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メルマガ第27号 【新政府と経済課題】

2023年5月14日のタイ総選挙により躍進した野党第一党の前進党党首ピタ氏は、政権奪回を果たし、民主的で円滑な政治運営を進めていくため、2023年5月22日に野党8政党とともに連立政権を組み、共通の政策を盛り込んだ協力覚書を締結しました。
新政府設立は外国投資家にとっても、今後の経済政策を左右する関心事の一つです。
既存のEEC計画が現在どこまで進んでいるのか、また今後進めていくため新政府が取り組むべき課題など、タイが外国投資家にとってより魅力的なビジネスの場であることをアピールしていかなければなりません。

【連立野党の覚書締結】

覚書に参加した野党は、前進党、タイ貢献党、プラチャーチャート党、タイ建設党、タイ自由党、プアタイ・ルワムパラン党、公正党、新社会の力党の8政党で、合計すると下院の議席数は313議席(暫定)となる。
今後予定されている首相選出に向けて、方向性を一つにして国民のためのクリーンで円滑な政治を目指している。
協力覚書には23の項目が設けられているが、主には民主的な憲法の制定や官僚改革、透明性のある国家システム、多文化共生社会、地方の人々にまで公正な権利が得られる地方分権化、麻薬取り締まりの再規制、農業や漁業の価値創出を含めた経済改革などが挙げられる。
注目されていた憲法112条については触れられていなかった。

【第一四半期の投資状況】

商務省発表の2023年第一四半期の外国投資件数は217件で、投資額にすると38,702百万バーツとなっている。一番多いのは日本からの投資で55件、次にシンガポール35件、アメリカ34件、中国14件となった。昨年の同時期と比べると件数が11%上昇しており、タイ人の雇用も増えている。
また、上記件数のうちEEC域内への投資は43件、投資額7,521百万バーツ。日本に続いて中国・香港とアジアからの外国投資が上位を占めている。
産業分野は、自動車部品製造機械の修理・メンテナンス、製造業に関する生産工程・品質管理システム管理向上のコンサルティング業務、機械設計、部品・原材料の調達などがある。

【第一四半期の投資状況】

EECプロジェクトは現在、政府の承認が保留となっていたり、訴訟問題が解決していなかったりと課題がいくつかある。
高速鉄道契約の修正
EECのインフラ開発プロジェクトは全体的に遅れが生じている。
特に、タイ国有鉄道(SRT)がCPグループとタイ高速鉄道プロジェクトに携わる合同投資の契約を締結してから3年7か月が経ったが、高速鉄道の建設はいまだ進捗が見られない。新型コロナの影響で、企業救済申請など合弁会社を含む救済について、政府の承認の問題やタイと中国を結ぶ鉄道の土木工事の重複地域の交渉などが浮き彫りになっている
ウタパオ空港
EEC政策委員会とウタパオインターナショナルアビエイション株式会社との共同投資が2020年6月に締結されてから、まだ建設工事が開始されていない。
本件に関して、政府は、エリア内の公共設備のみ建設を開始、滑走路建設の請負業者の募集を今月2日に準備を始めた。今年の第3四半期には民間へ引き渡し、来年から建設が開始される予定となっている。
また、新型コロナの影響を受け、建設プロジェクトは当初第4フェーズで予定されていたが、第6フェーズに延期、年間利用者の規模も16万人から12万人に規模を縮小している。(最終的には年間利用者60万人の設備建設を目標としている)
レムチャバン港第3フェーズの延長交渉
タイ港湾公社がすすめる国際海上貨物の需要増加をサポートするためのターミナルFの開発で、落札した民間請負業者に建設予定地を引き渡すライセンスの発行が完了していない。
れらも新型コロナの影響で機械設備の輸入などが出来ずに埋め立て工事に遅れが出ているのが原因の一つ。また、地上でのインフラ建設に関する入札に参加する企業を募ることができず、第2次入札で民間企業の参加を促し、遅延を補うために入札条件の譲歩などが必要とされる。
EEC以外にも急速に進められている鉄道インフラの建設プロジェクトにも全体的に遅れが生じており、これらの問題について、新政府は速やかに承認決定や課題解決を行い、プロジェクトを促進し、外国投資家の信頼とタイが目指す経済発展を取り戻さなければならない。
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