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タイ関連ニュース 2026年11月4日号

同じニュースが、日本と中国で逆に見える ~タイ閣議決定【輸入EV、物品税35%引き上げ】~

対象期間:2026年10月29日(木)〜11月4日(水)

巻頭:問われるのは、国籍ではなく生産地

11月3日、タイの閣議は、輸入する電気自動車の物品税を35%に上げることを決めた。

同じ発表を、3つの国はこう伝えた。

日本の報道

「中国勢のシェア拡大で、日本メーカーも販売比率を落としていた」

共同通信、11月3日

中国の報道

「早く工場を建てよ!」
すでにタイに工場を建てた、または建設中の中国メーカーには「むしろ追い風」

快科技、11月3日(原文:速来建厂!/反而构成利好)

タイ政府

「この税は日本の投資家だけを優遇するものではない。すべての自動車メーカーに公平にするものだ」

エークニティ副首相の説明として กรุงเทพธุรกิจ が伝えたもの(11月4日、訳)。閣議当日11月3日の発表では、どの国の名前も出していない

正直に書くと、わたしは最初、日本に有利な話だと考えた。日本の共同通信の記事(11月3日。以下、日本の記事)が、「割安な中国メーカーの商品が流入」し、「中国勢のシェア拡大で、日本メーカーも販売比率を落としていた」と書いたあと、エークニティ財務相(副首相を兼ねる)の「新たな税制がより公平な競争環境をもたらす」という言葉で結んでいたからだ。この記事だけを読むと、日本に有利な話に見える。

一方、中国の快科技の記事(11月3日。以下、中国の記事)は、すでにタイに工場を建てた、または建設中の中国メーカーには「むしろ追い風になる」と書いた。この見方には、数字の裏づけがある。タイのEV市場では中国系のブランドが約9割(2025年末)を占め、その中国系メーカーの多くは、補助金と引き換えに、すでにタイで車を作り始めている(この号の後半の特集で詳しく扱う)。今回の増税の対象は輸入車なので、こうしたメーカーは影響を受けにくい。

しかし、タイ語の報道に当たり直すと、答えはもっとシンプルだった。ねらいは「国内で生産される車の競争の公平さをつくるため」(เพื่อสร้างความเป็นธรรมในการแข่งขันของรถยนต์ที่ผลิตในประเทศ)と説明されていた。この税が問うのは「どの国のメーカーか」ではなく、「タイで作るか否か」である。タイに工場を建て、タイの部品を使えば、日系も中国系も同じ扱いになる。国籍で有利・不利が決まる税ではない、ということだ。

もちろん、見直しの背景に中国からの輸入EVの増加があったことは、ジェトロ(9月16日)も伝えており、事実であろう。ただ、11月3日のタイ政府の説明は、中国勢を名指ししていない。論点は「タイで作るか否か」に置かれていた。そして翌日には、副首相の言葉として「日本の投資家だけを優遇するものではない」とも伝えられた。

ただし、タイ政府は次の段階として、タイで組み立てる車のうち、タイ製部品の比率が低いものについても、物品税の引き上げを検討すると報じられている(報道1社)。そうなれば、現地調達率の高い日系に有利に働く可能性もある。

記事の印象で「誰が得をするか」を決める前に、制度の「基準は何か」を見る。今号は、同じニュースを3つの国の目で読み比べ、数字と年表でその基準をたどる。

日タイ中 比べ読み:一つの発表、三つの見出し

タイ政府の説明(11/3)日本の報道(共同通信、11/3)中国の報道(快科技、11/3)
対象国内で生産せず、国内の部品も使わない輸入車輸入EV完成車で輸入し、タイ製の部品を使わないEV
ねらい「国内で生産される車の競争の公平さをつくるため」(物品税局長)。既存の生産拠点から、環境にやさしい車の生産・輸出の拠点へ移る(InfoQuest)国内生産の強化と新たな投資の呼び込みで、東南アジアのEV生産・輸出拠点に現地に投資したメーカーを守り、迷っているブランドに工場建設を促す。見出しは「早く工場を建てよ!」(速来建厂!)
触れた国・メーカー11/3の発表:なし。翌日の報道で、副首相の説明として「日本の投資家だけを優遇するものではない」(กรุงเทพธุรกิจ、11/4)背景として、輸入EVへの関税引き下げなどの推進策で「割安な中国メーカーの商品が流入」したと説明し、「中国勢のシェア拡大で、日本メーカーも販売比率を落としていた」と書くBYD・長安・奇瑞・広汽埃安が現地生産を進めていると紹介し、「すでに工場を建てた、または建設中の中国メーカーには、むしろ追い風(利好)」と書く。日本メーカーには触れていない

※日本の報道について:この比べ読みは、共同通信の記事1本についてのもの。日本語の報道も一様ではなく、newsclip(11/3)は国名を出さず、税率と「国内自動車産業の保護」というねらいだけを伝えた。ジェトロは9/16に国家EV政策委員会の見直し承認を伝えたが、11/3の閣議決定の記事は11/4夜の時点で見当たらない。

比べてみると(解釈)

  • 見る角度が違う。日本の記事は、「割安な中国メーカーの商品が流入」したことへの対応として伝えた。中国の記事は、すでにタイに工場を建てた、または建設中の中国メーカーには「むしろ追い風」になると伝えた。それぞれ、自国のメーカーの目線から書いている。
  • 記事の並びが生む印象。日本の記事は、増税で日本車のシェアが戻るとは書いていない。ただ、記事(3段落・7文)は35%への引き上げを伝えたあと、第2段落を「中国勢のシェア拡大で、日本メーカーも販売比率を落としていた」で締め、最後に財務相の「より公平な競争環境をもたらす」を置く。この順で読むと、これで日本車が盛り返すと受け取る読者もいるかもしれない。実際には、中国メーカーの多くはすでにタイで現地生産を始めており、販売比率が戻るとは言い切れない。
  • 「公平」の範囲。「公平な競争」という言葉は、日本語とタイ語の両方の記事に出てくる。ただ、何の公平かの書き方が違う。
    ・共同通信:「新たな税制がより公平な競争環境をもたらす」(財務相)
    ・タイ語の報道:「国内で生産される車の競争の公平さをつくるため」(เพื่อสร้างความเป็นธรรมในการแข่งขันของรถยนต์ที่ผลิตในประเทศ)
    タイ語の報道では、公平にしたいのが「国内で作る車」の競争だと分かる。日本の記事にはこの部分がないため、わたしが最初にそう受け取ったように、日本車と中国車の間の公平さとも読めてしまう。この違いには留意しておきたい。
  • 「中国対日本」では読み切れない。中国系の中にも、今回の増税に賛成する声がある(この号の後半の特集、数字②)。タイ政府も11/3の発表では、国やブランドを名指ししていない。日本企業にとっての競争相手は、輸入車ではなく、タイで作る中国メーカーになりつつあるのではないだろうか。
出典を見る
  • タイ政府の説明:THE STANDARD、ฐานเศรษฐกิจ、กรุงเทพธุรกิจ、The Nation(いずれも11/3、下の特集「まず事実」の出典)
  • 日本の報道:共同通信「タイ、輸入EV増税へ 来年1月、国内投資促す」(11/3) Yahoo!ニュース / 四国新聞 / OANDA
  • 副首相の発表の詳細(タイ語):InfoQuest(11/3) infoquest.co.th
  • ほかの日本語の報道:newsclip「タイで輸入EVの物品税35%に引き上げ 国内自動車産業の保護へ」(11/3) newsclip.be
  • 中国の報道:快科技「速来建厂!泰国对纯进口电动车下狠手」(11/3) mydrivers.com(凤凰网にも転載)
  • 新華社・人民網など中国の国営メディアの記事は、11/4夜の時点で見つからなかった

特集:事実・年表・数字で見る、タイのEVと日本・中国

まず事実:11月3日の閣議決定(輸入EVの物品税を35%に、2027年1月から)

輸入する電気自動車(BEV)とレンジエクステンダーEV(REEV)の物品税を、2027年1月1日から35%に上げる。国内での生産・部品づくりへの投資を促すのがねらい。

輸入車の物品税いま2027年1月1日から
BEV(電池だけで走る車)10%35%
REEV(発電用のエンジンつき)15%35%
  • 11月3日、ウドンターニー県で開いた地方閣議(ครม.สัญจร)で承認。エークニティ副首相兼財務相(เอกนิติ นิติทัณฑ์ประภาศ)が発表した。施行を2027年1月にしたのは、事業者に準備の時間を与えるためとしている。国内で生産する車の税率は報道では示されていない。
  • 原則として「投資を呼び込むための輸入」「環境にやさしい車の、地域・世界の輸出拠点」「付加価値の高い国内部品の活用を高める」の3つを挙げた(InfoQuest)。新たに投資する企業には、物品税局が特別な税率を交渉するとしている(条件は未公表)。
  • 次の段階として、タイ財務省は、タイで組み立てるEVのうち、タイ製部品の比率が低いものについても、1年以内に物品税の引き上げを検討すると報じられている(ฐานเศรษฐกิจ、11/3。報道1社)。見出しは「『ゼロコイン工場』(โรงงานศูนย์เหรียญ)の抜け穴をふさぐ」で、部品の多くを輸入して組み立てるだけの工場を指す。電気代・水道代は国内調達の比率に数えないようにするという。
  • 対象は、国内で生産せず国内の部品も使わない輸入車(The Nation が伝えた副首相の説明)。物品税局のポンチャイ局長(พรชัย ฐีระเวช)は、ねらいを「国内で生産される車の競争の公平さをつくるため」(เพื่อสร้างความเป็นธรรมในการแข่งขันของรถยนต์ที่ผลิตในประเทศ)と説明した。
  • 翌11/4の報道では、副首相の説明として、この税は「日本の投資家だけを優遇するものではなく、すべての自動車メーカーに公平にするもの」(ไม่เอื้อเฉพาะนักลงทุนญี่ปุ่น แต่สร้างความเป็นธรรมให้ผู้ผลิตรถยนต์ทุกค่าย)と伝えられた(กรุงเทพธุรกิจ、11/4。11/3の InfoQuest・MGR Online の記事にはこの一文はない)。副首相は11月18〜20日に訪日し、トヨタ・ホンダ・いすゞ・三菱自動車・マツダ・日産の6社や経団連と会う予定で、「公正な競争と国内生産のための自動車税制の見直し」も協議項目に挙がっている(กรุงเทพธุรกิจ・MGR Online、11/4)。

日本企業への影響の見込み(解釈) タイで長く現地生産してきた日系メーカーと部品会社にとっては、一見、輸入車との価格競争がやわらぐ方向の措置である(ただし上の「比べ読み」と、下の示唆1を参照)。一方、完成車の輸入に頼るブランドは、現地生産へ切り替えるかどうかの判断を迫られる(どのブランドがどれだけ輸入に頼っているかは、今回の発表には示されていない)。翌日の報道で副首相が日本の名前を挙げて説明したこと、訪日で日系各社にこの税制を説明する予定であることは、日本からの追加投資への期待の表れとも読める。

出典を見る

年表:EV支援策から「35%」まで

  1. 2022年2月15日 閣議がEV支援策(いわゆるEV3.0)を承認。輸入BEVに1台7万〜15万バーツの補助金。3月に長城(GWM)、SAIC-CP/MGが物品税局と最初に協定 首相府
  2. 2022〜2023年 補助の条件として、輸入した台数と同じ〜1.5倍を2024〜25年に国内生産する義務 クルンシィ・リサーチ
  3. 2023年11月 国家EV政策委員会がEV3.5(2024〜27年)を承認。補助金は1台最大10万バーツ、物品税8%→2%、輸入関税は最大40%減。輸入の2倍(2026年まで)〜3倍(2027年まで)を国内生産する条件 首相府
  4. 2024年1月 長安・SAIC・長城がEV3.5の協定に最初に署名 物品税局
  5. 2024年7月 BYDがラヨーン県の工場を稼働(投資350億バーツ超、年15万台) The Nation
  6. 2025年初め 補助を受けたBEVは約17.5万台、補助金は約120億バーツ(最初の3年) ローディアム
  7. 2026年1月 生産義務を果たさなかったNeta(哪吒)に、補助金20億バーツの返還を求めてタイ政府が提訴 ローディアム
  8. 2026年9月10日 国家EV政策委員会が、投資・生産・国内調達・雇用に結びつけた物品税の見直しを承認 ジェトロ
  9. 2026年11月3日 閣議が輸入BEV・REEVの物品税35%を承認(2027年1月から) まず事実(上)
  10. 2026年11月18〜20日(予定) エークニティ副首相が訪日。日系自動車6社、経団連と会う กรุงเทพธุรกิจ

数字①:日系のシェアは「9割」から「6割台」へ

中国系ブランド
出典:2010年代と2023年は読売新聞(The Japan News)、2025年は Autolife Thailand の登録データ(Car250)、2026年半ばはローディアム・グループ(米国の調査会社)。中国系は5年前(2021年ごろ)には「ほとんど存在感がなかった」(ローディアム)
  • EVに限ると、中国系のシェアは2023年に82.4%(クルンシィ・リサーチ)、2025年末には89%(ローディアム)。
  • 1〜9月の新車販売は52万1,226台、うちEVは16万1,532台(31.0%、前年同期比98.6%増)(กรุงเทพธุรกิจ、11/4)。

数字②:勝負は「輸入か現地か」から「どこまでタイで作るか」へ

中国系メーカー日系メーカー
現地調達率40〜60%70〜80%
例―三菱自動車のピックアップは60%超、一部は70〜80%
部品の調達先2025年、中国が日本を抜いてタイ最大の自動車部品の供給国に―
投資8社が組立工場を表明、多くが2026年4〜6月までに稼働トヨタ・ホンダ各約500億バーツ、いすゞ300億、三菱200億バーツの計画

出典:ローディアム・グループ(2026/7、現地調達率は各社の申告ベース)、กรุงเทพธุรกิจ(11/4、三菱の例)

  • 中国での生産コストは、タイより少なくとも3割低いという(กรุงเทพธุรกิจ、11/4)。
  • 中国系でも、小鵬(Xpeng)の副社長は「規則に合わせる用意がある」と述べ、国内部品産業を守る税制に賛成した。零跑(Leapmotor)は年6万〜8万台規模の現地組立を検討する(同)。

数字から言えること(解釈)

  • 中国系は、輸入で入って(2022〜23年)、補助金と引き換えに現地生産を約束し(EV3.0・3.5)、工場を建てた(2024〜26年)。今回の35%は、その流れの最後の一押しに当たる。どのブランドがどれだけ輸入に頼っているかは示されていないが、中国系の大手の多くは、すでに現地生産に動いている。
  • 報道どおり進めば、次の論点は、タイで組み立てる車の「現地調達率」に移る。ここでは日系(70〜80%)が中国系(40〜60%)を上回る。今回の35%より、次の段階の税制のほうが、日系にとって意味が大きい可能性がある。
  • ただし、中国が日本を抜いてタイ最大の部品供給国になったことは、日系の部品会社にとって、取引の土台そのものが動いていることを示す。
出典を見る
  • 首相府:EV3.0の協定(2022/3/21) PDF / EV3.5の承認(2023/11/1) PDF
  • 物品税局:EV3.5の協定(2024/1/19) PDF
  • The Nation:BYDのラヨーン工場(2024/7/4) nationthailand.com
  • ジェトロ:国家EV政策委員会の物品税見直し(2026/9/16) jetro.go.jp
  • ローディアム・グループ(米国の独立系調査会社。中国の経済・産業の分析で知られる)「How Chinese Cars Took Over Thailand」(2026/7/23) rhg.com
  • 読売新聞(The Japan News、2026/1/7) asianews.network
  • Car250(Autolife Thailand の登録データ、2026/1/29) car250.com
  • クルンシィ・リサーチ krungsri.com
  • กรุงเทพธุรกิจ(11/4) bangkokbiznews.com

日本企業への示唆

経営者向けの示唆であり、投資の助言ではない。

  1. 日本車に有利と読む前に、税の基準を見る輸入EVの増税は、中国車への対抗策で日本車に有利になる、とも読める。ただ、中国メーカーの多くはすでにタイでの現地生産に動いている。タイ政府のEV支援策「EV3.5」(2024〜2027年)には、長安・SAIC・長城(GWM)などが早い段階で参加し、1台あたり最大10万バーツの補助金と、物品税を8%から2%に下げる優遇を受けている。その代わりに、輸入した台数の2倍(2026年まで)〜3倍(2027年まで)を国内で生産する条件を負っている。BYDはラヨーン県に350億バーツ超を投じ、年15万台規模の工場を2024年に動かした。今回の増税は、こうした現地生産の約束を後押しするもので、中国の報道が「追い風」と書くのには理由がある。この税の基準は国籍ではなく、タイでの生産と部品の調達である。その結果、日本からも中国からも、自分たちに有利だと読める。税の基準は何か、自社はそれをどこまで満たしているか、今後満たせるのか。相手国の報道もあわせて確かめたうえで、投資や調達の計画に織り込んでおきたい。

    出典:タイ物品税局 プレスリリース 3/2567(2024年1月19日、PDF)、The Nation(2024年7月4日、BYD ラヨーン工場)

  2. 本当の勝負どころは「現地調達率」。日系の強みを、次の税制づくりに生かす

    中国系の現地調達率は40〜60%、日系は70〜80%(各社の申告ベース、ローディアム・グループ。特集の数字②)。タイ政府は次の段階として、タイで組み立てる車のうち、タイ製部品の少ないものについても、物品税の引き上げを検討すると報じられている(ฐานเศรษฐกิจ、11/3。報道1社)。今回の35%より、この次の段階のほうが、日系にとって意味が大きい可能性がある。

    2025年、中国が日本を抜き、タイにとって最大の自動車部品の供給国になった(ローディアム・グループ)。

    中国系は、現地調達を増やし、外国の部品会社とも組む姿勢を見せている。フランスの部品大手フォルシア(Forvia)は、BYDとシートの合弁工場をタイに開いた。一方、長城(GWM)は、系列の中国部品会社5社をタイに連れてきている。同じ調査は、タイの部品会社について「一部は中国系と組めるかもしれないが、多くは既存の日系顧客から失う仕事のほうが大きい」とみる。伸びるのは、電動化と電子部品のサプライチェーンに対応できる会社だという(ローディアム・グループ、2026/7)。

    示唆(解釈) 次の税制で「国内調達」をどう数えるかが、日系の部品会社の受注を左右する。日系の完成車メーカーと部品会社は、業界団体を通じて、数え方の段階から意見を伝えておきたい。同時に、部品・素材メーカーは、日系の完成車メーカーだけでなく、中国系の現地調達先になる道(合弁、電動化部品への切り替えを含む)も視野に、取引先の組み替えを考えておきたい。

  3. 11月18〜20日の副首相の訪日を、要望を伝える機会にする

    訪日団は、エークニティ副首相を団長に、工業相、財務次官、関税局長、タイ工業連盟・タイ商業会議所・タイ銀行協会の3団体のトップ、タイの企業家40人超で構成する。会う相手は、日系自動車6社(トヨタ・ホンダ・いすゞ・三菱自動車・マツダ・日産)、経団連、日本の経済産業相、ジェトロ理事長、日本の財務相(タイ投資委員会=BOIの事務局長の発表。กรุงเทพธุรกิจ・MGR Online、11/4)。

    自動車6社との議題には、自動車産業の支援策、「公正な競争」と国内生産のための自動車税制の見直し、タイの部品産業の高度化、そして各社の事業方針・投資計画・提言を聞くことが挙がっている。経団連とは「タイ・日本投資ビジネス対話2026」を開き、①xEV(電動車)と部品、②データセンターと先端電子のサプライチェーン、③送電網の近代化と電力設備、の3分野を話し合う。半導体企業との会合も予定されている(同)。

    日本からの投資申請(BOI)は、2025年に前年の2倍超の約1,137億バーツ(302件)まで増えた。2026年は1〜9月で約454億バーツ(192件)。金額では、2025年1年分の4割ほどにとどまる。

    示唆(解釈) タイ側は、日系各社の「提言を聞く」ことを公式の議題に入れている。国内調達の比率の数え方や、新規投資への特別な税率(条件は未公表)など、まだ決まっていないことは多い。2025年に急増した日本からの投資申請が2026年は伸び悩んでおり(上の数字)、タイ側にも日本からの投資を呼び込みたい事情があると読める。条件づくりの段階で、業界団体などを通じて具体的な要望を届けておきたい。議題は自動車だけでなく、データセンター、電力設備、半導体にも広がっている。自動車部品で培った技術を、電動化・電子・電力の分野に広げようとする企業にとっても、この訪日は接点になりうる。

出典を見る(示唆2・3)
  • ローディアム・グループ「How Chinese Cars Took Over Thailand」(2026/7/23) rhg.com
  • 国内組立車の見直し:ฐานเศรษฐกิจ(11/3) thansettakij.com
  • 副首相の訪日:กรุงเทพธุรกิจ(11/4) bangkokbiznews.com / MGR Online(11/4) mgronline.com

今週のタイ:そのほかの動き

9月の輸出は過去最高、輸入はそれを上回り貿易赤字も過去最大

電子部品が輸出を押し上げた一方、輸入は5割増。日本向け輸出は19%増。

2026年9月金額(ドル)前年同月比
輸出384億3,890万+24.0%
輸入442億9,560万+50.4%
貿易収支−58億5,660万過去最大の赤字(12か月連続)
  • 商務省貿易政策戦略局(สนค.)のナンタポン局長(นันทพงษ์ จิระเลิศพงษ์)が発表。輸出は27か月連続の増加で、月間で過去最高。
  • 輸出の伸びの中心は電子関連(コンピューターと部品、電話機と部品、回路基板)。日本向けは19%増、中国向けは18.4%増。
出典を見る

定点観測:為替と金利