促進策の決定に有益な意見や提案を交換する機会を設けました。 この会議に出席した公的部門と民間部門は、国家経済社会開発評議会NESDC(前身はNESDB)、 東部経済開発政策委員会、外務省、タイ観光庁、COVID-19状況管理センター、銀行、 また国の経済を牽引するエネルギー、石油化学、小売業、電気通信、工業団地、ホテルなどの重要な産業から参加しました。 「世界の経済見通しは、良い方向に向いています。ワクチンの開発は各国で明確な進歩がありこれにより、ASEAN地域の経済の戦略的な位置にあるタイに2021年も投資ムードの回復が利益をもたらすという自信につながっています。したがって、BOIは、投資家との信頼を築き、新しいビジネスをサポートするための対策を見つける準備をしています。 そしてそれは将来的な成長期待されるでしょう」とドゥアンジャイ氏は述べました。 今回の会合は政府とBOIが方針を変更する準備があることを示しています。 そして、技術やビジネス環境に合わせた各業界団体のニーズに応えるための投資促進策として、タイ企業の世界での競争力を高めるために政府、銀行、民間セクターの意見を取り入れます。 ドゥアンジャイ氏は、2020年の9か月間(1月~9月)には、起業家は新しい投資を延期する傾向にありました。 しかし、生産効率を向上させるための措置による追加投資の要請は増加しました。 今回発生した危機の下でそれをビジネス機会として反映させタイの起業家は、将来の経済回復に備えるために調整を行っています。 したがって、世界経済が回復したときタイの業界もまた、新しい投資が行える支援をする準備ができています。
 
【BOIによる2021年の経済刺激策】 タイ投資委員会(BOI)は2020年12月23日、2021年度の投資を刺激するために、少なくとも10億バーツ相当の投資プロジェクトに対する5年間の50%の法人税控除を含む追加措置を承認しました。 これらの措置で実際の投資を刺激することを目的としています。 また、申請の期限は2021年の最終営業日まで有効となっています。 BOIは通常、最長8年間の法人所得税の免除を提供しています。 政府は、東部経済回廊(EEC)の企業に、最大13年間の法人所得税の免除と、最大5年間の50%の減税を提供しています。 BOI総裁ドゥアンジャイ氏によると、理事会はまた、チェンライ、カンチャナブリ、ムクダハン、ナコンパノム、ナラティワート、ノンカイ、サカオ、ソンクラー、タク、トラットの10県の経済特区での投資プロジェクトにさらに2年間のプロモーションの延長をすることに合意したと述べました。 この措置は、3~8年間の法人所得税の免除の特権を持つ300のカテゴリーの投資を対象としています。 農業、漁業、繊維、衣料品、皮革、家具、宝飾品、装飾品など、対象となる14の産業について、投資家は5年間の追加の50%の法人所得税控除を受ける資格があります。 過去には2015年以降、190億バーツ相当の84のプロジェクトが、経済特区でのBOI特権を申請しています。 投資の大部分は、70億バーツ相当のゴム手袋製造のためにソンクラーに向けられました。 さらに、理事会は、南部地域の投資を促進するためナラティワート、ヤラ、パタニ、サトゥンまたソンクラーの4つの地区への措置について、さらに2年間の延長(2021-22)を承認しました。 最小投資額はわずか50万バーツで、既存の機械も使用できます。すでに投資しているプロジェクトがある場合は既存のものと新しいプロジェクト両方で恩典が受けられます。 投資家は、カテゴリーに応じて、3年、5年、および8年の法人所得税の免除を受ける資格があります。
 
理事会はまた、EEC事務局の提案に従い、ブラパ大学にゲノミクスの新しい経済特区を設立することを承認しました。 投資家は、航空産業EEC(EECa)、デジタルEEC(EECd)、イノベーションEEC(EECi)の分野で同等のプロモーション特権を得る資格があります。 その他、将来的に製造・サービス業界の競争力を高めるためデジタル技術の効率を改善するための措置が承認されました。投資の必要なソフトウェアやその他の情報システムの実装などの機械または装置を管理するために、人工知能(AI)の適用、機械学習、ビッグデータの使用、またはデータ分析、オンライン決済の導入などにより投資家は3年間法人所得税の免除を受けることができます。
 
2020年12月後半配信
2021年10月21日 メルマガ第4号 【高速鉄道 タイ航空 交通機関】
経済において東南アジアを牽引していく存在となるよう、産業技術の発展だけでなく、 インフラ環境の強化にも力を入れているタイ。 国内を走る高速鉄道は東西南北、着々と建設準備が進んでいます。 また、新型コロナの影響を受けた航空業界の経営再建に向けた動きなど、活発な経済界のお知らせと年の瀬ということで、今年国民に降りかかった不測の事態をねぎらうような、タイらしい心が温まるようなニュースも一緒にお届けします。
 
【タイ高速鉄道計画】 2020年11月26日チャイタム・プロムソン運輸省事務次官はタイ王国政府と中華人民共和国政府との協力プロジェクトの建設に関する協定覚書に署名、調印式にはプラユット首相も出席した。 またバンコクとタイ東北部の中心都市ナコンラチャシマを結ぶ高速鉄道計画(総延長253キロ)について、101.2キロの区間のトンネル、駅などを含む土木工事をイタリアンタイ・デベロップメント(ITD)など建設会社5社に発注した。 これはタイとラオスと中国を結ぶ戦略的ルートとなり、将来的には東南アジアとヨーロッパを鉄道で結ぶ21世紀のシルクロード・イニシアティブ(BRI)の一環となっています。 プロジェクトが完了するとタイの交通インフラの基盤を築き地域の輸送と物流の中心として貿易・投資・観光など国の産業発展をサポートします。 この高速鉄道は両国をより緊密に結ぶネットワークであり、知識を交換し協力して技術を開発することにより更なる利益を生むことが期待されるでしょう。
 
合計投資額は506億バーツでバンコク-ノンカイ(フェーズ1、バンコク-ナコンラチャシマ)の間の253kmの距離を結ぶ高速鉄道システムを開発します。 高速鉄道プロジェクトの最初のフェーズであるバンコク-ナコンラチャシマ箇所には、バンコク(バンスー)、ドンムアン、 アユタヤ、サラブリ、パクチョン、ナコンラチャシマの合計6つの駅があります。 タイ側はプロジェクト全額出資し、中国側は土木工事の詳細設計を担当しています。 土木工事の管理レールシステムと電気機械システム、操作制御システム、高速列車案内の設計と設置に関して現在、シーキウ-クッチック間(ナコンラチャシマ県内)の建設は42%以上進んでおり、2026年に完全に稼働する予定です。
 
【タイ航空の事業再編計画】 タイ航空は2021年の貨物輸送を拡大し、旬な野菜と果物の輸出を促進して来年度の収入を増加させる計画を発表しました。
 
タイ航空の航空ビジネスサービスを担当するエグゼクティブバイスプレジデント、スワタナ・シブンルアン氏は、 COVID-19の影響により旅行者が減少したタイ航空は関連事業から収入を生み出す機会を見出したと述べました。 国内の農産業、運送業そしてタイ航空すべてに利益があげられるよう運輸省、商業省、農業省3つの省庁と協力関係を結び、輸出の促進を狙います。
 
過去に、タイ航空は旬の果物や野菜の輸送事業を行っており、特にマンゴーなどは韓国、日本、香港などで高い収益を得ていました。 輸出をサポートするために特別な低送料を提供することによって製品を海外に輸出することに一役買っています。 2021年度はヨーロッパなどより多くの目的地で貨物事業を増加させるため商務省からは海外で人気のあるタイ農産物の輸出動向の情報を共有したいと話し合いました。 2020年11-12月現在、半商業フライトの運航はバンコク-ロンドン間で日曜日週1便、バンコク-フランクフルト間は金曜日に週1便バンコク-コペンハーゲン間で週に1回の日曜日のフライトを運航しています。 アジア圏ではバンコク-香港便が隔週で週1便、バンコク-東京(成田)間は週2便運行、 バンコク-タイペイ間は12月4、11、18、23日の運航を予定しています。 バンコク-シドニー間は週1便の運航で往路は日曜日、復路は翌月曜日に運航しています。 国際貿易振興局長のソムデット・スソンブーン氏は、タイ航空の代表者と輸出事業情報を共有するための会合を行ったと述べました。 これは、ロジスティクスセグメントにおけるタイ航空の事業拡大計画を促進するのに役立ちます。 タイ航空がより多くの貨物事業を行う場合、花や生鮮食品などの生鮮農産物の輸出がより便利になるでしょう。
 
「現在、製品輸出の傾向は徐々に回復しています。今年の終わりから来年まで続くこの需要を満たすためにロジスティクス事業に参入することは、タイ航空の事業計画の改善に役立つはずです。」
 
【タイ交通機関利用者へ新年の贈り物】 利用料金の値下げ・免除 運輸大臣のサックサイアム・チッドチョープ氏は、新年2021年のギフトプロジェクトを検討するために内閣会議に出席することを明らかにした。 運輸省から閣議に提案する2つの案件のうち1つは高速道路料金の無料サービスまたはサービス料金の引き下げで、2020年12月30日~1月4日の6日間、高速道路7号線(バンコク-チョンブリ-パタヤ間)と高速道路9号線(バンパイン-バンプリー-プラプラデン間) 2つのルートの通行料の免除案を検討しています。
 
同様の期間でタイ高速道路公社(EXAT)は、ブンラパーウィティ線とカンチャナピセーク線(バンプリ-スックサワット)の料金徴収の免除を提案しています。 また、2020年12月31日~1月1日の2日間 シャローンマハーナコーン線とウドンラッタヤ線での料金の徴収免除も検討されています。
 
これに関連して、バンコクメトロ(MRTA)は、MRTの運賃の引き下げを提案しました。2020年12月の1カ月間パープルラインで最大運賃を20バーツに設定します。通常、パープルラインとブルーライン継続して利用した場合の運賃は48バーツかかります。
 
タイ航空公社は空港で無料駐車場を提供します。スワンナブーム空港で長期間駐車できるゾーンCは、2020年12月29日から2021年1月4日まで600台以上の車を収容でき、またその他スワンナブミ空港内のさまざまな建物へのシャトルバスサービスを24時間提供します。 ドンムアン空港は2020年12月29日~2021年1月4日120台の車が収容可能となっています。
 
運輸省が検討している2つめの提案は、新年期間中一般利用客が便利に移動できるようにタイ地下鉄MRTのブルーラインとパープルライン両線でサービスの提供時間を延長するという案です。 2020年12月31日の午前5時30分から2021年1月1日の午前2時まで運行時間の延長を検討しています。
 
記念品の配布を予定している交通機関 エアポートレイルリンクを運営する会社は年末年始の同線のサービス時間を2020年12月1日の午前5時30分から翌1月1日午前2時まで延長します。 また、2020年12月25日13時~16時の間に同線を利用した乗客にはアルコールスプレー1500個の配布を予定していて、 1月1日すべての駅の出口ゲートで1,000個のコースターを配布します。
 
タイ国営鉄道(SRT)は2020年12月29日から、フアランポン駅で10,000個の福袋を配布する予定。 タイ・トランスポート・カンパニーはモチットバスターミナルでサービスを利用する乗客にタイ人にとって縁起の良い999に関連するプレゼントの配布を行うプロジェクトを検討しています。 また、タイ港湾局(PAT)はバンコク港、レムチャバン港、チェンセン港、ラノン埠頭などの利用客や訪問者にお茶、コーヒーなどの飲料の提供や冷たいタオルの用意をしています。
 
最後にAOTは地元からチリペースト(ナムプリック)を持って帰りたい乗客のために、100mmLまでの容器にいれた チリペーストを機内持ち込みできるようなキャンペーンを提案しました。 しかし、これらは安全性の問題も含めて適切かどうか再度検討の余地があるとエアロタイ社がその協議結果について情報を発信することになっているようです。  
 
2020年12月前半配信
2021年10月21日 メルマガ第3号 【COVID後のタイ経済 EEC EV】
国内の経済活動が再開し、減少した外国投資の回復のためにタイ政府はセミナーなどで首相や大臣自らが先頭に立って積極的に経済政策を発表しています。しかし、依然としてCOVID-19による経済への影響や、タイの政権変動によるEEC政策への今後の動向について、不安を抱える関係者が多数いるということも耳にします。 今回のメルマガでは、タイ政府がセミナーなどで講演した現在のタイの経済状況や、EECの進捗状況、またBOI(タイ投資委員会)で公表されているデータやニュースの中で特に目立った次世代自動車産業に焦点を当てて情報をまとめました。ご参考になれば幸いです。
 
【COVID-19 および政権変動による、EECプロジェクトへの影響について】 EEC(東部経済回廊)をはじめとするタイの経済政策を導引していたソムキット副首相ら閣僚の経済チームが7月に辞任しました。 関係閣僚の退陣により、今後のプロジェクト遂行に影響があるのではないかと懸念している関係者から寄せられた質問に対し、 2020年11月6日に開催されたJTECS日タイ経済セミナーでEEC特別顧問のシハサック・ブアンゲッゲオ氏の発言によれば、 EEC政策は人ベース政策ではなく首相をはじめ各省庁の大臣や関係機関を総動員してタイ国家全体で推奨しているプロジェクト。 今後の計画についても内閣で承認が下りているので、政策に変更はないという保証があるとのことでした。 現在は、スパタナポーン副首相兼エネルギー相を中心とした経済チームがEECに関する政策及びプロジェクトの遂行を担当しています。
 
現在のEECの進捗状況 EEC主要6プロジェクトのうち、ウタパオ空港を含めた3プロジェクトについては既に民間企業と契約も済んでおり、建設が予定通り進んでいます。 現在インフラ整備の進捗状況として3つの空港を結ぶ高速鉄道は2025年に開始予定、完成後は9駅220kmの距離を60分で結ぶことが可能になります。 マプタプット工業港は液体燃料など取り扱いできる世界的な処理能力のある港として再整備されており、2025年に建設完了し2026年から運航開始を目指しています。 レムチャバン港は現在建設の第3フェーズを迎えており、完成後は自動管理システムが導入され、コンテナーの取り扱いが年間1,100万個から1,800万個まで拡大されます。 ウタパオ空港は2024年の運航をめざしており、完成後は旅客だけでなく、貨物の地上運送も今よりさらに拡大されることが期待されています。 また、空港周辺には自由貿易のエリアの設置や航空産業人材育成センター、航空機整備センター(MRO)も併せて開発され、このプロジェクトには日系企業も参加しています。
 
【COVID-19感染拡大後のタイ経済の状況】 2020年の第4半期までのBOI外国直接投資承認件数は657件、合計投資額にして約1,185億バーツにのぼり、この数値は前年度の同じ第4半期とくらべて件数にして2件、投資額にして29%減少となっています。 内訳としては、既存の事業拡大が472件、新規事業が185件投資国の第一位は日本で次いで中国です。 外国からの投資件数が前年度に比べれば減少はしていますが、継続的に増加しており、日本からのタイ渡航便も徐々に便数が増えていることからタイ経済が停滞することなく回復傾向にあることがわかります。 それでも、COVID-19感染拡大の影響で事業継続が困難な中小企業や収入が減少した個人については補助金や融資の支援などタイ政府はじめ銀行などの金融機関が様々な景気対策を発表しています。 JETROバンコクのウェブサイトなどにも翻訳されて詳細が掲載されていますが、主なものとして中小企業が雇用継続できるようにするための税制支援、低金利融資、法人税の納付期限の延長や輸入税の免除、 各銀行のソフトローンや債務支払いの延長などが挙げられています。
 
世界的なパンデミックにより成長する3つの分野 医療・健康分野については医療機器や医薬品製造業市場の強化に向けてBOIは税制の優遇措置を導入しさらに病院や臨床研究をさらに発展させることにより 包括的な医療サービスが行える医療ハブを目指し政府は投資支援を行っています。 また、テレワークやオンライン授業の需要が増え今後デジタル分野がデフォルトとして活用されていくため、投資促進を期待しています。 その他フードデリバリーなどを含むEコマース市場も拡大しており、それに伴う物流サービスも新規参入がまだまだ期待できると考えられています。
 
【次世代自動車産業】 タイ政府が推進する経済対策はEEC(東部経済回廊)を中心とし、その中でもタイの自動車産業はすでに重要なグローバル製造拠点であり、 2019年の生産は既存の生産技術を適応および拡張するために世界で11位にランクされ、さらに競争力を維持するために次世代の自動車産業が、 12の対象産業(S-Curve)の1つに定められ、潜在的な産業かつ国の経済を推進する上で重要な役割を果たすと考えられています。
 
タイ政府の政策と目標 ASEAN地域の次世代自動車生産のハブ拠点になることを目標にタイ政府は電気自動車のアクションプラン(2016-2036年)を掲げました。 その中で2036年までに合計120万台の電気自動車の普及と690基の充電ステーション設置を目標としています。 タイ政府が振興したい10産業(S Curve / New S Curve)にも次世代自動車産業が含まれており、経済活動を徐々に再開しているタイは 今年8月次世代自動車に関するセミナーが開催され、工業大臣が「EVのロードマップ」と題して講演しました。
 
まず短期目標として政府の公用車や空港・スクールバスといった公共バスまたバイクタクシーにxEV(様々なタイプの電気自動車)の使用を広め国内市場の需要喚起を狙います。 2022年までに60,000-100,000台の生産を目標としています。 中期目標としては、2021-2025年で100,000-250,000台のエコカー(低燃費小型車)と300,000台のスマートシティバスの生産を予定 長期目標は2026-2030年までの間に年間75万台の生産を目標に掲げています。これはタイの2030年の自動車生産台数目標が250万台ですのでその3割が次世代自動車の占める割合となっています。
 
また、xEVの普及を目的とした車両買い替えのための政策も掲げられました。現在使用年数が15年以上の古い車両を新しいEVに交換することを促進するため 最大100,000バーツの個人所得税控除など優遇措置を発表しました。 減税による販売促進で、自動車メーカ―の技術向上、そしてより多くの人に電気自動車への目を向けてもらいたいという狙いがあります。 またEVの普及は古い車両から排出される汚染物質やPM2.5の低減などにも効果があるとされ環境問題の改善にも役立つと考えられています。
 
BOIの恩典と現在の次世代自動車製造の進行状況(奨励承認件数) BOIは電気自動車生産および関連サプライチェーンへの投資を促進するため2018年に期限切れとなった最初のEVパッケージに代わる新しいプロモーションパッケージを発表。 乗用車、バストラック、オートバイ、三輪車など幅広い次世代自動車の製造や研究開発に法人税の免除や物品税の減税など恩典を付与しています。
 
現在BOIが認可した電気自動車関連のプロジェクトには日系企業も多く参加しています。HEV(ハイブリッド電気自動車)製造が5件で合計生産能力は年間35万台以上、 PHEV(プラグインハイブリッド)が6件で合計生産能力は年間約8万7千台、BEV(バッテリー式電気自動車)が13件で合計生産能力は年間約12万5千台となっています。 その他電気バスは2件で合計生産能力は年間1600台か可能です。 また、関連部品や充電ステーションも認可対象となっており、現在バッテリーやプラグなど14件が奨励を受けその合計投資額は108億円にのぼります。 充電ステーションに関しては2件の奨励で合計11億以上の投資額となっており、4,500基弱の設置を予定しています。 今後BOIは2輪や3輪の電気自動車製造に関しても恩典を付与していく計画があるとのことです。
 
インフラ環境や法令整備 中古バッテリーの処理、再利用などを立法化、また国内でEV充電インフラの開発に取り組んでおり、エネルギー省が国内すべてのエリアで充電ステーションが建設できるように法整備を行っています。 すでに運行中のATTRIC(Automotive & Tire Testing, Research and Innovation Center)をはじめ、Electric Vehicle Battery Testing Centerも2020年に建設完了、 翌年5月から試験運行を開始する予定で、自動車製造から検査までタイ国内で一貫して行えるようになります。 次世代自動車に関連する人材育成もタイ自動車連盟など関連機関で積極的におこなっています。
 
2020年11月配信
2021年10月21日 メルマガ第2号 【タイ反政府デモ・SME EXPO2020】
新型コロナウィルスの感染拡大を最小限に抑え、国内そして海外との経済活動再開へと動き出しているタイですが、 日本でもニュースで報道されている通り大規模な政治集会が開催され、なかなか情報が入手できずに不安な日々を過ごしている関係者の方もいると存じます。 今回のメルマガではニュースで配信されている市内の状況やタイ政府の反応、日本外務省が推奨する在タイ邦人への喚起などをまとめました。 一方で最新の産業展などの情報もありますので、参考になれば幸いです。
 
【タイの反政府デモと市内の状況】 ここ数か月タイ政府と民主化の抗議者との対立が悪化しており、政府は5人以上の集会などを禁ずる非常事態宣言を発令しました。 2020年10月18日には民主化団体が開催した大型集会の混乱を懸念してタイ警察は中心街にあるタイ高架鉄道と地下鉄の駅を封鎖したり、一部の参加者に放水したりと緊張が高まっています。 その後も、集会はバンコク市内だけでなく他県に広がり、収束のめどは立っていません。 タイ観光スポーツ相は今回のデモによる一連の混乱はタイを訪れる外国人観光客には何の影響もないとの見解を示しており、 特別ビザによる観光客受け入れも開始し、観光産業の復興を期待しています。 多くのデモは事前に日時や場所が告知され、学生たち中心による平和的な抗議集会をモットーに開催されていますが、 前述のように警察との衝突に発展する場合もありますので、在タイ邦人また今後渡航する予定の方は在タイ日本大使館やタイ政府などからの情報を入手して、 危険な地域への立ち寄りを避け安全に過ごすよう心がけてください https://www.nationthailand.com/news/30396400?utm_source=homepage&utm_medium=internal_referral (英文) https://www.th.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html  
 
【タイでの検疫規制について】 疾病管理局長のDr. Opas Karnkawinpongは、Covid-19状況管理センター(CCSA)に、帰還者の検疫期間を14日から10日に短縮するよう助言しました。  この勧告は、同局によるタイへの外国人と帰国者のモニタリング、およびスイスからの調査に基づいています。 https://www.facebook.com/nbtworld/photos/a.10151714100817050/10157526191497050/?type=3&theater (タイ語)
 
【SMART SME EXPO2020】 PMG社が商業省や工業省、タイ観光庁、タイ国立食品研究所など様々な関連機関と協力して開催する運びとなった、包括的な大規模イベントとなっています。 新しいビジネストレンド、新しい金銭の流通、新しい美容、創設ソリューション、未来の食品産業、新世代との交流に注目し 「一緒に新しい日常を歩んでいこう(NEW NORMAL TOGETHER)」というテーマで開催されます。 また、COVID19で影響を受けた企業や農家、輸出入業者などのために政府や民間による特別な財政支援の情報も入手できるようです。
 
イベントの新機能 1.オンサイト・オンラインイベントで初めて同時開催されるイベント 実際に来場しても、できなくてもビジネスや製品の詳細に関する様々なキャンペーンやプロモーションをいつでも、どこでも知ることができる
 
2.バーチャルセミナー セミナーやワークショップ、イベントをオンラインで視聴することが可能。事前登録者のみが利用できるインタラクティブなオンライン専用ライブなどもみられる
 
3.オンライン商談 ビデオ会議ツールを駆使して、新しいスタイルでの商談交渉を行うことができる 現地へ出向かなくても、インターネット環境があれば、今いる場所から関心のある業者とのビジネス交渉が可能
 
開催日時と会場 2020年10月29日~11月1日 IMPACT 9-10ホール
 
詳細や事前登録はウェブサイトから https://expo.smartsme.co.th/expo2020/
 
2020年10月後半配信
2021年10月21日 メルマガ第1号 【長期帰国による、ビザや労働許可証の期限切れ問題】
世界的な新型コロナウィルス感染拡大に伴い、タイへ進出している日本企業へも様々な面での影響が出ています。弊社は日タイ事業にかかわる皆様へ、少しでも有益な情報がお届けできたらと考え、メルマガの送付を開始いたしました。
 
 諸外国に比べると、感染拡大を比較的最小限に抑えている印象のタイではニューノーマル(新しい生活様式)が浸透する中、徐々に経済活動も再開し外国からの入国制限が緩和され、外国人渡航者受け入れも再開しました。日本政府がタイ政府と協議の結果、7月にレジデンストラックを開始してから約2800人(2020年9月24日付データ)の日本人がタイへ渡りました。現在も一日に数百名の渡航希望者が在京タイ大使館に入国許可証の申請を行っているようです。
 
 【長期帰国による、ビザや労働許可証の期限切れ問題】
 ご存じの方も多いと思いますが、現在タイ国籍を有しない人のタイ王国への入国は特別便でのみ許可されており、様々な渡航条件をクリアして、在京タイ王国大使館が発行する「入国許可証」を申請し受領した人のみ渡航することが可能です。
 2020年10月に就航している特別便(在京タイ王国大使館ウェブサイト)
 http://site.thaiembassy.jp/jp/news/announcement/9427/
 
 ところが、中には長い期間入国できなかったことにより、ビザや労働許可証(WP)の有効期限内に再入国するのが難しいという方も多いと思います。手続きをしないまま期限切れになると、不正な行いとして記録が残り次のビザやWPの申請取得に障害になる可能性もあるので、きちんと正しい処理をする必要があります。
 弊社が関連機関などに問い合わせをして入手した情報を今回皆様と共有させていただき、一つの事例として参考になれば幸いです。
 
 まず、タイのビジネスビザやWPの期限の延長申請は原則的にはタイ国内でしか行えません。代理人申請はできないかとBOIのOSOS(ワンスタート・ワンストップ インベストメントセンター)に確認を行いましたが、本人以外の申請は受け付けられないと回答が来ました。そのために、わざわざ一度タイへ渡航した方もいたようです。例外的に代理人申請を受け付けている県もあるそうですが、審査官の判断で対応が異なるといったことがあるようです。
 
 現在取得済みのビザとWPの有効期限内にタイへ入国準備が間に合わない場合には、これらの放棄をする手続きが必要となります。前にも述べましたが、これは大変重要なことで、この手続きを行わずに有効期限を迎えてしまうと、不正とみなされ次の申請をする際の障害になってしまう可能性があります。期限が切れてしまっていても、必ずキャンセル処理を行うことをお勧めします。ちなみにこの手続きは代理人による申請が可能です。OSOSでビザとWPの放棄をする手続きを行うと、「証明書」が発行されるので、この書類をご本人のパスポートと一緒に保管してください。次回、ビザとWPを申請する際に必要になります。
 
 次に、BOIが運営するオンライン査証申請サイト「Sigle Window」に登録をします。登録完了後オンラインでビザ申請を行います。ビザ申請が承認されると申請承認状が発行されますので、それは日本でビジネスビザを再申請する際に提出することによりタイ大使館が提示を求めるWPに代わる証明となるようです。
 BOI Single Window System (タイ語のみ)
 https://swe-expert.boi.go.th/SW-WEB/main.php
 
 結果、ビザやWPの新規申請が必要になりますが、書類に不備がなければ渡航許可証の発行が可能でしょう。タイへ入国後、決められた手順でビザの切替手続きやWPの申請を行えば完了です。
 
 ビザ申請に必要な書類や申請手順などは、在京タイ大使館のウェブサイトを確認してください。
  http://site.thaiembassy.jp/jp/visa/type/
 
 タイに進出している日本企業が多数いることから、駐在員の再入国についての手続き緩和を訴える声がBOIに多く届けられています。現地BOIでも、その問合せにこたえられるように、手続きの簡略化や恩典について内部で検討しているとの情報もあります。
情報が更新された際にはまたメルマガでお知らせいたします。
 
 【タイ入国規制緩和に関する政府の方針】
 2020年9月30日付の保健省疾病管理局の発表で海外からの旅行者、特に低リスク国からの旅行者の拘留日数を14日から例えば半分の7日間に短縮するといったことを検討している準備ができているとありました。世界中の学者がCOVID―19の症例数は実際には1億を超えると推定していますが、タイはこの病気の適切な管理ができていると強調しており、タイの国の安全を一番に考慮しながら、持続的な経済活動の発展を目指していきたいとのことです。
 https://mgronline.com/qol/detail/9630000100282 (タイ語)
 
 【タイ政府観光庁が外国人旅行客向けの特別ツアーを開催】
観光スポーツ大臣より新型コロナウイルス感染症対策センターでの会議の結果、特別観光ビザのカテゴリーで外国人観光客の受け入れが認められることが明らかになりました。これらは現在行われている入国審査と同様の手順で入国前のPCR検査や入国後14日間の拘留措置などが行われた後に、観光客は通常の旅行を楽しむことができます。 まず手始めに、2020年10月8日広州から約120人の中国人観光客がAir Asiaのチャーター便でプーケット空港へ到着する予定となっており、その後10月25日に追加のグループが126名Thai Smile Airwaysでスワナプーム空港へ到着する予定になっています。
また11月にはヨーロッパからのグループ受け入れのツアーも予定しているようです。
タイ観光庁長官はこれらすべての旅客が例外なくタイの入国審査をすべて順守することが義務づけられていると発表しています。これらの観光誘致策を経て段階的な入国審査の緩和や外国人観光客が増えタイの観光産業が回復していくことを期待しています。
 https://mgronline.com/travel/detail/9630000099632 (タイ語)
 
2020年10月配信
2021年5月23日 タイ工業省事務次官 独占インタビュー! 後編
前回お届けした工業省コブチャイ事務次官のインタビューの後半をお送りしたいと思います。 引き続き、コロナ渦におけるタイ経済の現状や、今後タイで成長する可能性のある産業などについてご意見をいただきました。 最後には日本企業が継続的にタイとビジネスをおこなっていくためのアドバイスや日本に対する事務次官の率直なお気持ちについてお話いただきましたので、 そちらもご参照ください。 2021年4月7日 タイ工業省 事務次官オンラインインタビューの様子

『現在のタイ王国におけるビジネスマンの往来状況』

入国制限の緩和について前にも述べましたが、タイ政府はワクチンパスポートの採用について検討しています。 ワクチンを接種している渡航者に対して証明書があれば隔離条件が緩和されて入国ができるという仕組みです。 これについては近日中に正式に発表されるでしょう。(4月20日に導入のガイドラインが発表されました) また一般的な隔離措置の緩和も段階的に進んでいくので、それに従ってビジネスマンの往来も増えていくでしょう。 また、最近プーケットやサムイ島といったリゾート観光地への旅行者を受け入れるツアーも催行するようになりました。ダイレクトフライトで現地へ行き、ホテルでPCR検査を受け、限定的なエリアで旅行を楽しめるパッケージツアーとなっています。 外国からの入国者については段階的に隔離措置が緩和されていきますが、今年10月頃には状況が落ち着き完全に隔離措置の必要がなくなれば、ビジネスマンの往来の再開が期待されます。 3/24―4/3に開催されたタイモーターショーでは、予約販売数が昨年度に比べて150%増となりました。その多くは次世代自動車です。 情報共有として、タイは2035年には新しくガソリン車の国内新規登録が不可になるという政策を検討しています。 2035年以降はタイ国内ではガソリン車の製造が可能ですが、それらは主に海外へ輸出するためのものになります。 今年中には電気自動車をはじめ、電気自転車、電気バイク、電気バス、電気トゥクトゥク、電気ミニバス、電気船、電車といった次世代車両の新しい政策が発表される予定です。 モーターショーには、外国からの来場者も多く見られました。渡航者はみな入国後14日間の隔離措置を経て展示会に臨んだようです。 特に日本や中国からの参加が数多くみられ、中国メーカーMGやGreat Wall(長城汽車)はオリジナルのセダンやピックアップトラック電気自動車の展示を行いました。 Great Wallは今年中にタイでの生産を開始する予定です。MGはすでにチョンブリー県で生産を始めていますが、Great WallについてはGM社のラヨン工場を買収しました。 日本の三菱自動車も今年1月からチョンブリーの工場でアウトランダーPHEVの製造を開始しました。

『現在、業績を伸ばしている業種』

現在、タイ産業の中で業績を伸ばしている業種としては、特に食品、加工食品です。withCovid19の現状の中、業績を伸ばしています。 その他には飲料、家庭電化製品、デジタル関連、電気電子回路、医療関連用品 たとえばゴム手袋や注射器などは海外からのオーダーも増え業績が良いです。

『タイ政府が次世代自動車以外に推進したい産業』

タイは2022年11月よりAPEのホスト国になることが決まっており、現在、その準備が進められています。メインテーマはBCG model です。 BCGとは、Bio Economy/Circular Economy / Green Economyの頭文字をとったものです。 現在、関連する省庁が、BCGモデルに沿った政策を進めています。Ministry of Higher Education, Science, Research and Innovation(高等教育科学技術イノベーション省)が本件についての取りまとめ機関です。 すでに取り組まれている事業例をご紹介いたします。タイでは農産物のオーガニック化に取り組んでいます。これは、環境問題を引き起こさないためです。 また、農産物から化学品の代替物を作ることも促進しています。例えば、砂糖から、乳酸を作り、乳酸をバイオプラスチックの原料に使用します。 PEやPVCに代わってバイオプラスチックをビニール袋や食器などに成型します。 ヨーロッパでは2022年から石油化学からのプラスチックペレットの使用が禁止されるという発表がありました。 アメリカやヨーロッパの政策に沿ってタイも経済のBCGモデルの形成に務めていきます。

『EECへの投資について』

タイ政府が推進しているEECへの投資に関して、BOI承認企業は税金の免除が受けられます。8年間法人税の免除、その後5年間は50%しかかかりません。 これらがEECへの投資の一番のメリットです。その他に機械の輸入や原材料の輸入関税も免除されます。 また従業員の育成などにかかる費用も政府から支援があります。政府は企業と一丸になって、産業の成長を支えていきます。 工場を建設段階から従業員の育成を開始することもできます。これらは労働省が管轄しています。 ソムキッド前副首相の政策により、BOIの恩典については企業によって独自の恩典を要求提案することも可能となりました。 BOIは企業から要求を受ければBOIはその要求提案を委員会に提出し、委員会はその検討をします。 EEC域内の産業ゾーンにはまだ余裕があります。現在も日本、中国をはじめとした外国投資企業がEECの敷地の見学に訪れています。 EEC周辺のエアポートリンク建設やウタパオ空港の再整備は予定通り進んでいます。エアポートリンクに使用する土地の収用が終わりました。 ウタパオ空港の増設される予定の滑走路については建設の公募が間もなく開始されます。 EEC政策についてはコロナ感染拡大の影響をあまり受けておらず、一番初めに申し上げた今年度の投資申請件数1717件の多くはEECへの投資となっており、 影響をうけているというよりか、投資は増加傾向にあります。

【最後に日本企業へ今後事業を続けていくためのアドバイスをいただきました】

タイと日本は、130年にもわたり友好関係を築いてきております。日本はタイにとって、とても大切なパートナー国であり、今後一緒に経済を発展していくためにも欠かせない存在です。多くのタイ人が日本人を尊敬しています。 世界的な自動車産業領域の動向として、今後、ガソリン自動車産業および石油関連産業は、減少していくと思われます。 これまで、自動車産業の領域で活躍されてきた企業は、新しい産業トレンドに沿った成長産業への参画および、事業の多角化へシフトすることが求められていると思います。 タイでは現在特に高齢化社会を支える医療関係の産業が求められており業績もよいです。 タイの大手石油会社PTT社も経済変化に沿って医薬品や医療機器などの医療分野の製造に事業多角化を行っています。 したがって、タイなどへ、海外投資をする日本企業もこのような新しいトレンドや成長産業に目を向ける必要があります。 日本企業がタイ企業と事業協力したいといった希望がありましたら喜んでご相談・お手伝いさせていただきます。 在東京大使館工業部を通して相談されてみてください。 現在、ガソリン車のサプライチェーンをどうするか、私のところに相談のアポが来ています。 シンガポールやインドネシアもすでに電気自動車導入を発表しています。もちろん、タイはまだガソリン車の製造輸出の拠点として機能していますが、 日本のメーカーにはもっと次世代自動車の製造にも力を入れていただきたいです。 日本の三菱自動車がタイで電気自動車のバッテリー製造を検討していると聞いています。 電気自動車製造にはバッテリー以外にもモーターやコントローラーといった電子部品製造の事業チャンスが多くあります。 日本にはこのような分野で活躍している企業がたくさんあります。今まで培ってきた高い技術とノウハウがあります。 もしこの分野に関心のある企業がいらっしゃったら、ぜひタイへの投資をしてほしいと思います。 もちろん、その他の産業である、医療機器分野やデジタル分野の投資も歓迎します。タイにとって非常に関心の高い産業分野です。 工業省として、今回のインタビューで大切な友人である日本の方たち、企業の皆さんへ、有益な情報をお届けできたらとても光栄です。 これからも助け合いながら両国が経済成長を続けていけたらと思います。
2021年5月23日 タイ工業省事務次官 独占インタビュー! 前編
この度、弊社クロスロード・キャピタル株式会社は、タイ工業省のコブチャイ・スンシッティサワッド事務次官へ独占インタビューの機会をいただきました。 2019年から続く新型コロナ感染拡大による、タイ経済への影響やそれに伴う外国投資家への影響について、また、タイ政府からの支援策などについて伺わせていただきました。 今回のメルマガでは、経済持続性のためにタイ政府が取り組んでいること、外国投資家を含む企業が直面している問題などについて、 タイ工業省コブチャイ事務次官より、直接いただいた生の声を皆様にお届けさせていただきます。 本メルマガにおける独占インタビューの内容が、事業継続をされる外国企業、および新しく投資をしたいと考えている外国企業の皆さまにとって、有益な情報となれば幸いです。 2021年4月7日 タイ工業省 事務次官オンラインインタビューの様子 2021年4月7日 タイ工業省 事務次官オンラインインタビューの様子 以下、コブチャイ事務次官のご発言:

『税制面の救済措置について』

工業省は、この度のコロナ感染拡大において影響を受けた外国企業から、様々な問題があるという風に聞いています。 例えば、インフラ投資の促進や、税制面の救済措置が必要と聞いています。 新しく投資をしたいと考えている外国企業のために、タイ政府は、チョンブリー県やチャチュンサオ県、ラヨン県にあるEECへの投資を勧めたいと考えています。 空港からの交通手段であるエアポートリンクや都市間を結ぶモーターウェイが現在政策に基づいて建設中であり、 敷地内の水道や電気といったインフラ設備も完備され投資環境が整っています。EECについては、後ほど改めて言及をします。

『コロナ禍においても増加するタイ投資』

税制のことと投資について、続けて説明させてください。 2020年度のBOIの外国投資申請件数は1,717件、投資額は4,800億バーツ、これは2019年度の投資申請件数から13%増加しております。 その内すでに1,501件が承認を得ており、投資額にすると3,600億円バーツになります。 この数値からも分かるように、外国企業によるタイへの投資は、コロナ禍においても、継続的に増えています。タイ政府も引き続き誘致促進していきたいと考えています。

『入国制限に関する緩和:ワクチンパスポートの導入の検討』

現在日本に限らず、外国投資家の多くが望んでいることは、入国制限に関する緩和です。現在タイに入国する外国人は 14日間隔離施設での滞在をしなければいけませんが、3月8日の政府の会議で話し合われたばかりのトピックで、タイはワクチンパスポートの導入を検討しています。 つまり、ワクチンを接種したタイ国籍以外の人については、ワクチンの証明書があれば入国後の隔離期間を14日間から7日間に短縮できるという政策です。 これは、今タイ政府が最も重要視している政策の一つで、入国制限を段階的に緩和していくための取り組みの一つです。

『外国投資家への救済措置』

コロナウィルス感染拡大の影響を受けた外国投資家(特に日本からの投資家)への救済措置の中には、 タイ企業とのジョイントベンチャー企業に対して、幾つかの支援を受けることができる制度がございます。 タイの銀行のソフトローンが適用できるような支援もございます。 タイ中央銀行とタイ銀行協会の共同支援策ですが、タイ銀行のソフトローンが適用できたり、債務支払いの留保を容認し、不良債権としないようにする支援策がございます。 一例を挙げますと、今回特に影響を受けているタイの旅行業者(外国企業と事業提携している企業)はこのソフトローンを利用し、事業を立て直そうとしております。 他にも、コロナの影響を受けた外国投資家に対する税制の優遇措置に関しては、政府は財務省、BOI、及びFiscal Policy Officeに下命しました。 関係機関と協議しており、近いうちに新しい優遇措置が発表されるでしょう。 工業省としても、それぞれの許認や登記等の可手数料の免除を用意しています。例えば、工場許可書手数料や、規格関連の手数料や、抵当のための機械設備登記手数料などの免除です。 また事業を継続することが難しい企業のためには雇用を保つための一時金が支給されます。 これらの支援についてはすでに発表されている情報です。 加えて、社会保険料の減免措置もあります。これは事業主が支払う分も含まれます。 その他にも、低金利で国内の銀行から融資を受けられるようなプロモーションがでています。返済期限も特別に長く設けられています。 ただ、自動的に受けられるわけではないので、それについては銀行へ申請が必要です。 外国企業の場合、タイと合弁企業であれば同じように支援措置が受けられます。外国出資100%の場合は、それぞれ担当機関でタイ企業と同じ支援が受けられるのかそれとも外国企業向けの支援があるのかどうかといった確認をする必要があります。

『タイの政府機関の申請手続きオンライン化』

もう一点言及するべきトピックとして、現在タイの政府機関では申請手続きのオンライン化を進めています。 工業省の中でも、タイ工業規格局や工場局での各種申請手続きはすべてオンラインでできるようになりました。 外国投資家が良く利用する税関での手続きについても、工業省が財務省に協力してオンラインで手続きができるようになりました。 利用者は何か所も行く必要がなく、シングルウィンドウで手続きをすることが可能となりました。このように、政府が勧めているデジタル化推進のため、様々な公共の手続きのEサービスが始まっています。 今まで窓口で行われていた公的な許可申請手続きはオンラインでできるように、徐々にシステムの開発が進められています。 後編に続く
2016年2月28日 2016年2月17日 日経BP主催、Asia Smart City@Bangkokで、メディア/プレス会議の企画運営、司会を努めさせていただきました。

2016年2月17日
日経BP主催、Asia Smart City@Bangkokで、メディア/プレス会議の企画運営、司会を努めさせていただきました。

2015年9月1日 2015年8月5日、一般社団法人首都圏産業活性化協会(TAMA協会)のバンコク事務所の開所式の運営、および、司会進行を弊社の辻が努めさせていただきました。

日本の技術の集積団体の1つである、一般社団法人首都圏産業活性化協会(TAMA協会)のタイ進出に伴い、
現地のSME団体(サブコンタイランド)を招聘させていただき、
両国政府のWitnessをお迎えして、開所式の企画運営を担わせていただきました。
今後、両国のSMEが協力連携する機会の促進に、弊社も貢献したく思います。

左から
松島 大輔(タイ王国政府政策顧問 : advisor of NESDB, seconded METI in Japan)
高橋 一彰(株式会社インダストリア代表取締役 : president of INDUSTRIA)
Mr. Somkiat Chupukcharoen (サブコンタイランド代表、兼、SSC TECH 社長 Thai Subcontracting Promotion Association
SCC TECH co.,ltd /MANUFACTURING OF MOTORCYCLE PARTS AND AUTO PART Subcon Thailand Association) 
Mr. Panuwat Triyangkulsri (BSID所長)
Ms.Hirunya Suchinai (BOI所長)
佐渡島 志郎(駐タイ日本国大使)
岡崎 英人(一般社団法人 首都圏産業活性化協会(TAMA協会) 専務理事)
辻 佳子(クロスロードキャピタル 代表取締役)
後藤 謙介(インダストリア タイ社長)

2015年5月30日 タイ政府機関主催 SUBCON THAILAND 2015に参加いたしました。

昨年に引き続き、弊社、代表の辻佳子が、5月13〜16日に開催されたタイ政府機関主催のSUBCON THAILAND 2015に参加いたしました。開催されたプログラムの一つである「Japanese Automotive Seminar-BOI主催 日系企業自動車部品産業幹部セミナー」内のディスカッション「"How to develop Thai Autoparts Industry"」にて、モデレーターとして参加いたしました。

2015年3月10日 2015年2月22日―2月28日、島根県立大学の「海外企業視察研修」のサポートをさせていただきました。

2015年2月22日―2月28日、島根県立大学の「海外企業視察研修」のサポートをさせていただきました。

同大学と一緒に以下を目的にして企画運営を担わせていただきました。

・海外のビジネス動向・思考様式・コミュニケーションの在り方について学ぶ。

・グローバルな視点から日本と海外企業の位置・役割を見据え、企業研究に活用する。

・海外で得た学びを自己成長と将来のキャリア形成につなげる。

日タイ産官学の皆様のご協力、ご理解を得ながら、学生さんたちの視野を広げて視点を高めることの一助になるよう、努めさせていただけたことは、弊社にとっても大変素晴らしい実績となりました。

カセサート大学にてワークショップ
タイ進出島根県企業訪問
2015年2月1日 2015年1月30日「第9回お互いコンクレーブ in 島根」で弊社代表・辻佳子が総合司会を担当しました。
2015年1月30日、「第9回お互いコンクレーブ in 島根」にて、弊社代表・辻佳子が総合司会を担当しました。 IMG_5132 (左から) タイ工業省産業振興局(MOI)部長 パサコン・チャイラット氏 経済産業省通商政策局国際経済課長 藤本武士氏 タイ工業省副大臣 プラモート・ヴィタヤサック氏 弊社代表 辻佳子 辻が事務局プロデューサーを務める経済産業省案件「お互いプロジェクト」は、タイで2011年末に起こった大洪水をきっかけに、“お互いさま”の発想で災害など不測の事態に備えたサプライチェーンの強靭化に向け、バックアップや相互協力を試行するプロジェクトとしてスタートしました。現在は、複数のパイロット・プロジェクトを通じ、様々な分野の日系中小企業の、タイを主要としたメコン川流域周辺国へのビジネス進出を促進、日系企業の技術やノウハウの導入などを通じ、日本とASEAN双方の協力関係を深め、相互利益を生み出す新たなブランドの創出に向けたプラットフォームへと発展させることを目指しています。 今後も本プロジェクトに関して随時情報更新していく予定です。 DSCF0758全景 DSCF0760 記念写真
2015年1月18日 立命館大学国際関係学部校友会企画セミナー「アジア女流コンサルタントによる講演〜アジアビジネスとキャリア〜」を実施しました
2015年1月17日、弊社代表・辻佳子が立命館大学東京オフィスにて「アジア女流コンサルタントによる講演〜アジアビジネスとキャリア〜」を実施しました。 IMG_3985 立命館大学国際関係学部校友会の企画として実施された本セミナーでは、昨今のアジアやアジアビジネスの概況や動向、女性としてのキャリアなどをテーマに講演。海外在住の受講者のためにインターネットでのライブ配信も行い、アジアビジネスやキャリアについて共に考える場となりました。
2014年12月18日 【セミナー情報】 2015年2月「魅力ある東南アジア・メコン経済圏を掴め」
2015年2月17日、弊社代表の辻佳子が金融ファクシミリ新聞社セミナー「魅力ある東南アジア・メコン経済圏を掴め」の講師を務めます。 ■講演趣旨  人口規模2億4000万人と言われるメコン経済圏。タイを筆頭とする生産拠点としての活用だけではなく、メコン経済圏の人々の生活水準が上がり購買力を増してきたので、消費市場としても大いに注目を集めています。いままさに大きな転換期を迎えているメコン経済圏は、底知れぬ可能性を有する猟場と申せましょう。  しかしながら一方では、メコン経済圏は、あらゆるステークホルダーの思惑が絡み合う覇権争いの戦場であり、また政情、気候など、日本企業にとってのリスクやトラブルも存します。  そこで本講演では、このような激動の渦中にあるメコン経済圏のビジネス市場へ果敢に参入し、勝ち残りを目指そうとする企業の皆様を主な対象に、リスクやトラブル面も含めながら、成功のためのノウハウを詳細にご紹介します。 ■開催日時・場所 2015年2月17日(火) 13:30~16:30 金融ファクシミリ新聞社 セミナールーム ※セミナー情報の詳細はコチラ
2014年10月22日 「第8回お互いコンクレーブ in TAMA」で弊社代表・辻佳子が総合司会を担当しました。
2014年10月20日、八王子の京王プラザホテルにて開催された「第8回お互いコンクレーブ in TAMA」にて、弊社代表・辻佳子が総合司会を担当しました。 S__5382164_a 辻が事務局プロデューサーを務める「お互いプロジェクト」は、タイで2011年末に起こった大洪水をきっかけに、“お互いさま”の発想で災害など不測の事態に備えたサプライチェーンの強靭化に向け、バックアップや相互協力を試行するプロジェクトとしてスタートしました。現在は、紆余曲折を経て、複数のパイロット・プロジェクトを通じ、様々な分野の日系中小企業の、タイを主要としたメコン川流域周辺国へのビジネス進出を促進、日系企業の技術やノウハウの導入などを通じ、日本とASEAN双方の協力関係を深め、相互利益を生み出す新たなブランドの創出に向けたプラットフォームへと発展させることを目指しています。 今後も本プロジェクトに関して随時情報更新していく予定です。 S__5382204 S__5382216 S__5382193 S__5382179_a S__5382162 ■タイからのゲスト (Guests from Thailand) 1 泰日経済技術振興協会(TPA)  スチャリット・クーンタナクンウォン会長/Dr. Sucharit Koontanakulvong   President, Technology Promotion Association (Thailand-Japan)  ターウォーン・チャラサティアン副会長/Mr. Thavorn Chalassathien   Vice President, Technology Promotion Association (Thailand-Japan)  ウィラット・ソーンルートラムワニット理事/Dr. Virach Sornlertlamvanich   Executive Director, Technology Promotion Association (Thailand-Japan) 2 タイ工業省産業振興局(MOI)  パサコン・チャイラット部長/Mr. Passakorn Chairat   Director, Department of Industrial Promotion, Ministry of Industry Thailand 3 タイ大使館工業部  バウォン・サッタヤウティポン公使参事官/Mr. Baworn Sattayawuthiphong   Minister-Counsellor, Office of Industrial Affairs Royal Thai Embassy 4 バンコク都庁(BMA)  ターナキット・ソーンバニー氏/Mr. Thanakit Sornvanee   Head of Water Quality Management Bureau, Bangkok Metropolitan Administration 5 タイラスTV  チャイラット・トームヤ リポーター /Mr. Chairat Thomya   Reporter, Thairath TV  スティーケアト・カセムヒルンヨダム カメラマン/Mr. Suttikeat Kasemhirunyodom   Cameraman, Thairath TV ■About "Otagai project" Otagai Project started at the end of 2011. A Japanese word, 'Otagai' means 'each other' in English. When Thailand got the historical heavy floods, it was started for establishing strong supply chains and reliable back-up systems between Japan and Thailand. It has been improved for recent a few years through the several pilot projects between Japan and ASEAN, in particular countries around the Mekong River basin. ‘Otagai’ project can support its realization based on permanently complementary relationship between ASEAN and Japan. We will continually inform you about this project. ■関連記事 「第7回Otagai Conclave会議in姫路」
2014年8月15日 「お互いコンクレーブ(地域キーパーソン会議)in姫路」で弊社代表・辻佳子が総合司会を担当しました。
2014年7月25日、日本とASEANとの経済交流について考える「お互いコンクレーブ (地域キーパーソン会議)in姫路」が兵庫県姫路市内で開かれ、事務局プロデューサーを務める弊社代表・辻佳子が総合司会を担当しました。 当日は、SME(中小企業)向けのセミナー「メコン経済圏を掴め」のセッションと、地方自治体向けの「お互いコンクレーブ」のセッションが開催されました。県内中小企業と各地から集まった地方自治体、ラオスの計画投資副大臣、タイの財務省・工業省、日本の経済産業省の関係者含め約150名が集まり、日本とASEANの経済交流について一緒に考える場となりました。 坂本交渉官閉会の挨拶 (2) 経済産業省通商政策局通商交渉官、坂本敏幸氏/Toshiyuki Sakamoto ボンタウェイ大臣のご講演 ラオス計画投資省、ボンタウェイ副大臣/H.E.Dr. Sisouphanthong Bounthavy ユアン審議官のご講演 タイ財務省、ユアン審議官/Mr. Mahesuan Kruewan パサコン部長ご講演 タイ工業省、パサコン・チャイラット部長/Mr. Passakorn Chairat 松島大輔顧問ご講演 タイ国家経済社会開発委員会政策顧問、松島大輔氏/Mr. Daisuke Matsushima お互いPJとは(辻大志) バーチャレクス・コンサルティング株式会社 ビジネスコンサルティング部部長、辻大志氏/Mr. Taishi Tsuji 姫路市のメコン経済へ向けての取り組み 神姫バス、三木公仁課長/Mr. Kimihito Miki 日本を取り巻く経済環境(辻佳子) クロスロード・キャピタル株式会社代表、辻佳子/Yoshiko Tsuji お互いコンクレーブ@姫路集合写真 ■関連記事 「第7回Otagai Conclave会議in姫路」 「日本とタイの経済交流テーマ 姫路で政府関係者ら会議」(神戸新聞)
2014年8月14日 山梨県 タイ・ビジネスサポートデスクの開所式に招聘いただきました。
8月6日にタイ・バンコクで開催された「山梨県 タイ・ビジネスサポートデスク」開所式に招聘いただきました。 「山梨県 タイ・ビジネスサポートデスク」は今年6月、山梨県内企業の販路開拓・海外進出を支援するため開設されました。 2014-08-06 19.07.02 (左から)松島大輔氏(タイ国家経済社会開発委員会・政策顧問)、辻佳子(弊社代表)、横内正明氏(山梨県知事)、パサコン・チャイラット氏(タイ工業省・部長) 2014-08-06 19.20.10
2014年7月4日 日経BP社主催 2014年7月アジアビジネス基礎講座 開催のご案内
弊社、代表の辻佳子が、日経ビジネス主催の「タイ+1ビジネス基礎講座」及び「インドネシアビジネス基礎講座」のプロデューサー 兼 総合司会を務めます。 多彩な講師陣から多面的に学ぶ タイ+1基礎講座 多彩な講師陣から多面的に学ぶ インドネシアビジネス基礎講座
2014年6月30日 バングラデシュ基礎情報を掲載しました。
弊社ホームページにバングラデシュ基礎情報を掲載しました。 ◆バングラデシュ基礎情報バングラデシュ進出手続きバングラデシュへの対内直接投資状況
2014年5月3日 タイ政府機関主催 SUBCON THAILAND 2014のご案内
弊社、代表の辻佳子が、5月15〜17日に開催されるタイ政府機関主催のSUBCON THAILAND 2014に、モデレーターとして参加します。16日のThe Aerospace and Medical Device Industries – prospects for expanding the Thai and ASEAN Support」にて、航空産業と医療産業を中心にモデレートいたします。 スケジュール詳細、お申し込みはこちらから。
2014年2月9日 ヘルスビジネス チャイナ&アジア2月号に寄稿しました。
弊社、代表の辻佳子が、ヘルスビジネスマガジン社発行 Health Business CHINA&ASIAに寄稿いたしました。 連載タイトル 「辻佳子のASIAN REPORT―メコン経済圏におけるビジネス展開」 タイの経済成長に伴い消費市場としての新たな潮流が見えてくる ――第4回「サービス業にとっての参入障壁」―― 詳細はこちらから。

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