バングラデシュ進出手続き

外資規制

 

規制業種

禁止業種 武器・弾薬・軍用機器、原子力、植林・森林保護地区の機械的方法による木材伐採、紙幣印刷・造幣。
規制業種 深海での漁業、銀行・金融業、保険業、電力関連、天然ガス・石油・精油・石炭関連、その他鉱物資源関連、大規模インフラ事業、ガス鉱物資源を原材料として利用する中規模及び大規模企業、通信サービス、衛星放送サービス、航空旅客・輸送業、海運業、港湾建設、Voip/IP電話サービス、沿海部で採取される重金属を利用する産業

業種別外資規制

製造業 卸売業 小売業 運輸業 建設業 銀行 保険

原則100%可

原則100%可
(実態は困難)

合弁形態の投資可

原則100%可

管轄官庁の判断により可

管轄官庁の判断により可

出資規制
・原則、外国企業による100%出資が可能
・バングラデシュの民間部門、公共部門とも合併することが可能
・原則、金融業以外の業種であれば、最低払込資本金の規制はない

※但し、非公開有限責任会社はその資本金は4億タカ(約488万7,400ドル)を超えた場合、速やかに既存の払込資本金がその水準に達した日から6ヵ月以内に適切な法的プロセスに従って公開有限責任会社に転換しなければならない。

土地所有
土地所有については、外国企業でも会社登記すれば可能である(外国人個人は不可)。
土地購入には以下の手続きが必要。
① 土地総額の5.0%相当の収入印紙の購入
② 土地総額の5.0%の税の納入
③ 土地総額の4.5%相当を登記手数料として預託
輸出加工区(EPZ)の場合は購入できないが、長期(30年間)使用権を獲得できる。

留意点
外国企業によるバングラデシュの法人設立そのものは基本的にオープンと言えるが、実際の事業を始めるまでに様々なライセンス取得が必要であり、その際に要求される非公式手数料の存在もよく聞かれる。また、場合によって、あえて合弁形態で進出をしておく方が手続きをスムーズに進められることもあるので、進出支援をしている会計、法律事務所などと事前によく相談する方が良い。

 

優遇制度・税制

優遇税制

輸出加工区(EPZ)進出企業に対する優遇税制 ●法人税率:1~2年目は全所得が免税、3~4年目は所得の50%が免税、5年目は所得の25%が免税となる。利益発生如何に関わらず、創業時から適用。法人単位が優遇対象のため、法人設立の度に優遇が発生する。
●その他:①建築資材、機械、設備、部品等の輸入関税免除、②原材料の輸入関税免除、③機械・向上の加速償却、④配当課税の免除等
新規進出企業に対する優遇税制※ ●ダッカ管区、チッタゴン管区(一部除く):1~2年目は全課税所得が免税、3~4年目は課税所得の50%が免税、5年目は課税所得の25%が免税
●その他の管区:1~3年目は全課税所得が免税、4~6年目は課税所得の50%が免税、7年目は課税所得の25%が免税

※製造業で、医薬品・同原料、避妊用ゴム、化学品、電気機器、ボイラー、コンプレッサー、コンピュータ、バイオ肥料、省エネ製品、殺虫剤・農薬、石油化学、国内販売向け加工野菜・果物、放射能応用装置、繊維機械等の分野が対象。恩恵を受けている日系企業はまれ

税制
法人税率は通常37.5%。但し、株式上場や業種により異なる。

●株式非上場会社:37.5%
●株式上場会社(配当に条件あり):27.5%

※特定業種の税率
減税措置:繊維・ジュート産業 15%、私立大学専門学校15%、農水産業 5%
増税措置:携帯通信業(非上場)45%、(上場)35%、金融業42.5%、商業銀行37.5%、タバコ製造業(非上場)42.5%、(上場)35%

 

進出手続き

進出形態の概要
バングラデシュに事業拠点を設立する場合、現地法人、駐在員事務所のどちらかの形態をとるのが一般的。
事業活動を実施する場合は現地法人、情報収集、技術支援、市場調査等の限定的活動の場合は駐在員事務所となる。
支店はまれであるが、プロジェクトオフィス等の場合で見られる。
また、拠点を持たなくとも、代理店契約、販売店契約に基づき、日本/第三国から商品を輸出し、販売している企業は多い。

現地法人
会社の登記は、株式有限責任会社(非公開及び公開有限責任会社)、保証有限責任会社、無限責任会社の3種類が認められているが、日系企業では一般的なのは非公開株式有限責任会社である。

非公開株式有限責任会社

Private Limited Company

株主構成は、会社の従業員を除き、2~50人まで。2人以上の株主が必要であるが、どちらも外国人で問題ない。外資の場合は、払込資本金を先に送る必要がある。払込資本金が4億タカを超えた場合は6ヵ月以内に公開有限責任会社に転換する必要があり。
公開有限責任会社

Public Limited Company

株主構成は7人以上で上限なし。取締役3人以上を置く。会社法と証券取引法に基づく目論見書を通じて、株式・債権の引き受け公募勧誘が実施可能。
商業では、駐在員1人に対して現地人5人、製造業では現地人20人の雇用義務が発生する。

設立手続き
設立手続きは以下10のステップのうち①~④となる。

必要期間は、準備すべきデータ・書類がスムーズに提出できれば2週間程度で設立可能。
社名承認(Name Clearance)が3日間しか有効でないため、その間に設立する必要がある。

①設立予定の社名承認(国内同一企業名有無の確認)
一般に公認会計士を通じて商業省所管の商業登記所(RJSC&F)に申込み
※②~④の手う続きは公認会計士を通じて行うのが一般的

②定款の作成
会社法に則った定款作成を依頼する。この作業には通常3~4週間かかるとみられ、報酬相場は5~10万タカ(約610~1,220ドル)程度。

③設立総会の開催
株式引き受け完了後、発起人は設立総会を開催し、付属定款の採択、発起人の設立準備行為に関する承認、取締役選任・権限の取決め、監査人(会計士)選任を行う

④銀行口座の開設
既進出の日系企業は外資系商業銀行を選択するケースが多い。現地法人設立の場合は、原則現地通貨建ての口座を開くことになるが、輸出加工区進出企業は外貨建て口座を開設することも可能。また、輸出加工区以外の進出でも、輸出製造業の場合は輸出実績に応じて、一定残高までの外貨建て口座を開設することが可能

⑤会社設立認証
会社設立認証を商業登記所(RJSC&F)にて取得する。通常2週間~2か月程度掛る。基本定款の最初のページには500タカ分の印紙を貼付。付随定款の最初のページに貼る印紙代は、授権資本額によって異なり1,500~1万タカ。また登録料も授権資本額に応じて決定する。

⑥投資登録証
投資庁(BOI)への登録手続きは1週間~1か月程度掛るが、一度登録すれば更新の必要はない。手数料は設立予定法人の資本金がにより異なる(5,000~10万タカ)。なお、輸出加工区(EPZ)への投資の場合、窓口はバングラデシュ輸出加工区庁(BEPZA)になる。

⑦中央銀行の許可
外国為替法18A(個人用)と18B(法人用)に基づく許認可の取得が必要。口座開設銀行を通じて中央銀行に申請。約1か月かかり毎年更新が必要。費用は掛らない。

⑧営業許可証
営業許可証(Trade License)は法人所在地の市役所等にて取得する。日数は掛らないが毎年更新が必要で、手数料は授権資本額に応じて1,000~1万タカ。

⑨納税識別番号(TIN)
国家歳入庁(NBR)より取得。約3日必要。更新なし

⑩免税許可申請
BOI登録後、NBRに税金免除申請を行う。90日以内に税金免除証書が発給。